弁理士が著作権法に違反? | 商品・製品を守る知恵 by弁理士バッカス

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たとえば、新規性喪失の例外の適用を受けるときや誤訳訂正のときなど、論文や技術用語辞典などのコピーを添付書類として提出することがあります。


事実を証明するためにはこれらの書類は不可欠になります。


でも、論文も技術用語辞典も著作物です。


これをコピーすることは著作物の複製になりますが、著作権の侵害にならないのでしょうか?


どう思いますか?


行政庁である特許庁に対する手続上必要なことだから侵害にはならない?




実際に、多くの人がこうした行為を著作権者の承諾を得ずにしていたと思います。


確かに、以前から、裁判などで必要な行為であれば、例外的に著作物を複製することが認められていました(著作権法42条)が、ちょっと前まで出願人などがこうした複製行為をしてよいという例外規定はなかったんです。


ですから、こうした複製を著作権者に無断で行えば、本来は、著作権の侵害となるのですが、問題とされていなかっただけなんですね。


平成19年に法改正があって、今は、「特許等の審査に関する手続」においては必要と認められる場合に著作物の複製が認められるようになったので、著作権の侵害にはならなくなりました。




実際に、特許庁に対する手続上で必要になった複製行為があるごとに著作権者の許諾を得ていたら本当に大変なので、当然のような気もします。


このように、著作権法は、実際の社会で普通に行われていることが違法状態で、これを違法とするとあまりに都合が悪くなると、例外規定をよく設けています。


コンビニにあるコピー機を使ったコピーを例外的に認めているのもこうしたことによるんですよ。


ちょっとは著作権法が身近になりましたか?(笑)