新しいお菓子はどこ?の話 | ~ 今日もいい天気 ~

~ 今日もいい天気 ~

仏菓子職人&パティスリーインストラクターが
『美味しいものを正直に』お話するブログです。

おはようございます!

今日もいい天気ですね!晴れ

 

 

 

このページは若いパティシエに向けてお話します。

同業者に対しておこがましいというのは重々承知しておりますがどうぞお許しください。

🙇💦

 

プロのパティシエになるとどのお菓子も

「似てる」

ように見えてくる時期がやってきます。

※悪い意味ではありません。またそう感じない人もいます。

コンクールなどのレシピを見ても

「よく見る素材の組み合わせ&構成」

「仕上げもどこかで見たことがある」

ほっこり

こんな感じでプロになり数年たつと

「新しいお菓子」

のテーマで会話される事がよくあります。

若い日本人パティシエあるあるです。

※もちろん個人差はあります。

ニコ

これは良い事です。

幅広い想像力(感性)を育てるのは自分自身の経験を基に考えるしか方法がないと思うからです。

 

※話を聞く素直さは大切ですが、人からの話だけでは勘違いも起こりやすく、あまり意味がありません。

仮に幼稚な事だとわかっていても冷めた視線を向けず自分で考える事が必要だと思います。

レシピについても自分でコンクール用のお菓子を考えると先人の凄さに気付きます。ほっこり

 キラキラ

🏆 誕生日帽子音符

 

 

昭和の時代、飛行機により海外への壁が低くなり平成後期にはネットにより情報収集が格段にしやすく海外の情報も身近になりました。

令和の時代では業界誌に頼らずとも短期間に(一度に)多くの専門情報を効率よく知る事が出来ます。

物流も発達しあらゆる物が手に入りやすくなりました。

※よく言われている事ですがネット情報は洋菓子界でも悪気の有る無しに関わらず間違いが多いので気を付けましょう。

飛行機 船 トラック 💻

 

 

現在地(今)を知ると

「この先は?」

と、なるのが自然な感情です。

ソコ(自然な感情)に手に入りやすくなった浅い情報が加わっても

「あまり変わってない?」

と感じるのも当然だと思います。

※「昔はこうだった」

は嫌われるのは百も承知で言いますが、ほっこり

「昔は色々知るのに苦労しました」

本屋さんや図書館に行ったり。

電話帳調べて地図を調べて捜し歩いたり。

こうして得た情報は一つずつが貴重で自分の中で深い情報として残りました。

byおじさん🧓🏻

 

ドーナツ プリン ピンクマカロン チョコカップケーキ

 

※ここからは前提として、私はフランス菓子が専門ですが日本人なのでソコを踏まえて読み取って欲しいのですが…

フランス菓子はフランスの伝統文化です。

しかし日本人にとっては、まだ伝わって半世紀程度の新しい外国の文化です。

伝わったその内容にも、広がり方にも偏りがありますし(日本人の私が言うのも変ですが)

「間違って伝わってるな」

という部分もあります。

ほっこり

 

では

「若いフランス人パティシエは?」キョロキョロ

と気になると思います。

これも全員ではないと前置きしますが日本人と同じでやはり

「新しいお菓子とは?」

と常に探していると思います。

👩🏻‍🦰👨🏻‍🦰👱🏻‍♀️👱🏻‍♂️

ただ我々と違うのは彼らは

「伝統を引き継ぐ」

という感覚がある事です。

「新しい事を知る」

という感覚だけがほとんどの日本人パティシエとは決定的に違います。

「ソコを極めずして先はない。」

とまで言うと言い過ぎかもしれませんが、私の出会った同年代のパティシエ達はそんな感じでした。

※チョット近いお話をしたページです。

👇よかったら

 

※このページもよかったら。

フランス人のフランス伝統菓子のとらえ方を私視点ですがお話ししました。👇

 

 

🚀 🐎 

ひとつ面白い?エピソードをお話しすると、若い頃私と数人のフランス人パティシエ達とで

「美味しいミルフィーユ」

について長時間語り合ったことがあります。

フランス

人にこの話をすると

「ミルフィーユの何?」

について話すと長時間になるのか?

と思われますが、彼ら凄いんです。ほっこり

箇条書きにしてみます。

・パイ生地の厚さ、浮き加減(ピケ)、焼き加減

・キャラメリゼの仕方、及び片面か両面か。またその厚さ

・フォンダンの厚さ

・フォンダンの前にパイに塗るジャムの煮詰め加減

・カスタードクリーム?もしくはムースリーヌ?

・カスタードクリームの粉はコーンスターチ?ジャガイモデンプン?

※同じ配合でもカスタードクリームの粉【Poudre à crème】のブランドによって

「トロッ」と仕上る粉。

「プルッ」と固まる粉などがあります。

・カスタードクリームは完全に冷やしてからホイッパーで戻す?(コシを切る)※軟らかくする。又は少しぬるいくらいのタイミングでサンドする?

※しっかり(ぷりっと)固まり保形性も良くなります。

・パイ生地とクリームの割合は?

・本当にパイ生地は3枚がベストか?

・なぜ今こうなっている?

などなど…話は更にディープになります。

スイーツ愛

🌃これ一晩かかります。笑笑

zzz

たぶん日本人では和菓子職人とか宮大工さん、和服の仕立て職人さんなどの方がこの感覚理解できると思います。

 

 

ニコ

 

では若いパティシエが期待するような

「全く新しいお菓子は生まれないの?」

と言われれば、

基本的に

「進化は少しずつ」

です。

経験が浅ければ見極める物差しが短いのでなかなか気づく事はできません。

ほっこり

 

では

「わかりやすい大きな進化は?」

ニコ

それはどこかのタイミングでそれまで考えられなかったような道具、または素材が生み出された(発見された)りすると一気に何かが動く。

そんな気がしています。

※過去の例で言えば

「冷蔵(凍)庫」が一般的になった。

や、「シルパットなどシリコン素材の道具」が開発された。

など。

ニコ

新しい道具や素材が現れた時、より有効に活用する為には仏菓子の経過(歴史)を正確に知っておく必要があると思います。ほっこり

知った上で色々考えておくと…

なかなか納得が出来ず

「未完成のままの事柄」

が増えて自身の記憶に蓄積されます。

そしてある時

「始めて見る材料」

「新しい道具」

がピタッと最後のパーツがはまるが如く完成され大きな前進となる事がおきます。

つまり新しいお菓子が生まれます。

 

ほっこり

そして洋菓子に限らず多くの文化は過去を正確に理解していなければ正しく進化しないと思っています。

間違った解釈で進もうとするとそれまで積み上げたものが台無しになってしまう、そんな気がします。

ニコ

ただ一概に否定できないのは

「ソコ(間違い)から新しい文化が生まれる事もあるなぁ」

とも思っているので…ウインク

どちらにしても先に進もうとするエネルギーは年齢に係わらず常に持っていることが必要だと感じています。

 

 

考えるエネルギーは

空想でも良いと思います。

『絵空事』

 

ニコ

 

セキセイインコ青 ネザーランド・ドワーフ 鳥 ヒヨコ

 

「だから何なんだ?」

というような内容ですがいかがでしたでしょうか。

 

普段このブログでは、学生や趣味の人を対象にお話ししているのでその層の方達には

「ピンと来ない」

感じだと思います。

すいません。

凝視目うさぎ真顔真顔

誰かの何か(できればお菓子)を考えるきっかけになっていたら嬉しいです。

ほっこり

 

 

~最後に~

このページを書くきっかけはフランスで働くある若い日本人パティシエからもらったコメントです。

私のブログは若いパティシエにとっては

「ウザい」

と感じられると自覚しているので、その年齢層の人がこのページに辿り着いてくれた事と感想を持っていただけたことに驚きました。

そして年齢の違いはありますがフランス菓子に携わる日本人として同志のように感じて嬉しかったです。

ほっこり

 

 

それでは皆さんバイバイ

愛ある一日を!

 

 

 

お団子 クッキー ショートケーキ ペロペロキャンディー コップ ロールケーキ

 

~おまけ~

※「新しいでしょ!」

と得意げに見せた後

「過去に同じものがあった」

のを知るとちょっと気まずいでしょ。ウインク

それも経験ですが。笑

 

※ラズベリーとショコラの組み合わせ。

フランス菓子では鉄板中の鉄板です。

それこそ日本に仏菓子が入って来る遥か以前からある組み合わせです。

「遥か以前って何時?」

正確には分かりませんが組み合わせ自体は何十年何百年前からあります。

今でも日々進化し続け、大きな世界大会でもかなり頻繁に(おそらく一番多く)見られる組み合わせです。

 

ラズベリーは日本では名前は知られていますがポピュラーなフルーツではありません。

日本人でフレッシュのラズベリーを食べたことがない人なんて全然珍しくありません。

しかしフランス人にとっては当たり前のフルーツでフレッシュ以外でもジャムやパートドフリュイなどを含めると

食べた「量」「回数」は

日本人とは比べ物になりません。

つまりフランス人の舌の記憶も日本人とは比べ物にならないという事です。

チョコレートもラズベリーほどではありませんがやはり口にする

「回数」「量」そして「シチュエーション」の数

はフランス人の方が遥かに多いです。

つまりド定番のラズベリーとショコラのレシピを考える時、彼らの方が圧倒的に幅広いパーツを持っています。

ほっこり

同じ

「ラズベリーとチョコレートの組み合わせって昔からあるよね。」

の言葉にも根柢の意味合いには

「経験の差」「情報の質と量の差」

が全然違うという事です。