13号保険者期間の分割の仕組みを知る

厚生年金の加入者(第2号被保険者)が納めた保険料は、扶養する配偶者(第3号被保険者)と夫婦共同で負担したと解釈されます。

婚姻期間中の夫の厚生年金の保険料納付記録について、平成204月以降の第3号被保険者に係る期間分を夫婦間で半分に強制分割されます。

これは、夫婦の合意の必要がなく、当事者の一方の請求により、自動的に分割できます。

現在50代の女性にとっては平成20年からの第3号被保険者期間といっても60歳まで数年ですのでさほど嬉しい制度ではないかもしれません。

協議合意か、裁判所の按分割合の決定があれば、平成203月までの婚姻期間中の厚生年金も併せて分割請求できます。

なお、障害厚生年金の受給権者である場合は、生活保障として支給している観点から、分割請求ができません。

(2)分割後、給付はこうなる!

 給付額算定のさいに、夫婦間で半分に分割した老齢厚生年金を夫婦それぞれ受け取ることになります。

離婚後、妻が会社に勤め厚生年金に加入すれば分割された納付記録に自分の納めた納付記録が継続され、老後受け取る年金をより増やしていくことができます。

 

1)厚生年金の分割のしくみ

平成194月以降に成立した離婚から、結婚していた期間全部が厚生年金の分割の対象になります。夫婦共稼ぎでも、一般的に夫の方が給料の高く年金も多くなります。所得の少ない妻の立場からすると夫の厚生年金の一部を分けてもらいたいところです。これは正確にいうと年金自体を分けるのではなく、厚生年金(報酬比例部分)の保険料納付記録(夫婦の合計)を当事者間で分割します。

●按分割合の上限は夫婦の厚生年金合計の5割とします。

●自動的に決まるわけではなく、夫婦間の合意の公正証書か、合意がまとまらない場合、裁判手続により按分割合を定めます。

●分割請求は、離婚後2年以内に社会保険事務所に請求します。

独身時代、老齢基礎年金部分は含みませんので、分割しても意外と少なく、老後の生活費としては、あまり期待しないほうが良さそうです。

(3)分割後給付はこうなる!

将来受ける年金は、分割後の保険料納付記録に基づいて、支給されます。例えば、妻が第3号被保険者の場合は、妻は厚生年金に加入していませんが記録上は加入していたことになり、夫の半分の給料が妻に記録され、夫の給料も減額された半分が記録されます。妻が厚生年金に加入していた場合は給料が増額して記録されます。それぞれ自分の老齢年金の支給開始年齢になると、分割された年金を含めた自分の老齢厚生年金が支給されます。分割は厚生年金のみで、基礎年金の額には影響しません。分割をおこなった元配偶者が亡くなっても自分の受給額はかわりません。

分割された保険料納付記録は、厚生年金の額計算の基礎としますが、受給資格期間等には算入されません。

1)どういう背景があるか

年金は、世帯単位つまり夫婦の合計で考えられています。中高年の夫婦が離婚した場合、夫は老齢厚生年金を全額受給できますが、妻は自分のわずかの年金しか受け取れないケースが多く、夫と妻の年金には大きな開きが生じます。老後の所得に関しては女性が不利になってしまいます。このように離婚時の女性の不利益を解消するための第一段階として、昭和61年に「第3号被保険者」という制度ができました。第3号被保険者の保険料は、夫の給料から天引きされる厚生年金の保険料に含まれます。これによって、妻も1階部分の基礎年金を受け取ることができるようになりました。しかし、夫の厚生年金は2階部分があるのに妻は1階部分しかありません。今回新しくできた年金の分割は、この2階部分を折半するというものです。

夫の立場からすると離婚するなら今のうち、妻の立場なら平成194月まで持ちこたえようというところでしょうか。

事実上の婚姻関係にある人も対象になりますが、分割の対象になるのは被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者として認定されていた期間に限られます。

2)分割の対象になる年金は?

厚生年金・共済年金の報酬比例部分(厚生年金基金の代行部分を含む)、共済年金の職域年金部分が分割の対象になります。65歳未満の定額部分や厚生年金基金の+α部分は対象になりません。

年金の分割は年金額を直接分割するのではなく、婚姻期間中の年金額の計算の基となる「保険料の納付記録」を分割します。

なお、この制度は、年金受給者も対象になります。

 

1遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給できる

妻は60歳になると自身の特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになり、これまで受けてきた遺族厚生年金と比較して高いほうを選びます。もし、妻が在職中で、60歳になり退職し雇用保険の失業給付をもらうのであれば、その間は遺族厚生年金を選びましょう。また、60歳以降も厚生年金に加入し働くのであれば、在職老齢年金のしくみのより支給停止になることに注意しましょう。

65歳になると老齢基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせについて、併給できる特例があります。上乗せ年金である老齢厚生年金と遺族厚生年金について3通りの組み合わせがあり、金額が高いのはどの組み合わせか、選択することになります。自分の厚生年金の加入期間などで異なります。受けることを希望しない年金は支給停止されるだけで、選択替えは将来に向っていつでもできます。なお、平成194月より、自分自身の老齢厚生年金が優先され、さらに遺族厚生年金が高い場合、その差額が遺族厚生年金として支給されます。

(2)障害基礎年金と老齢厚生年金または遺族厚生年金の併給

 平成184月から、障害をもちながら働いたことが評価される仕組みとして、65歳以降、障害基礎年金に老齢厚生年金が上乗せできます。同時に遺族厚生年金についても障害基礎年金受給者が65歳になれば併給できるようになりました。

なお、有利な支給額を社会保険事務所で選択する場合、所得税や介護保険料、基金代行部分は考慮されませんので、これらを踏まえて総合的に選択する必要があります。

1)遺族基礎年金の支給額は子の数による

遺族基礎年金は老齢基礎年金と違い、加入期間に関係なく扶養者する子の人数によって、定額が支給されます。

2)遺族厚生年金は加入期間により計算が違う

遺族が子のある妻や子の場合には遺族基礎年金に上乗せして支給されます。子のない妻、夫、父母、孫、祖父母は、遺族厚生年金のみが支給されます。遺族厚生年金の額は、亡くなった人の厚生年金の平均標準報酬と加入期間で計算した額の3/4です。計算方法は2通りあり、在職中などの死亡の場合の短期要件と老齢厚生年金受給権者などの死亡の場合の長期要件です。短期要件は、生年月日に関係なく乗率が一律になっており、加入月数が300月に満たない場合は300月として計算します。長期要件は、老齢厚生年金を計算するときの生年月日に応じた乗率をつかい、実際の加入期間で計算します。

(3)年金を受け取らず死んだ場合の未支給年金

 年金を受ける権利は死亡日に消滅し、死亡日の属する月まで受けとることができます。死亡した人に支払うべき年金があるときは、その人と生計を同じくしていた遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹)が代わりに請求することができます。


1)遺族厚生年金をもらうための条件

厚生年金に加入中、または在職中の傷病が原因で初診日から5年以内に死亡した場合や、12級の障害厚生年金の受給権者、老齢厚生年金の受給権者と受給資格を満たしている人が死亡した場合が対象です。

遺族の範囲は、亡くなった当時、その人に生計を維持されていた配偶者、18歳未満の子、父母、孫、祖父母です。ただし、夫、父母、祖父母は死亡時55歳以上で60歳から受給できます。

なお、保険料の納付要件を満たしていることが必要です。

(2)子のない妻でも年齢によってもらえる!

短期要件または長期要件で20年以上加入期間のある夫が死亡して遺族厚生年金が受けられる場合に、妻の年齢が35歳(平成194月以降は40歳)以上65歳未満であれば、40歳から65歳に達するまでの間、中高齢の寡婦加算594,200(平成18年価格)が加算されます(遺族基礎年金受給中は支給停止)。65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるようになるため、寡婦加算はなくなり、経過的寡婦加算として生年月日に応じ減額された額が上乗せされます。また平成194月より夫が死亡時、30歳未満で子のない妻の遺族厚生年金は就労が可能であることを考慮し、5年間の有期給付となります。

1)遺族基礎年金をもらうための条件(受給要件)

国民年金に加入中の人と老齢基礎年金の受給権者や受給資格期間を満たしている人が亡くなった場合が対象です。

遺族の範囲は、亡くなった当時、生計を維持されていた18歳到達年度末日までの子、または1,2級の障害のある20歳未満の子)のある妻、または子に遺族基礎年金が支給されます。子の加算は、子が要件に該当しなくなれば減額され、子の全員が要件に該当しなくなれば妻自身の受給権がなくなり、年金は支給されません。

なお、保険料の納付要件を満たしている(障害給付と同じ)ことが必要です。

(2) 寡婦年金をもらうための条件

1号被保険者として保険料を納付期間と免除期間を合計して25年以上ある夫が、老齢基礎年金、障害基礎年金を受けずに亡くなったとき、夫に扶養されていた10年以上婚姻関係にある妻に、60歳から65歳になるまで、夫の老齢基礎年金の3/4が支給されます。5年間の有期年金ですが、65歳になると自分の老齢基礎年金を受けます。夫の死亡後も保険料を納めるか、納付が難しいときは免除申請をしましょう。

(3) 年金を受けずに亡くなったときは死亡一時金

 第1号被保険者として保険料を納めた期間または免除した期間の一定割合の期間が3年以上ある人が年金を受けずに亡くなった場合です。生計を同じくしていた遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母または兄弟姉妹)が、加入月数によって1232万円の一時金を受けられます。遺族年金と違い、生計維持されていなくても生計を同じくしていれば良いことになっています。

1)障害基礎年金には子の加算がある

障害基礎年金は老齢基礎年金と違い、加入期間に関係なく等級によって定額が支給されます。障害基礎年金2級は、40年保険料を納めた人と同じ満額になり、1級はその1.25倍になります。また、受給権が発生したときに18歳到達年度末日まで(高校を卒業するまで)の子、または1,2級の障害のある20歳未満の子を扶養していれば子の加算があります。

2)障害厚生年金には妻の加給年金がある

障害厚生年金は、標準報酬額と加入期間で計算した報酬比例の年金が2.3級の年金額になります。ただし、老齢厚生年金と違い、生年月日に関係なく乗率が一律になっています。また、

1級は報酬比例の年金に1.25倍した額になります。加入期間は障害認定日以前の月数で、300月に満たない場合は300月として計算します。

12級の障害の場合は、障害基礎年金に上乗せする形で、それぞれ障害厚生年金が支給されます。ただし、65歳以降に初診日があるときは、12級に該当しても障害基礎年金は支給されず、障害厚生年金のみとなります。なお、12級に該当する人に配偶者(65歳未満・年収850万以下)がいる場合、加給年金が加算されます(特別加算はありません。)。

1)障害厚生年金をもらうための条件

障害厚生年金を受けるためには、次の3つの要件が必要です。

●初診日要件:厚生年金に加入中に初診日があるときです。体調が悪いときは、退職する前に必ず医師の診断を受けておきましょう。

●障害認定日要件:病気やけがの程度が障害認定日に障害等級1級から3級の状態になったとき、また障害認定日には、障害等級に該当しなくても65歳までにその障害が悪化したときはその時点で再度事後重症の請求をすることができます。

●保険料納付要件:障害基礎年金と同じです。保険料は給与から天引きされるので滞納することはなく、加入直後の初診でなければ直近1年に未納がないため、問題ありません。

(2) 一時金としてもらえる障害手当金

初診日から5年たった日までに症状が固定して13級には該当しないが一定の軽い障害が残ったときに、障害手当金が支給されます。ただし、国民年金、厚生年金、共済年金の受給権者でないこと、労災保険の障害補償給付を受けていないことが前提です。

(3) 複数の障害があるときの併合認定

 2級以上の障害基礎年金を受けている人に、別の新たな障害が残り、前後の障害を併せて上位等級に認定された場合、請求すると等級変更され年金額が増額されます。

1)障害基礎年金をもらうための条件(受給資格要件)

障害基礎年金を受けるためには、次の3つの要件が必要です。

●初診日要件:国民年金に加入中、または60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる間に初診日があるとき。(初診日が65歳以上ですと障害に該当しても申請できません。)

●障害認定日要件:病気やけがの程度が障害認定日に障害等級1級か2級に該当するとき。また、障害認定日に障害等級に該当しなくても65歳までに障害等級に該当する程度に悪化したときは(事後重症)その時点で請求でき、年金を請求した日が受給権発生日になり、請求の翌月から支給されます。事後重症の場合はさかのぼって支給されませんので、該当するとわかったら、すぐに裁定手続をしてください。

保険料納付要件:保険料の納付が、初診日の前々月までの加入(被保険者)期間について2/3以上の保険料納付済期間と免除期間があるか、または平成28331日までは初診日の前々月まで直近1年保険料納付済期間と免除期間があれば受けられます。

(2)国民年金に加入してない20歳前でも受けられる

福祉的な観点から、20歳前にけがや病気で障害になった人でも、20歳時点で1,2級の障害にあれば障害基礎年金が支給されます。全額国庫負担で支給されることから、一定以上の所得

があるときは、年金額の一部または全部が支給停止になります。20歳前で厚生年金に加入中であれば障害厚生年金が受けられます.