1加入期間40年が分かれ目

 定額部分の計算のときに加入期間に上限があります。

平成2142日以降は40年が上限です。40年未満の場合は、定額部分の年金と報酬比例部分の年金の両方が増えることになります。厚生年金加入期間が40年以上になると、年金の増加は報酬比例部分のみになり、わずかしか増えません。再就職した人も在職中の人も同じです。

(2) 平成2142日以降生まれの人のケース

ボーナスがないと仮定し、1年勤めた場合の年金がどれだけ増えるか平成191月現在で、概算を出して見ましょう。

●定額部分=1,676円(厚生年金の定額単価)×12月×1.00×0.985 (平成18年価格)

●報酬比例部分=標準報酬月額×0.926H18.4~H19.3再評価率)×5.769/1000×12月×1.031×0.985

1)働きながら高年齢雇用継続給付と年金をもらう

60歳以降も勤務する場合、一般的に給料が下がることが多い現状です。雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金とは、賃金額が60歳に達した時点の給料とそれ以降の給料と比べて75%未満となった場合に、最高で新賃金の15%相当を支給するものです。雇用保険の加入期間が5年以上あり、基本手当を受けずに勤務している60歳~65歳未満の雇用保険の加入者が対象です。ただし、実際支払われた賃金と給付額の合計に上限があり(平成188月現在340,733円)、毎年8月に改定されます。65歳未満で在職しながら雇用保険と厚生年金に加入している人が特別支給の老齢厚生年金(在職老齢年金)と同時に雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を受給している間は、最高で標準報酬月額の6%に相当する額がさらに支給停止されて支払われます

(2)給与、給付金、年金を合計し、生計を考える

給与の収入により一部支給停止された在職老齢年金額が、高年齢雇用継続基本給付金を受けたことにより、さらに支給停止されます。例えば、60歳時に50万円だった人の給与が30万円(60%)に低下したとき、高年齢雇用継続基本給付金が45,000(15%)支給されますが、年金は30万円(標準報酬月額)の6%18,000円が支給停止されます。特別支給の老齢厚生年金が基本月額10万円だとすると在職老齢年金の計算式により6万円が支給停止され、4万円の支給になります。この在職老齢年金4万円からさらに18,000円が支給停止され、年金額は月22,000円になります。この月の生活費は、給与30万円、高年齢雇用継続基本給付金45,000円、在職老齢年金22,000円で合計367,000円になります。

(1)失業給付と年金、予め計算する

 65歳未満の人に支給される特別支給の老齢厚生年金は、失業して基本手当を受給すると基本手当の所定給付日数を受け終わった日の属する月まで、全額停止となります。

例えば、410日にハローワークで求職し所定給付日数が150日ある人が基本手当を受けると求職日の翌月の5月から基本手当の支給が終了する9月まで支給停止になります。

社会保険事務所で年金額を調べ、年金と基本手当どちらか得なほうを選びます。60歳で定年退職した場合は、年金は当面報酬比例部分だけですので、一般的には基本手当を受給したほうが有利になります。

(2)年金の支払開始まで3か月程度かかる

ハローワークで求職の申し込みをした後で、基本手当を受けないことにした場合、また基本手当を受けない月がある場合や基本手当の受給経過後、年金がでるまで3か月程度かかります。

(3)社会保険事務所にも届出が必要

ハローワークで求職の申し込みをしたときは社会保険事務所にも届出が必要です。この届けがないと年金の支払が保留扱いとなり、勧奨状が送られます失業給付を受ける場合は、年金の裁定請求より先にハローワークに行って手続してください。

(1)65歳から計算方法が変わる

在職者が65歳になると65歳に達した月の前月までの加入期間を算入し、新たに老齢厚生年金の年金額が再計算されます。

65歳から70歳までの在職老齢年金は、報酬比例部分のみが調整の対象になります。老齢厚生年金(加給年金と経過的加算を除いた月額)と総報酬月額相当額が48万円を超えた場合のみ、支給停止の調整が入ります。48万円以下であれば減額はなく、年金は全額もらえます。

70歳になると本来の年金支給になりますが、平成194月から60歳台後半と同じしくみで年金額が支給調整されます。厚生年金の保険料は払う必要はありませんが、健康保険料は引き続き加入し、給料から天引きされます。

(2)計算をしてみよう

 65歳になって、現役で働く例で試算してみましょう。

老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額:1,800,000

標準報酬月額       : 300,000

直近1年間の標準賞与の合計額   : 240,000円(12万円2回)

基本月額 + 総報酬月額相当額=150,000円+320,000円=470,000円・・・・<480,000円となるため、支給停止額は0円となり、全額支給されます。

(1)60歳から64歳までの計算

65歳未満の在職者の老齢厚生年金は、基本月額(加給年金額を除いた年金額を12で除した額)と総報酬月額相当額(標準報酬月額と過去1年間の標準賞与額を12で除した額の合算額)の合計額に応じて一部支給停止または全額支給停止になります。年金が全額支給停止になると加給年金もとまります。

会社から給与に関する届(資格取得届、月額変更届、算定基礎届等)が社会保険事務所に提出され、厚生年金の被保険者記録が更新されます。賞与は支払毎に提出され、直近1年の賞与の支払い総額の1/12標準報酬月額に加算されることから、毎月確認の上、支給停止額の計算がされます。年金額が変更になると社会保険業務センターから「支給額変更通知書」が送られます。

2退職するとどうなる(退職改定)

在職中に退職すると資格を喪失した日(退職日の翌日)から1カ月が経過した日の属する月に退職した月の前月(月末に退職したときはその月)までの加入期間を算入して年金額が再計算され、年金は調整されることなく全額支給されます。自動的に再計算されますので、自分で手続する必要はありません。

(1)在職老齢年金は給与額によって減額される

高年齢者雇用安定法が改正され、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入などにより、60歳以降も働くのが当たり前の時代になっています。そもそも老齢厚生年金は、働けなくなった老後を支える目的で、働いている人には支給しないのが基本でしたが、それでは年金をもらう権利がある高齢者の働く意欲をなくすことになります。60歳以降、定年後も会社の再雇用制度や別の会社に転職して、厚生年金に加入して働く(在職)場合、年金と報酬の合計額によって年金額の一部または全部が支給停止となります。この調整されて支給される年金を在職老齢年金といいます。

(2)働いても減額されない方法がある

在職老齢年金のしくみが適用されるのは、厚生年金の加入者ですから、自営業や不動産収入の人は関係ありません。また、会社に勤めていても、1日または1週間の勤務時間や1カ月の勤務日数が正社員のおおむね3/4未満のアルバイトやパートは、厚生年金に加入できませんので、減額されず全額支給になります。

(3)年齢によって計算方法が違う

在職老齢年金は、60歳台前半(6064歳)と60歳台後半(65歳以降)ではしくみが異なります。65歳以降は、老齢基礎年金が支給されるようになり、減額が少なくなる計算式となっています。

1昭和2841日以前生まれは60歳から全額

 特別支給の老齢厚生年金は、生年月日に応じて定額部分が段階的に引きあがりますが、厚生年金の加入期間が44年以上ある人が退職した場合、特例があります。60歳から報酬比例部分に定額部分と加給年金(対象者がいる場合)が加算された額の老齢厚生年金を受けとることができます。なお、女性の場合は5年遅れになります。

(2) 昭和2842日以後生まれは退職した年齢から

 特別支給の老齢厚生年金は、生年月日に応じて報酬比例部分が段階的に引きあがりますが、厚生年金の加入期間が44年以上ある人が退職した場合、報酬比例部分の支給の開始と同時に定額部分と加給年金(対象者がいる場合)が加算された額の老齢厚生年金を受けとることができます。最終的には65歳からの支給になります。

(3)障害厚生年金の受給権者も同じ特例

 加入期間が44年未満でも障害等級3級以上の障害状態にある人が退職し、老齢厚生年金を受ける場合、この特例を受けることができます。

1早くもらうことができる繰上げ支給には2つある!

老齢基礎年金の支給は65歳からですが、定額部分の支給開始年齢の引き上げにあわせて、もっと早くほしい人のために希望すれば最高60歳まで繰上げて年金を受けることができます。ただし、繰上げた期間に応じて年金額が一定の率で減額されるしくみになっており、一度申請すると生涯減額のまま支給されます。

繰上げの方法には、2つあり、計算方法が違います。

●全部繰上げ:65歳から受ける老齢基礎年金を60歳から65歳未満の希望する月(月単位で0.5%減額)から受けることができます。

●一部繰上げ:定額部分の年金と老齢基礎年金の一部を繰上げて、申し出月の翌月から受けることができます。60歳か定額部分の支給開始年齢になる月の前月までの間に請求します。

繰上げが損か得かは何歳まで生きられるかによります。いくらになるか社会保険事務所に行き、累積年金見込額を比較するのが早道です。なお、繰上げをした場合、障害基礎年金や寡婦年金を請求できなくなりますので注意してください。

2あとからもらうこともできる繰下げ支給

今すぐ年金をもらわなくても良い人は、66歳を過ぎ70歳までに繰下げて申請をすると、増額(月単位で7%増額)した年金を生涯受け取ることができます。

(1)老齢厚生年金の計算方法

特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分が、同じ計算方法で65歳からの本来の老齢厚生年金に引き継がれます。老齢厚生年金は加入期間の上限がないので実際の加入期間で計算します。65歳になるまで在籍していた人は、厚生年金の加入期間を加えて再計算されるため65歳からの年金額が増額されます。

(2)差額を経過的加算で調整する

65歳以降の年金額が減らないように経過的加算が、厚生年金から支給されます。経過的加算は、定額部分の額から厚生年金の加入期間のうち昭和364月以降で20歳以上60歳未満の期間の老齢基礎年金相当額を差し引いたものです。

(3)老齢厚生年金の繰上げ、繰下げ

 報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられる人は、60歳から支給開始年齢に達するまでに老齢厚生年金の繰上げ受給ができます。このとき老齢基礎年金も同時に繰上げて請求することになりますまた、平成194月から、65歳からの老齢厚生年金も繰下げることができるようになります。

(1)老齢基礎年金の計算

 老齢基礎年金に切替ると定額部分の計算方法が変わります。40年加入すると、満額792,100円(平成18年度)の定額になりますが、加入期間が足りない場合はその分が減額されます。

国民年金ができた昭和364月当時の年齢に応じて、60歳になるまで30歳だった人は30年、25歳だった人は35年、20歳未満だった人は40年の保険料を納めれば、満額の老齢基礎年金が受けられます。老齢基礎年金をいくらもらえるかは自分でも簡単に計算できます。なお、この老齢基礎年金の額は毎年改定されます。

2)会社員の妻も同額もらえる

 会社員の妻は保険料を納めてなくても、第3号被保険者として届出をしていれば保険料納付済期間として、毎月保険料を納めている第1号被保険者と同様の年金を受けられます。

3)第3号被保険者の特例届出制度

 昭和614月から平成173月までの未届(未納)期間について、届出をすれば特例的に保険料納付済期間とすることができます。平成17年の届出もれ期間については、届出をして保険料納付期間に算入されるのは、原則2年までです。ただし、やむを得ない理由と認められれば2年以上さかのぼって保険料納付済期間に算入されます。保険料はとられず年金が増えますので、第3号被保険者のかたは、社会保険事務所に行って加入記録を確認してみましょう。