ポール・マッカートニー 語録 過去録 ポールが語るエピフォン・テキサン1964年モデル その3 | ポール・マッカートニー 語録

ポール・マッカートニー 語録

Paul McCartney In His Own Words

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(「ポールが語るエピフォン・テキサン1964年モデル その2
から続く)

https://ameblo.jp/paulmihow/entry-12862052932.html

 

 

【父親の演奏していた音楽】

 

僕の親父がやっていた音楽はスキッフルでも、ブルースでも、

ロックンロールでもなかった。僕が生まれた時から聴いていた

ようなスタンダード・ミュージックだったよ。「スターダスト」とかそういうやつだ。僕はホーギー・カーマイケルが大好きだよ。今でもこういう音楽に立ち返る時がある。僕の書く曲を

バラエティに富んだものにしてくれるし、みんなをアッと

言わせたいようなときには持ってこいの音楽なんだ。

 

 

【ギターを弾き始めたころ】

 

僕とジョンはそれぞれアコースティックギターを持ってきて、

まずE、A、そしてBコードから始めた。そしてだんだんのめり

込んできて、C#とかセヴンス・コードとかをやりだした。

それまで使ったことのないコードを発見した時のすごい興奮を今でも覚えているよ。それだけで新しく5曲書くことができるし、今書いている曲をもっといいものにすることもできるんだ。

 

 

【初期ソロのアコースティック】

 

ビートルズとしてやっていたときは、ギタリストが2人いたから

僕もギターを弾くとギターが3本になった。3人でアコースティ

ック・ギターで曲を弾いてみて、そこからエレキに発展させた

ものによっては元のヴァージョンが良くて、アコースティックのままにしたものもある。僕の最初のころのソロ・アルバムでは、一緒にセッションをして曲を発展させる人がいなかった

つまりジョンもジョージもいなかった。だから「ジャンク」

「テディ・ボーイ」「ハート・オブ・ザ・カントリー」など、

アコースティックのままの曲があるんだ。もちろんアコースティックのままのほうがよく聞こえるからだけどね(笑)。

 

 

【変則チューニング】

 

僕はチューニングを変えて弾くことはしない。たまにDコードの曲のとき、低いEの弦をDに下げることがあるけどね。僕も運営にかかわっている「リヴァプール・パフォーミング・アーツ」の音楽部門の学校管内に「当校では「Blackbird」を演奏するための特別なチューニングをお教えします」って書いてあるんだ。

それを見て、おい、そんなことする前に僕に見せろよ、

と思ったね。

 

別にビートルズだからと言って特別なアプローチがあったわけ

ではないんだ。それなのに、みんなは、僕たちがやったこと

以上のことを分析しようとする

 

 

【ポールに影響を与えた先人たち】

 

僕がフィンガーピッキング奏法に興味を持ったのは

チェット・アトキンスのおかげだ。彼の『ダウン・ホーム』

というアルバムに入っている「トランボーン」という

インスト曲があって、みんなこれを覚えようとしたんだ。

 

カール・パーキンスチャック・ベリーバディ・ホリーデニー・ライト(ロニー・ドネガンのバックでギターを弾いていた)たちは素晴らしく、僕は大好きだった。

 

ウッディ・ガスリーランブリン・ジャック・エリオット

アコースティック・フォークも好きだったよ。

レッドベリーもよく聞いた。でもどれもピンとこなかった。

 

あるとき、これだ!と思うのがあった。

それがチャック・ベリーだったんだ。

次にこれだ!と思ったのはスコッティ・ムーアだったよ。

(スコッティ・ムーアはエルヴィス・プレスリーの

バックでギターを弾いていた。)

 

僕はいろんなものが好きだった。いろいろなものを取り上げては、だんだん消化していったんだ。僕のヴォーカル・スタイルもそういうところがあるね。僕はエルヴィスが大好きで、

彼の曲のいくつかを彼になりきって歌ってみた。

同時にリトル・リチャードも大好きだったんだよ。

 

『マッカートニー』に収録されている「Man We Was Lonely」では、ジョニー・キャッシュになりきった。よくできたと思うよ。ジョニー・キャッシュ本人に聞かせたこともあるんだ。

 

そのころ使っていたのは「マーティン D-28」だった。

僕はいくつか家を持っているけど、それぞれの家に1つずつ

アコースティック・ギターを置いてある。

 

 

【機材へのこだわり?】

 

腕のいいエンジニアのおかげで、今でもいいアコースティックの演奏ができるよ(笑)。これは、いい音を録りたいと思っている人への、僕からのアドバイスだ。腕のいいエンジニアを得よ。彼らはマイクを用意して、僕は歌うだけ。それでいい音が録れる。もし音が良くないと手を加えることがあるけど、だいたいは

エンジニアを信頼するよ。

 

僕が機材について無頓着なことを証明してしまうエピソードが

あるよ。ニューヨークの楽器店に行った時のことだ。

店員が僕のことに気づいて「私もベースを弾くんです。前から

知りたかったんですが、あなたはどの弦を使っているんですか」って聞いてきた。僕は「長くて光っているやつを使っているよ」って答えた。別に笑わそうと思って言ったわけじゃないんだよ。本当に自分の弦を知らなかったんだ。僕にとっては重要なこと

じゃないからね。どんなものでも僕は弾くよ。僕は機材については全然うるさくない。機材より演奏と曲のほうが重要なんだ。

 

(終わり)

 

2014-10-01 ロックの歴史を追いかける