糖尿病が原因の感染症
糖尿病をお持ちの方はさまざまな感染症にかかりやすく、重症化しやすいといわれています。糖尿病と感染症の関係について。
糖尿病の人はどうして感染症にかかりやすいのか??
糖尿病をお持ちの方は、血糖値が高くなることで白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下し(例えば殺菌能の低下など)、病原菌と十分に戦えない状態になることがあります。
また、糖尿病に合併する血流障害や神経障害、人工透析の実施などにより感染が重症化すると言われています。
糖尿病の方がかかりやすい感染症とは???
尿路感染症、呼吸器感染症、胆道感染症、皮膚の感染症、歯周病などにかかりやすく、糖尿病でない方と比べて重度の感染症を起こしやすいと言われます。また、免疫が弱いと身体のまれな部位に感染を起こすことがあり、診断が難しくなる場合もあります(悪性外耳道炎、気腫性腎盂腎炎、腎膿瘍、気腫性胆嚢炎、壊死性筋膜炎、鼻脳ムコール症、フルニエ壊疽など)。
特に血糖コントロールが悪い方は、細菌や真菌に抵抗する力が弱くなるので、重症化しやすいと言われています。
糖尿病の方がかかりやすい感染症とは?
尿路感染症
尿路感染症は頻度が一番多く、膀胱炎、急性腎盂腎炎がその代表です。糖尿病の神経障害をお持ちの方では、“神経因性膀胱”といって排尿がうまくいかず尿が滞る場合があり、尿路感染にかかりやすいと言われます。
膀胱炎は、糖尿病の男性では約5%、女性では約10%にみられ、糖尿病でない方と比べると尿に細菌が混じっている割合が2~5倍であると言われています。
尿路感染症では、頻尿・残尿感・高熱・寒気の症状がみられることがあります。
呼吸器感染症
肺の感染症にもかかりやすく、たとえば肺炎、肺膿瘍、肺ノカルジア症などがあります。
糖尿病の方は結核にかかる割合も高いと言われており、結核と診断がついた人の約15%が糖尿病だったと言われています。
咳がずっと続くなどいつもと違う症状がある場合は主治医に相談するとよいでしょう。
皮膚の感染症
糖尿病の神経障害により感覚が鈍くなったり、血管障害で血流が滞り、からだの隅々に栄養が行き渡らなくなったりすると、皮膚組織の感染症が増えます。
糖尿病では皮膚が乾燥する場合があり、痒みによる引っ掻き傷から感染することがあります。また、陰部や爪、趾間のカンジダ症や、足白癬(水虫)になりやすいと言われています。
足底や下腿に痛みを伴わない水疱や血疱ができることもあります。これらは糖尿病水疱症といって、破裂して感染してしまうと、糖尿病壊疽に発展しやすくなります。
歯周病
口のなかの病気にも糖尿病は深く関わります。歯周病は、細菌の感染による歯周組織の慢性的な炎症であり、糖尿病では重症化しやすいと言われます。
歯周病では、歯肉が腫れ出血しやすくなり、進行すると歯茎が下がって、歯が長くなったようにみえます。歯周ポケットが深くなると、血や膿が出てくることもあり、最終的には歯が抜ける場合もあります。