【概略】
以前の記事トランペットで「バテ」て音が出なくなる、物理的な仕組みでは、「歯と歯の隙間からの息漏れ」の事例を紹介した。
この「歯と歯の隙間からの息漏れ」以外の場所で生じる、「バテた時の息漏れ事例」を紹介する。
【結論】
過度なプレスにより、「上唇が下唇から離陸」することで、音が出なくなる。
息は「意図した一箇所」から出ているのだが、「意図した一箇所」からの息が当たる部分の「上下の唇」が離れることにより、音が出なくなる。
解決するには、「上下の唇」が離れないようにするしかない。
【詳細説明】
楽に音を出すには、「意図した一箇所」からだけ息が出る必要がある。
以前の記事トランペットで「バテ」て音が出なくなる、物理的な仕組みの息漏れ問題を解消し、
別記事エアビームを作り出す、上前歯の具体的な形状の事例 大音量のハイトーンを手に入れる物理的な方法等の音の高さをコントロールする仕組みができれば、「意図した一箇所」からのみ、「必要に応じた形状の息」が出せるようになる。
これらの「音が出る条件」が揃っても、長時間の演奏などでプレスが増えていくと、いわゆる「バテ」て音が出なくなることがある。
この「音が出なくなる物理的な仕組み」を、「その2」として紹介する。
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ここまでの主な記事では、2次元での形状を整える方法について説明をしてきた。
この世は3次元であり、現実的には3次元での形状を整える必要がある。
最終的には、時間軸を入れた4次元で考える必要がある。
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「マウスピース」と「歯並び」の関係を観察すると、道が拓けてくる。
・マウスピースを唇に当てた時、唇はどのような形状になるのか?
・高い音、低い音、小さい音、大きな音で、唇の形状はどのように変化するのか?
・プレスが増えると、唇はどの様に形状が変化するのか?
これを、観察して、観察して、観察して、一体何が起きているのかを見極めていく。
トランペットの音が出るのは、ただの物理現象である。
目的の振動数で唇を振動させることが出来れば、目的の高さの音が出る。
それ以上でも、それ以下でもない。
健常者であれば、リコーダーの音が出せない人は居ない。リコーダーには音が出る仕組みが組み込まれているから、息を入れれば何らかの音が出る。
口笛を吹けない人々は、外からは見えない口の中で、音の出る条件が揃っていない。
上級者と言われる人々は、外からは見えない口の中に、音の出る仕組を持っている。外からは見えないので、本人にもどんなものなのかは全く分からないだろう。
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マウスピースの役割は多岐にわたるが、役割の一つに「唇の形状を保つ」目的がある。
「唇の形状を保ちたい」のだが、その押さえは近すぎず遠すぎずの関係が必要。
近すぎれば振動が止まるし、遠すぎれば押さえが効かない。
トランペットのマウスピースの内径は、15mmから17mm程度が一般的。
息の出る「意図した一箇所」は唇のどの部分かと言うと、多くは「マウスピースの中央付近」であろう。
つまり、息が出る「マウスピースの中央付近の唇」は、マウスピースのリムに接する唇の中で、一番遠い場所となる。
唇の中央部分は、マウスピースのリムからは7mmから8mm離れている。
イメージ図
マウスピースのリムを唇に押し当てた図。
上唇のみを表記すると、こんな感じ。
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マウスピースと歯に挟まれた「唇の形状」は、「プレス」の大きさによって大きく変化する。
「プレス」が「必要な唇の形状」にプラスになるなら、良い結果が出る。
しかし長時間のプレスで音が出なくなるケースでは、プレスが「必要な唇の形状」にマイナスに作用した時である。
具体的には、プレスを増やしていくと
1.唇中央が引っ込んでいく
2.唇中央が出っ張っていく
つまり「引っ込むのか、出っ張るのか」の「2種類の動き」に分類できる。
さらに細かく分類すると、次の4種類に分類できる。
ア.上唇が引っ込んでいく
イ.上唇が出っ張っていく
ウ.下唇が引っ込んでいく。
エ.下唇が出っ張っていく。
ア.上唇が引っ込んでいく
イ.上唇が出っ張っていく
ウ.下唇が引っ込んでいく。
エ.下唇が出っ張っていく。
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では、どの組合せが良いのだろうか?
前提
大音量のハイトーンを手に入れる物理的な方法で説明したように、上前歯がこの形状になっていることが前提。
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経験的には、良好な結果が得られたのは、BとCの組合せだった。
最悪なのは、アとエの組合せだった。エのように下唇が出っ張っていくことで、作り込んだ前歯の「山型形状」を塞いでしまう。
アとウの組合せは、口を閉じていけば何とかなる方向ので、まだマシ。ただし、上唇が離陸しやすいことに変わりはない。
この「マウスピースの中央付近の唇」の、上下の唇が離れてしまう、つまり「上唇が下唇から離陸」すると唇が閉じた状態にならなくなるため、唇は振動を継続できなくなり、音が出なくなる。
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イ+ウ 最良の組合せ
ア+エ 最悪の組合せ
ア+ウ イマイチ。アは悪い傾向だが、ウは良い傾向。
イ+エ イマイチ。イは良い傾向だが、エは悪い傾向。
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では、マウスピースを唇に押し付けると、唇はどの様に変形するのか?
これは、マウスピースと歯並びの関係で、変形する形状が様々異なる。
歯並びによっては、唇の中央付近が出っ張ったり引っ込んだりする。
この図は、「マウスピースのリム」を「唇」に当てた時の絵である。
「上唇のみ」が書かれている。
A マウスピースのカップの上方
B,C マウスピースのカップの横方向
「マウスピースのリム」と「歯」に挟まれた「唇」の形状がどの様に変化するのか?
唇の厚みは、A,B,Cが同一と仮定。
柔らかいものを押し潰すと、伸びて広がる。
例えば次の図のように、A,B,Cが同じ厚みになるように均等に押し潰すとどうなるか?
A,B,Cが均等に押された唇は、次の図のように、中央が出っ張る形になる。
では、日本人的な出っ歯で、楽器がやや下向きになるようにセッティングすると、どうなるか?
Aを押し潰す力は、B,Cよりもずっと小さくなる。
結果、次の図のように中央が引っ込んだ形になる。
上唇の中央が引っ込む形になると、下唇から上唇が離陸することになり、唇の振動が止まる。
つまり、音が出なくなる。
音が出るようにするために、多くが粘膜奏法を取り入れる。
唇が所定の位置に来るように、マウスピースのリムで音の出る位置に持ってこようとする。
もしくはドライ奏法にして、唇を引っ張ってくる必要がある。
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ここでは、「日本人的出っ歯」の事例で「この現象」つまり「唇の出し入れ」がコントロール可能であることを説明した。
この原理を応用した事例を紹介する。
A,B,C部分の唇をどんなバランスで押し潰すかで、唇の出っ張り具合、引っ混み具合をコントロールできるということだ。
演奏する音の高さに合わせて、楽器の角度を上下に調整しているプレイヤーを数多く見かける。
具体的には、ジャズ系のハイトーンプレイヤーの多くは、低い音では楽器が上を向き、高い音では比較的下を向く。
これは何をしているのか?
・低い音域は周波数が低いので、上唇を上前歯より多く出すことで柔らかくして、低い音が出やすいようにしている。
・高い音域は周波数が高いので、上唇を上前歯からより引っ込めることで固くして、高い音が出やすいようにしている。
特にドライ奏法を採用しているプレイヤー、つまりマウスピースを唇に固定しているプレイヤーには、必須のアクションであろう。
もちろんウエット奏法でも、原理的に効果は大きいだろう。
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大音量のハイトーンを手に入れる物理的な方法とも、完全に整合性が取れる。
・低い音ほど上唇は前歯から出っ張ってほしいし、
・高い音ほど上唇は前歯から引っ込んで欲しい。
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トランペットでハイトーンを楽に出す:物理式の分析の物理式とも、完全に整合性が取れる。
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【解決策】
当たり前の答だが、「A,B,C部分に掛かる力を調整」する。
まずは、現状把握が必要。
・上唇はアなのか、イなのか?
・下唇はウなのか、エなのか?
私の場合は、イ+ウの組合せで良好な結果が得られている。
ちなみに私は、元々はア+エの最悪の組合せであった。
歯並びや唇の形状によって、ア、イ、ウ、エの形状は様々。
イメージ図のように、キレイな円弧を描いていないのが普通だろう。
実際にはA,B,Cの3箇所だけではなく、リムのAとBの間、BとCの間で、唇の潰され方はアナログ的に変化する。
トランペットで「バテ」て音が出なくなる、物理的な仕組みで、レジンを紹介した。
このレジンを使用して、上前歯の厚みを増やす実験が可能。
接着剤を使わなければ、硬化したレジンは結構簡単に「パキン」と剥がれ落ちる。
日本人的出っ歯を、歯の前面にレジンを盛ることによって西洋人のように立った歯を試すことが可能。
なるべく平らに盛らないと、マウスピースを当てた時に当たって痛い。
私の実験では、バテてきても「粘膜奏法」や「ドライ奏法で上唇を引っ張ってくる」ような事をしなくても、音が出続けるようになり、効果は確認できた。
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考察1
日本人的出っ歯は、物理的にトランペットに不向きであることが分かった。
では、西洋人的に歯が立っていたらどんな事が起こるか?
A,B,Cの中のどこが、より押しつぶされるだろうか?
唇は出っ張るだろうか、引っ込むだろうか?
マウスピースを真っ直ぐに唇に当てれば、AがB,Cよりもより押しつぶされ、唇は出っ張る方向であろう。
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考察2
歯並びが悪いと、音は出ないのか?
答は、条件が揃えば、唇は出っ張ってくれて、音は出る。
「一本出っ歯」は、条件が揃えば、音が出やすい可能性がある。
出っ歯部分は確実にA部分を押し潰すので、唇が出っ張るから。
ただし条件があり、出っ張った唇部分に息を当てることが出来れば、だ。
さらに、すぐ隣に唇が引っ込んでいる部分が確実に存在し、そこから息が漏れてしまったらやはり音は出ない。
つまり、歯並びはある程度きれいな方が、金管楽器には有利であろう。
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考察3
同じような日本人的出っ歯でも、上前歯の2本のネジレ方向の違いで、結果が変わる。
マウスピースを上前歯の2本で支えるように、唇に当てた場合。
A,B,C部分がどの様に押しつぶされることになるか?
・上前歯2本が外側を向いている場合
AよりもB,C部分の方が、唇を押し潰す力は弱くなる方向。
結果、上唇が出っ張るので、音は出しやすいだろう。
・上前歯2本が内側を向いている場合
AよりもB,C部分の方が、唇を押し潰す力が強くなる方向。
結果、上唇は引っ込んでしまうので、音は出しにくいだろう。
つまり、かなりの出っ歯でも、この条件が満たせれば、音は出るだろう。












































