以前から、ちょっと不思議に思っていた。
物語の中には「束縛系男子」
という人気ジャンルがある。たぶん。
「俺以外の男を見るな」
「お前は俺のものだ」
「どこにも行くな」
現実で言われたら
「うざいわ。私の行動に口出すな」
となりそうな台詞なのに、
物語の中では「きゃー!」となることがある。
これは一体どういうことなのだろう。
内向的メンドクセー属性ISTPのプライドをかけて
ナゾを解明すべく思考を巡らせる。
「女性は束縛されたいのか?」
と考えてみたが違う。
現実の束縛系男子は、むしろ嫌われやすい。
(「やすい」と表現するあたりは私の優しさ)
とすると、物語と現実の間には何がある?
まず大きいのは、物語では
読む自分が最終的な主導権を持っていること、
ではなかろうか。
物語は嫌になったら読むのをやめればいい。
その男から一瞬で逃げることができる。
「今日は束縛されたい」という気分で読んで、
翌日は別の作品を読むこともできる。
物語の中では「束縛される自由」がある。
現実には ない。
「他の男と連絡するな」
「誰と会うか教えろ」
「その服を着るな」
となれば、束縛は実際に
こちらの生活圏へズカズカと侵入してくる。
「萌える束縛」と「迷惑な束縛」
明暗が分かれるのはこういうとこ。
さらに、物語の束縛には、
ほとんど必ず「意味」がついている。
「他の男を見るな」という台詞の裏に、
「お前を失うのが怖い」
「お前だけが特別だ」
「誰にも渡したくない」
という男の内面が描かれる。
つまり読者が受け取っているのは、
単純な「行動制限」ではない。
「それほど私を欲しがっている✨️」
という情報なのだ。
しかも物語の束縛系男子は、
たいてい束縛だけをしているわけではない。
美しい。有能。強い。一途。
普段は冷たいのに主人公にだけ甘い。
いざという時には守ってくれる。
つまりこれは
「束縛する男」が人気なのではなく、
「魅力的な男が自分だけを特別扱いしてくれる」
というセットが人気なのではなかろうか。
ここまで考えると、
「束縛されたい」という言葉も疑わしくなる。
本当に欲しいのは、自由を奪われることではなく
「私を失いたくないほど欲しがってほしい」
「他の誰でもなく、私を選んでほしい」
「あなたにとって私は唯一であってほしい」
こちらのほうが近いのではないだろうか。
そして、ここが興味深いところ。
「私を独占したい」と
「私の自由を奪う」は、同じではないのだ。
「他の誰にも渡したくないほど好き」は、
愛情として受け取れる。むしろウェルカム。
だがしかし「だから友達と会うな」となった瞬間、
それは相手の愛情ではなく、
「こちらが相手の不安を処理する道具」
にされることとなる。
物語では、この二つを安全に混ぜられる。
「俺以外を見るな」という強烈な独占欲を楽しみながら、
読者自身の自由は一切失わない。
物語の需要はここにある。
なので物語では「もっと束縛して!」であっても、
現実では「私を束縛するな!」が成立する。
これは矛盾ではない。
むしろ、
「あなたが私をどれだけ欲しがるか」
はあなたの自由だけど
「そのために私が何をするか」は私が決める。
という線引きが、ちゃんと存在しているのだと思う。
そしてこの構造は、男性向けの物語にも
少し形を変えて存在する。
女性向けでは「私だけを強烈に欲しがる男」
男性向けでは「複数の女性から自分が選ばれる男」
一見正反対だが、どちらにも、
「自分が特別な存在でありたい」
という欲望が見える。
ああそうか、恋愛というのは
相手を所有したいというより、
「あなたにとって私はどんな存在なのか?」
を確認したくなるものなのかもしれない。
だから物語では、
危険なほど濃縮された独占欲を楽しめる。
だけど現実では、その独占欲によって
自分の人生が支配されてしまう。
物語の束縛系男子は支持されても、
現実の束縛系男子が支持されない。
その理由は、女性が矛盾しているからではない。
「愛されること」と「自由を失うこと」は、
まったく別物なんだ。
そして人間は案外、
その二つをちゃんと区別しているんだな。
たとえ本人が、それをいちいち言葉にしていなくても。
紅弦10月の予定
【鑑定所】
10月10日(土)静岡PARCO「占いのアリーナ」
10月18日(日)沼津駅アントレ2階『えにし屋』
10月25日(日)沼津駅アントレ2階『えにし屋』
【個人鑑定】
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【電話鑑定】
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