とあるクリニックのこと。
そこでは上部内視鏡検査(胃カメラ)と下部内視鏡検査(大腸カメラ)を同日に鎮静(麻酔みたいなもの)をかけて、一気に終わらせるのが売りだった。
開院してしばらくは順調。
しかしレセプト(医療費の患者が払わない部分を保険請求するための請求書)で査定されるようになってきた。
「先生、同日上下はレセが通りません。若い人の鎮静も査定(保険が支払いを拒否)されてます」
「うちはそれが目的で来るからね。何とかしてよ」
事務長に相談。
「病名は何ですか?」
「胃がん疑いと大腸がん疑いです。」
「病名を分けるか、詳記(症状詳記…レセプトだけでは不足する事項を追記)しかないですね」
「全例ですか?」
「全例ですね」
1枚目、消化管出血の疑い
便潜血陽性のため紹介受診。
下部内視鏡検査施行したが、明らかな出血を認めず。
精査のため、上部内視鏡検査を施行。
出血点検索に難渋し、鎮静を要した。
2枚目、大腸ポリープ、逆流性食道炎
繰り返す下血を主訴に来院。
呑酸の訴えあり、鎮静下に上部下部内視鏡検査同時施行。
横行結腸にポリープを2個認めた。
また逆流性食道炎の所見を認めた。
3枚目…
「事務長!今月100件あります!」
患者にとってありがたい病院が社会経済的に良いかは別問題。














