プロテオグリカンの効果と特徴

今ロコモティブシンドロームの予防に効果的だということで話題のプロテオグリカンですが、
その効果はグルコサミンのような関節痛の緩和だけではありません。
これを使った化粧品はアンチエイジング効果が高いといわれるのですが、その理由は…?

プロテオグリカンの効果
プロテオグリカンと言うと聞きなれない方も多いかと思いますが
グルコサミンやコンドロイチンならほとんどの方がご存知かと思います。
プロテオグリカンは、いわばその2つの親玉です。

主な効果は、一言で言うなら保湿とEGF様作用。
…と言われても「?」だと思うので、順を追って解説します。

まず、もう少し厳密に言うと、プロテオグリカンは
グルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸など
名だたる美容コスメで有名な成分を構成要素とする、
細胞の間や真皮、軟骨に多く含まれる成分です。

保水力が非常に高く(ヒアルロン酸より上)
軟骨が水分を保ってなめらかに動けたり、
細胞が水分を保って正常に活動できるのも
元はといえばプロテオグリカンのおかげなんですね。

しかもEGF様作用によって、細胞の若返りにも貢献します。

EGFは肌の細胞を増やしたり成長させたりする因子ですが、
加齢と共にこれが減少することで、肌が衰えているんですよね。
その代わりをつとめてくれるのがプロテオグリカン。

EGF様作用というのは「EGFの様に作用する」ことなんです。
つまりプロテオグリカン=EGFではないものの、
EGFと同じ役割を果たしてくれるわけですね。

なので、アンチエイジングの切り札として
化粧品に使われたり、ロコモ対策(関節痛対策)として
グルコサミンやコンドロイチンと同感覚でサプリに使われます。
サプリ化は難しい?
ロコモ対策に画期的なら、なぜもっと有名でないのか?
それは抽出が非常に難しく、コストがかかるから。
だから膝や関節痛対策のサプリといえば、抽出が楽で
コストも少ないグルコサミンやコンドロイチンが定番なんです。

ただ、最近は牛ではなく鮭の頭部を利用することにより
プロテオグリカンも価格が控えめになってきたようです。

ひどい関節痛で悩んでいた人にも評判がよく、
乾燥肌の改善にも役立つとの声が多いようです。

コスメとしても人気
ロコモ対策だけでなく、その保水力を利用して
プロテオグリカンを化粧品に使っている会社もあります。

正直保水だけならグラスオールとか、
「ヒアルロン酸の~倍の保湿力」etcを
アピールする製品は多いんですけど、
プロテオグリカンはEGF様作用も期待できる点が大きいです。

というわけで、保湿+アンチエイジングの
秘密兵器として今後が期待される
プロテオグリカン入り化粧品ですが、
サプリ同様一番大事なのは、やはり含有量。

プロテオグリカン以外の成分で
希釈(水増し)されたものは要注意です。

プロテオグリカン(Proteoglycan)は、糖とタンパク質の複合体で、糖タンパク質の一種である。
「プロテオ」はプロテイン、つまりタンパク質、「グリカン」は多糖類を意味する。
動物成分の多糖(グリコサミノグリカン:glycosaminoglycan)の研究中に見つけ出された成分である。
グリコサミノグリカンとしては、ムコ多糖として全身に存在するヒアルロン酸や軟骨から分離されたコンドロイチン硫酸(1889)などが有名であるが、
これらのグリコサミノグリカンの構造解析を行っている中で、
1970年にグリコサミノグリカンとコアタンパク質(CoreProtein)が一定の結合様式で結合した糖タンパク質が発見され、プロテオグリカンと命名された。

プロテオグリカンは、一定の結合様式を持った分子の総称で、
コアタンパク質のアミノ酸であるセリンと糖質のキシロース←ガラクトース←ガラクトース←グルクロン酸が結合しコンドロイチン硫酸などの
2糖単位で連続する多糖体が結合した化合物である。
その後、コンドロイチン硫酸は、プロテオグリカンの部分構造であることがわかってきている。 
生体成分として多様な機能性を持つと考えられるプロテオグリカンは、
もっとも重要な生体成分であり、主要な各種臓器、脳、皮膚を始めとした体全体の組織中の細胞外マトリックスや細胞表面に存在するほか、
関節軟骨の主成分としても存在している。 
プロテオグリカンは、組織形成や伝達物質としての役割など、組織維持修復に関係する成分である。
また、プロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸とマトリックスを作ることで身体組織や皮膚組織を維持している。
神経系や免疫系などと共に高等多細胞動物にしか存在しない組織であり、
プロテオグリカンが多細胞動物以外で認められることは無いと考えられる。
各組織のプロテオグリカンは、その組織細胞で合成される。
組織の細胞外マトリックス成分であるヒアルロン酸は、細胞膜で合成されるが、
プロテオグリカンは、ゴルジ体内で生合成される。
細胞外に放出されたコラーゲンやヒアルロン酸、プロテオグリカンは会合構造をとることで組織を維持する。
巨大なプロテオグリカンが分子単体で存在することは難しい。

プロテオグリカンの構造研究や生理活性は、1970年ごろより徐々に見出されるようになり、近年かなりの研究報告が認められるようになってきた。
弘前大学の高垣啓一教授が、4%酢酸溶液を使うことで、鮭の鼻軟骨からプロテオグリカンを抽出する方法を発見した。
これにより、今まで有害試薬でしか抽出できなかったプロテオグリカンを、食品や化粧品にも使用できる精製方法が確立された。 
酢酸溶液で抽出されたものは、NaCl飽和エタノールと分子量膜により精製され、試薬(和光純薬)として販売されている。
さらに、弘前大学や企業から多くの研究発表がされているほか、医療素材・化粧品原料としての応用が期待されている。
高垣教授が開発した方法で抽出されたプロテオグリカンは、コンドロイチン硫酸型のプロテオグリカンであり、
タンパク質などの分子量測定に用いる電気泳動法により344KD、ゲルろ過分子量約45万である。
アルカリ溶液による抽出方法の発見と、サケの鼻軟骨を原料とすることにより、生産の低コスト化が実現した。
アルカリ溶液による抽出された鮭鼻軟骨由来プロテオグリカンの特徴は、ゲルろ過分子量約120万ダルトンと、非変性であることである。