Perfumeは倒叙ミステリか? | 全身蜂の巣

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煩悩を持て余せ!

 

 

 

 

Perfumeは、彗星のように現れた、そう思われていた2007年から2008年。

 

 

 

 *注

 

「倒叙ミステリー」は、最初に犯人や犯行過程がわかり、主に犯人視点でストーリーが展開される話

 

 

 

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 私、”大本”は今、NHKの控室に居る。

各界のホットな人物を紹介する番組に呼ばれ、本番を待っている。

呼ばれた、というよりも、事務所が番組のオファーを受けたという言い方が正しいかもしれない。

 

 「本番ですよ。ステージ上手で待機してください」

 

声が掛かった。ここからが私、大本のほんとうの”仕事”が始まる。

 

 

 

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 番組MCが立ち上がって拍手で迎えてくれる。

今、私たちは旬なユニットと思われている。

実は8年もやっているのだ。

自己紹介を促され、私は自分の愛称を使って最高の笑顔を披露する。

 

 

 

 

 ”テクノポップユニット”

 

そう世間は誤解してくれる、ここからが仕上げだ。

私たちの振付も独特だと思われている。

 

しかし、ほんとうは地方の芸能育成スクールで偶然出会った先生に振り付けてもらっているだけだ。

その偶然を世間は必然のように思い込んでいる。

 

 「独特に見えるのが、けっこうリズムの取り方が難しいんですよ」

 

仕上げの滑り出しは順調だ。このまま複雑なダンスと思い込んでもらうと、

この後の過去曲披露も芸術的に見えるはずだ。

 

 

 

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 番組は進み、楽曲の話題になった。

完璧な計算で作られた曲だと思われているようだ。

しかし、ほんとうはステージでの再現性をまったく考えていない作曲者の趣味性だけで作られている。

 

 「熱唱した声を乗せちゃうと、けんかしちゃって、声が」

 

それっぽい解説ができた。

上手く進んでいる、このまま世間の誤解を加速させるだけだ。

 

 

 

 

私は事務所に言われたことを言われたまま行っているに過ぎない。

最高の笑顔でウソついて、シークレットなメッセージとイメージを作り上げるのだ。

 

 

 

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 観覧者からの質問コーナーに入った。

もう少し、もう少しで私たちのキャラクターが確立される。

仕込んでおいた”さくら”の女性は紫の服を着ているはずだ。

それとなく指名する。

 

 「普段はどんな服が、ファッションがお好きですか」

 

基本、スカートは履かずズボンが多く、暗めなカラーを好む、と、予定調和な発言をしておいた。

しかし、ほんとうは気に入った格好であれば毎日同じ服で良いのだ。

持っている服を全部捨てても気にならない。

ここでオタク気質を見抜かれるわけにはいかない、

が、うまくボーイッシュという枠に収めた。

 

 

 

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 コーナーは進み、出身地や来歴を探るようだ。

ここまでくれば、ほぼ安心だ。

地方の田舎町で育った少女のシンデレラストーリーと思わせるチャンスだ。

 

 「いろいろスクールを選んだりしてたんですけど、結局、行ってた芸能スクールに入った」

 

ここまで偶然性を強調すれば納得されるだろう。

たまたま出来上がったユニットという唯一無二の存在感が必要なのだ。

 

 「あ~ちゃんと仲良くなったんですよ、で、ガッと来てくれたんで、消極的だった私も・・・」

 

完璧なストーリーだ。

実は長い髪が好きでフェミニンな装いを好むことなど誰にもバラしたくない。

全身黒い服で居るような、無口でマニッシュなキャラ設定にブレはない。

そういった緻密な戦略が私たちには必要なのだ。

 

 

 

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 番組スタッフは芸能スクールに取材に行ったようだ。

想定内の出来事に内心ほくそ笑む。

ボーカルトレーナーの田中先生含む講師陣には根回し済みだ。

 

 「その中で、のっちは、やはり一人クールでしたけど・・・」

 

私の勘は当たっていた。根回しの成果が発揮されたのだ。

ほんとうは、毎日ゲームばかりしているとは誰も思わないだろう。

そうっ、私は”クール”なのだ、外見は。

 

 

 

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 絶好のタイミングで2年も前の曲を披露できた。

その曲は、作曲者がマイブームに乗って単純なコード進行だけで作った曲だ。

当時、作曲者は歌詞も思いつかず、適当に、”ああ あああ オ-イェイ” と歌っていたりする。

 

こういった、”本当のこと”に気付かれてはマズイ。

ほんとうのコトを知りたいのだろうが、

知られてしまうと、私たちの足元が震えて砕けてしまう。

 

 

 

 

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 大ラスの締めがやってきた。

今日の私はパーフェクトスターだった。

 

 「みんなが頑張ってくださっているので・・・」

 

イイ感じのコメントもできた。

正体がバレないうちに鬼ハケしよう。

 

 

 

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 私は、この時の”私”を演じ続けている。

しかし、

初めは演じるだけのつもりが、継続する過程で自分の内面とつながり始めた。

 

もう、私は、

 

 ”のっち”

 

この場所が揺るぎない自分の場所になった。

 

あなたは、この倒叙ミステリーのような物語の真相に気付くのだろうか。

私は、アナタが気付こうが気付くまいが、すでにどちらでもよくなった。

 

このままでいい。

私という概念は、アナタと私の関係性の中でのみ形成されているのだから。

 

 

 

 

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・・・「そんな倒叙ミステリーいやだっ!」・・・というアナタ

 

 

 

 

 

 ”謎は謎のままでいい”

 

 

・・・「そんなぁっ」

 

 

 

 *追記

この記事は”倒叙ミステリ”風に事実を捻じ曲げた筆者の激しい妄想です。誤解のないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *蛇足 Perfumeさんにあやかって、読む人に委ねるブログを追求したいと思う。

 

 

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