② 令和4年司法試験の刑法の論文問題を読んで、読書感想文を書いてみた。 | ぴぽたぬ記

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でも、ブログの最初の頃に比べると少し上達した気がします。
ブログは、ちょっと様子おかしいことが多いです。

 

 

 

→続き

 

 

3

(1)

次に、問題文の最初から最後まで登場している、Aという人物がとにかくすごい。

Aが、あまりにも無敵すぎる。

 

 

(2)

まず、Aは、甲に素手で殴りかかり、甲から包丁を突き出される。

普通の人であれば、突然包丁を出されれば、少しくらいは驚く。

 

しかし、Aは、「ひるむことなく更に甲の顔面を殴打しようと」する。

刃物がAには効かない。

 

 

 

(3)

ア だからもちろん、Aは、乙からナイフで刺されても、

すぐに振り向き、乙を蹴り付ける。

 

強すぎる。

 

 

イ もちろん、これだけでは終わらない。

Aは、乙に刺され、

全治3週間の右上腕部刺創の傷害を負った状態で、

 

叫びながら走って乙を追いかける。

 

 

これがとんでもなく速いのである

 

乙は、逃げながらAの追跡を見て、

すぐに追いつかれて暴力を振るわれてしまうと思っている。

 

Aは、甲に右手で攻撃をしていることから、恐らく利き腕は右である。

その右腕に、大怪我を負っている。

 

乙は、この状態のAに追いつかれればやられる、と思っている。

 

 

A、強すぎる。

 

ウ そして、最後が予想外である。

 

乙は、原付に乗って逃げるが、

この、乙が原付に乗って逃げるという行為は、

 

乙がAの追跡を振り切るために採り得る、唯一の手段、というのだ。

 

これだけのダメージを負っていて、原付じゃないと逃げきれないほど足が速い。

 

Aは一体何者なんだろうか。

 

(4)

Aという、最強の人物が、問題文の最初から最後まで登場している。

これが、甲と乙を、更に魅力的に見せている。

 

さすが司法試験の問題である。

 

 

4

(1)

もちろん、この問題文の凄さは、登場人物だけではない。

問題文に出てくる、「小道具」の使い方が非常に洗練されているのだ。

そもそも、この問題文には、小道具が4つしか出てこない。

 

 

(2)

ア まずは、いわゆる凶器は2種類。

 

甲が持っている「本件包丁」と、乙が持っている「本件ナイフ」。

どちらも刃物にして、2本だけ登場させる。

 

 

イ 次に、乗り物。これも、2種類に絞られている。

 

甲が隠した「本件バイク」と、乙が乗り逃げた「本件原付」。

いずれも二輪車にして、2台だけ登場させる。

 

 

(3)

甲も、乙も、異なる凶器と異なる乗り物を使うが、

共通点はある。

 

これらの小道具を添えて問題文が流れていく。

何と洗練されているのだろう。

 

(1)

もっとも、私がこの問題文で1番感動したのは、

西暦を明記せずに、時代を伝える手法である。

 

(2)

この問題文は、日にちが出てくるものの、西暦は明記されていない。

時代が特定されるアイテムは出てこないものの、

 

普通に読み流してしまえば、少し昔の話なのかな、と思ってしまう。

 

なぜなら、

Aの

「いい度胸をしているじゃないか。」「覚悟しておけよ」

「何をしやがる。」「まて。この野郎。」

 

などの発言が、何だか古臭いからだ。

 

 

(3)

しかし、さすがは賢い方々である。

 

問題文後半に出てくる「本件原付」。

 

これは、飲食物の宅配業者に従事していたDが一時的に停めていたものであるが、

本件原付の前に「D所有の」と書かれている。

 

ここで全受験生が気づいただろう。

 

「はいはい。Uber eatsね。」

 

これが「店所有の」であれば、これまでにも存在したデリバリーサービスであるが、

「D所有の」とつけることにより、

 

ここ数年で日本でメジャーになった飲食宅配の業者であることを理解させる。

 

 

さすがとしか言いようがない。

 

 

6

この問題文の凄さは、

 

受験生に、絶対に無駄なことを記載させない、

という様々な配慮(最後の1文等)をしながら、

 

それでいて、なお、

 

魅力的な登場人物、

洗練された小道具の使い方、

時代の伝え方、

 

 

と、これだけのこだわりを見せつけてくるところにある。

 

来年の司法試験の問題文を読むのが、今から楽しみだ。