AI 時代の特許翻訳

AI 時代の特許翻訳

ChatGPTやGemini などAIを使って英語を学習する方法を説明するブログです。無料で楽しみながら英語が身につきます。

「英語ができる人」っていうと、英語がペラペラな人や、英文をすらすら書ける人を連想します。

このブログでは、正しい英文をすらすら書くための方法を話します。

私は留学経験、在外経験ゼロですが、英検1級をとることができました。これはエッセイ(writing)の点数が良かったからです。

エッセイを通して英文を書く練習を積んでいたため、エッセイと似たようなテーマが出題される二次試験の面接(speaking)も1回で突破できました。

日本人で在外経験のない私のような人は、日本語 → 英語の変換に時間がかかるため、すらすらとは英語が出てきません。

しかし英文を早く書けるようになれば、自然に口から英語が出てきます。

翻訳者を20年以上やっており、毎日英文を書く過程で英語のさまざまな疑問、注意点に出会いました。

この経験をもとに、翻訳者の目線からみた英語の「つぼ」を紹介していきます。

「ところで」という言葉、英語ではどう訳しますか?

 

学校では by the way と習った方が多いと思います。

 

 しかし、いざ技術文書や特許・法律文書などを翻訳するとき、私は by the way を使うことに強い躊躇(ちゅうちょ)を覚えます。

 

映画のセリフなどでもよく耳にする通り、会話でカジュアルに話題を変えるイメージが非常に強いからです。

 

では、固い文書で「ところで」が出てきたら、どう訳すのが適切なのでしょうか。

話題の転換:「ところで」の落とし穴

日常会話やメールなどでは、別の話題に切り替える表現として 

 

On another note(話は変わりますが)

 

 Apart from...(〜は別として)

 

といった表現がよく使われます。

 

日本語の「ところで」は大変便利で、全く別の話題に移るときだけでなく、関連する話題の深掘りや横展開の際にも使われます。

  • 例1(関連した話題)

    「文化祭には多くの来場者が予想される。ところで、屋台の数は足りるんでしょうか。」

  • 例2(別の話題へ転換)

    「文化祭には多くの来場者が予想されます。ところで、運動会の来場者はどうなのでしょうか。」

例1のように文脈が繋がっている(同じ文化祭の)場合、英語では接続詞的な言葉をあえて「何も訳さない(削る)」方が自然になるケースも少なくありません。

 

日本語ネイティブが無意識に使っている「単に次の文へつなぐ『ところで』」は、翻訳者泣かせと言えます。

AI(ChatGPT / DeepL)に訳させてみると?

では、以下の文章はどう訳すべきでしょうか。

「ところで、近年は、職業に対する個人の考え方も多様化している」

 

ChatGPTとDeepLにそれぞれ訳させてみました。

  • ChatGPT

    By the way, in recent years, individuals' perspectives on careers have become more diverse.

  • DeepL

    By the way, in recent years, individual attitudes to the profession have diversified.

 

やはりどちらも素直に By the way と訳してしまいます。

 

特許や技術翻訳としては、文脈に応じた別の表現を検討したいところです。

 

 

主要な名詞や動詞の選定についても、両者で差が出ています。

 

  • 考え方

    • ChatGPT:perspectives on~(〜に対する視点、見方)

    • DeepL:attitudes to~(〜に対する態度、考え方)

  • 職業

    • ChatGPT:careers(経歴、職業)

    • DeepL:profession(専門職、職業)

  • 多様化している

    • ChatGPT:become more diverse(より多様になった/形容詞+現在完了)

    • DeepL:have diversified(多様化した/自動詞+現在完了)

文字数をコンパクトに抑えたい場合、diversify を自動詞として使うDeepLの選択(受動態にせずワード数を減らす工夫)は理にかなっています。

推敲とリライト(Claudeでの検証)

上記を踏まえ、まずは「ところで」を On another note に置き換えてリライトしてみます。

 

リライト案1

On another note, in recent years, individuals' perspectives on careers have diversified.

 

表現としては引き締まりましたが、特許明細書や論文などのフォーマルな文章としては、On another note でもまだややカジュアルな印象が残ります。

 

AI(Claude)にフィードバックを求めたところ、フォーマルな文書では「削る」か「適切な論理接続詞に変える」のが望ましいとの回答でした。

 

リライト案2(「ところで」を訳さない選択)

In recent years, individuals' perspectives on careers have diversified.

 

特許や文脈に応じて補足したい場合は、

 

Additionally

 

Further

 

Moreover 

 

などの加える接続詞を使うと、より自然で格調高い文章になります。

 

さらに、individuals' perspectives on careers の部分を career perspectives among individuals と表現をまとめることで、よりスッキリとした知的な訳文にブラッシュアップできます。

まとめ

  • by the way は会話的すぎるため、フォーマルな技術・特許翻訳では避ける。

 
  • 日本語の「ところで」は、必ずしも英語の話題転換(By the way / On another note)と一対一で対応しない。

 
  • フォーマルな文書では、あえて訳さない(削除する)か、Additionally / Further などの論理接続詞に置き換えるのがスマート。

日本語特有の「つなぎ言葉」をいかに見極めて削ぎ落とせるか。翻訳の奥深さを再確認させてくれる一例です。
 
 
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このときの「ところで」は、「話は変わりますが」の意味で使っているので、 On another note といったところでしょうか?