味の違い | 上質人生のススメ

上質人生のススメ

上質な人生について考察していきます。
俳句や狂言、茶道などの日本の伝統文化を通し、
潜在意識の活用法や脳科学的視点から、上質な人生の過ごし方を提案していきます。
季節の俳句のご紹介もご覧ください。

蕎麦打ちの話を書いていて思い出したことがあります。

以前、私のセミナーを受講していた方が、コース中に、皆にケーキを焼いて来てくれたことがあります。

ヘルシーなおからでできたケーキを2つ持って来てくださったので、早速皆で切り分けて頂くことになりました。


2つのケーキは共におからのケーキで、同じ材料で焼いたものでしたが、食べた人達の間から、妙な感想が漏れ始めました。

「こっちのケーキとあっちのケーキじゃ、なんか味が違う!」

もちろん、ひとつずつ別々にオーブンで焼いていますから、焼き加減などが若干違うというのは当然あることなのですが、どうもそういう違いではない。味の奥行きが、深みが、まったく違うのです。


そのうちに、ある事に気が付きました。


片方のケーキは、妙なのですが、ケーキの上に手をかざすと、ケーキから出る気(?)というか、エネルギーが手の平に対して反発する感じになるのです。丁度磁石の反発のような感触です。

もう片方のケーキは、手をかざしても何の感じもない。

なぜふたつのケーキにこんな違いが出るのだろう。と皆で話していたところ、制作者の方が、「あ、思い出したわ」と言い始めました。

「一つ目のケーキは、材料を混ぜ合わせるときにセミナーのメンバー一人一人の顔と名前を思い出して、幸せになりますようにと祈りながら混ぜたの。そして二つ目を焼いた時に、時間がもうあまりない事に気づいたので、あわてて手順通り混ぜ合わせただけで焼いたの」


つまり、二つのケーキの違いは、込められた思いということだったのですね。


以前、帝国ホテルの総料理長でいらした村上信夫さんが、TVで、

「世界で一番おいしいのは、お母さんの料理です。それは、食べる人への思いが込められているから。我々はそのような思いを込めて料理を作るべきなのです。」とおっしゃっていましたが、まさにそれを体感させて頂いた瞬間でした。


これは、料理だけでなく、あらゆることに通じる事だと思いますが、実際にハッキリ体感する機会を得られたことは、珍しいことでもあり、幸運なことでもあったと思います。