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毎日仕事でパソコンを使う。
パソコンがないと仕事にならない。
2
今の私の職場のパソコンは、使い始めて4年8か月くらい経過していた。
私の職場では、
職場の美少女Fさんが職場全員のパソコンを購入、管理してくれている。
ここ数か月、Fさんから、
「先生、そろそろパソコンを新しいのにしましょう」
と言われていた(Fさんは私のことを「先生」という。)が、
なぜか断り続けていた。
>なぜ
もっとも、
Fさんには言っていなかったが、私のパソコンは、本当に動きが遅くなっていた。
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今日の朝、
パソコンの動きが遅いせいで、仕事にも支障が出ていたので、
いよいよ、この使い物にならないパソコンを何とかしようと思い、ネットで調べた。
「パソコン 動き遅い 対処法」
>全ての間違いの始まり
13個くらいの簡単にできる方法が並べられているサイトを開き、
私は、よく考えることもなく、
上から順番に試していった。
ディスククリーンアップだとか、
何かよく分からないけど、
こんだけいっぱいやったら、どれかが何かうまいことなって、
動き早くなるだろう、と思った。
とにかく色々やった。
その結果、私のパソコンは、ネットに繋がらなくなった。
私は、焦った。
パソコンの動きを速くするためにやったはずなのに、
結果として、パソコンが動かなくなった。
先ほどのサイトに載っていた、どれかの方法が間違っていたのだ。
私は閃いた。
先ほど見たサイトに載っている方法を、
上から順番に試して、ネットに繋がらなくなったということは、
下から順番に元に戻していけば、またネットに繋がるだろう。
先ほどまで見ていたサイトを確認しようと、
同じ検索ワードを入力して、サイト自体を探した。
私が見ていたサイトがなくなっていた。
もうお手上げだった。
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私は、Fさんのところに行き、
深々と謝罪をした上で、
パソコンを軽くしようと思って色々やった結果、
ネットに繋がらなくなったこと、
午後、外部での予定が入っているので、
その間に直してほしいこと、
を伝えた。
Fさんは、
私が出かけている間に何とかしておく、
と言ってくれた。
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夕方、外部での予定を終えて、職場に戻った。
本業の外部での仕事はとてもうまくいった。
ご機嫌で職場に戻ると、
私の机の上のパソコンがなくなっていた。
Fさんのところに行くと、
Fさんの机の上に
線に繋がれた私のパソコンが置かれている。
ただごとじゃない。
Fさん)何を消したんですか?
私)え・・・何を・・・消した・・・
私は、ネットに書いてある方法をそのまま試したので、
何かを消したかどうか、ということもよくわかっていなかった。
Fさんは、笑顔で、
・このパソコンは、これまで経験したことがない壊れ方をしていること
・初期化すればなおる可能性があるが、それでもなおらないかもしれないこと
・すぐに新しいパソコンを準備するが、セットアップなどに時間がかかる。しばらくは別のパソコンを貸すので、それを使っておいてほしいこと
を告げた。
私は、これ以上ないほどの謝罪をした。
Fさん)知的好奇心がおさえきれないんですよね
それが先生のいいところです
・・・私を試してるんですね
Fさんは、これまで、数百台のパソコンを何とかしてきている。
そのFさんでも、見たことない状態になっているらしい。
後から別の人に聞いたが、
Fさんは、信じられない壊れ方をしている私のパソコンを見て、
大興奮していたらしい。
ちなみに、私のパソコンは、ネットワークに繋がらない状態になっていたのだが、
パソコンでネットワークの接続状況を確認する際によく見るこの図↓
地球とパソコンなどの図が示されているところ。
私のパソコンのこの部分からは
地球もパソコンもなくなり、
ー ・・・・ ー
線と点だけが残されていた。
>信じられない壊れ方
職場の人が言っていた。
「モールス信号だ」
>パソコン)助けて
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私が別のパソコンを借りて仕事をしていたら、
Fさんがとてもいい笑顔で報告にきた。
「初期化、できませんでした!!!」
もう一度言うが、
Fさんには、これまでに数百台のパソコンを何とかしてきた実績がある。
かつて、パソコンのウイルスとたたかったという逸話も聞いている。
そのFさんでも無理だった。
どうやら、私は、
パソコンをシステム的に壊すことに成功したらしい。
初期化さえ許さないほど、確実に壊し切ったのだ。
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私は、相方のYさんに、
パソコンを壊してしまった、
反省に反省を重ねているところだ、
と報告をした。
少しは慰めてくれるかな、と思った
・・・のが甘かった。
「反省していると言ってこれまで何回同じことをしてるんだ。
前科がたくさんある、もう累犯だ。
何かをする前に、どうして相談しないんだ。
どうしてそうも簡単にネットの情報を信じるんだ。
何回言えばわかるのか。
この前も、
ブレーキがキーキーいうからといって、
油をさそうとしたり・・・(以下、私の失敗エピソードが無限に続く)」
大人ってこんなにも怒られるのか、
というほど、こっぴどく叱られた。
ちらっと後ろにいたFさんを見ると、
めちゃくちゃ笑ってた。
Fさんは言った。
「私が勝手にパソコンを新しいのにかえておくべきでした!
私のミスです!」
Fさんがありもしない罪を認め出した。
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後から聞くと、
私は、
絶対に消してはいけないプログラム?アプリ?を、
何個も何個も消していたらしい。
とても反省をしているし、
今も、反省に反省を重ねている途中だけど、
これを読んでる職場の人は、
あいつ、どうせまた何かやるだろな、と思ってることだろう。
自分でも自分を信じられないので、
そんな気がしてしまうから怖い。