「美女はつらいの」仮処分却下 | 弁理士Hの気まぐれメモ

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カモノハシのイコちゃんをこよなく愛する38歳弁理士♂が、日頃の仕事で知り得た情報でメモっておこうと思ったことや、思ったことをとりとめもなく発信します。

著作権に関する興味深い裁判例が出ました。日本の漫画をベースにしたミュージカルが韓国であり、それを日本に持ってきて上演するらしいです。

原作とされるのは、「カンナさん大成功です!」という、美容整形で美人になったけど、ブスな時代の性格は変わらないため、引き起こされるドタバタ劇。個人的には「白鳥麗子でございます!!」「オマタかおる」などのマンガが好きだったので、作者の鈴木由美子さんも好きです。

背景をよく知らないし、判決文も読んでいないのでいいかげんなことは言えませんが、裁判所の判断によると、「設定が異なり、原著作物に依拠していない」ということのようです。

しかしながら、韓国で公開された映画ではライセンスが発生している点、また韓国でのミュージカルでの合意がない点などを総合的に勘案すると、現著作物に依拠しながら、内容を大幅に変えている、すなわち、翻案権侵害、同一性保持権侵害などが認められる案件ではなかろうかと思うのですが。最近弁理士会の著作権講座を受講しているので、いい勉強になるかもしれません。判決文を入手したら読んでおこうと思います。

一つだけ私見を。これだから、韓国とは関わり合いになりたくありません。

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以下、読売新聞のサイトより引用。

(1)こちらは仮処分決定の方。

松竹が8日から上演を予定している韓国ミュージカル「美女はつらいの」を巡り、漫画家の鈴木由美子さんが著作権侵害で松竹に上演差し止めを求めた仮処分申し立てについて、東京地裁は3日、却下する決定をした。大須賀滋裁判長は「(鈴木さんの)漫画とミュージカルの基になった映画は、多くの点で舞台や人物の設定が異なり、著作権侵害にあたらない」と述べた。

作品は大阪松竹座で上演予定で、松竹は「予定通り実施する」としている。

鈴木さんは1997年、講談社から漫画「カンナさん大成功です!」を刊行。韓国では2006年、鈴木さん側の許諾で、漫画を基にした映画「美女はつらいの」が公開されたが、08年に映画をミュージカル化した際には許諾はなかった。

鈴木さん側は「容姿の悪い女性が全身の整形手術を受け、美人に生まれ変わる設定などが同じ」と主張。大須賀裁判長は「漫画の舞台は大学だが、映画は音楽業界が舞台で、登場人物の関係の描き方も異なる」として、ミュージカルの基となった映画は著作権は侵害しないと判断し、ミュージカルも著作権侵害には当たらないと結論付けた。

松竹は「正当な判断を下していただいた」とコメント。講談社は「著作権者の真摯な訴えを踏みにじる不当な決定で極めて遺憾。更なる法的措置も検討する」とのコメントを出した。

(2011年10月3日20時53分 読売新聞)

(2)こちらは仮処分申請の方。

松竹が10月から上演を予定している韓国ミュージカル「美女はつらいの」を巡り、漫画家の鈴木由美子さんが、「原作者の許諾がないまま上演するのは著作権の侵害にあたる」として、松竹に上演の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てたことがわかった。申し立ては14日付。

同ミュージカルは、美人歌手のゴースト・シンガーを務める体重125キロの女性がプロデューサーに恋をする物語。10月8日から11月6日まで大阪松竹座(大阪市)で上演される予定。

鈴木さんの漫画を出版している講談社によると、同ミュージカルは、鈴木さんが1997年に刊行した「カンナさん大成功です!」を原作とし、2006年に韓国で公開された映画「美女はつらいの」が基になっている。講談社は映画化の際、韓国企業に許諾を与えたが、ミュージカル化を巡っては、08年、映画にも関わった別の韓国企業と合意に至らないまま韓国で上演されたという。

鈴木さんは「心血を注いで生み出したキャラクターとストーリーが自分のものとして認めてもらえず悲しい」とコメント。講談社は「作家の創造性を尊重する姿勢のない上演は許されない」としている。

一方、松竹は「基本的には講談社と韓国企業の問題と認識しているが、今後も講談社と交渉を続けたい」(広報室)とし、上演は予定通り行うという。

(2011年9月15日 読売新聞)


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