春一番が吹く頃に昔、おーいお茶の新俳句大賞に「父の背を越して十五の春一番」という句があった。まだ茶色い山々にやわらかくなり始めた日差しと木々を激しく揺らす突風。その中に、制服の袖から手首をのぞかせたあどけなさの残る男の子の後ろ姿。まぶたの裏に浮かんだ情景は春一番のこの季節に鮮やかに、感動を呼び起こす。何年前の句か確認したら第6回、なんと四半世紀も前の句だった。瞼の裏の男の子は、あの頃の姿で今年も風の中に立っている。