初めて降り立つシカゴ、オヘア空港。
港内のレンタカー屋で無駄にデカい 「フォード」 のワンボックスを受け取り、、、悦ちゃんと2人、地図を見ながらなんとか空港エリアを脱出。
フリーウェイに乗って、街を目指して走る。
やがてビル街が近づくと、フリーウェイのサインボードに 「Chicago loop 」 の表記が。
「ん?loop? なんだそれ?」
「なんだろ? けど街の中心っぽいから、ここでいいんじゃない?」
普通、フリーウェイが街中に近づくと 「downtown LA(ロサンゼルス)」のように表示されるのが普通だが、、シカゴの場合、街の中心に電車の高架線路がグルグルと巡らされているために、「 loop」 と呼ばれている。
もっとも、そう知ったのは後の話しで、、、その時は、とりあえず建物が密集してるからこの辺でいいか、みたいな感じだったが、、。
シカゴには、シアーズタワーのような巨大で近代的なビルがあるかと思えば、既にアンティークになっているような、古めかしい建物も多い。
禁酒法時代、ギャングの親分 「アル カポネ」 が暗躍した街。
馴染みのあるロサンゼルスのダウンタウンとは、、、街の持つ重々しさが、全く違った。
ともかくフリーウェイを降り、、、旧市街を走ってみる。
雑貨屋や洋服屋、自転車屋や小さなレストランなどが雑然と並ぶ下町っぽい通りで、安そうなタイ料理屋を見つけ、まずは腹ごしらえすることに。
食事をしつつ電話帳を借りて、市内のアンティーク屋の電話番号や住所を片っ端から書き出し、、、店の女の子に、おおよその場所を聞いた。
そして最初に飛び込んだアンティーク屋に並んでいる品物を見て、、
「えっ?!」
驚いた。
安い!
雑貨も食器も、ジュエリーや時計も、みんな安い。
ロサンゼルスと比較して少なくとも3、4割、、、物によっては、半額以下だろうか!!
「悦ちゃん、安いよ! ほら見てみ、ほら!」
「えー、そうなんだ。 よく分かんない、、。」
仕入れが初めての彼女には、、、ピンとこない様子。
「これも買おう。 これもあれも。」
一人で盛り上がって、、、あれこれ買い込む。
清算をしながら、ふと思った。
もしかして、この店が特別に安いのかも?
しかし、2軒、3軒と店を周るうち、、、そうでないことがハッキリした。
やっぱり安い。
ある意味、ショックだった。
なんと、全米第2位の大都市シカゴの街中ですら、、西海岸のロサンゼルスあたりと較べて、これだけ違うのか。
「西海岸はダメだ。」
一年前の I さんの言葉を想い出して、、改めて有難く思った。
それにしても、ここでこれだけ違うということは、、、これから目指す田舎町は、一体どんな感じなんだろう?
電話帳から書き出したアンティークショップは、まだまだあった。
でもよく考えれば、、、シカゴには、最終日にも戻って来れる。
田舎街でガンガン買い付けした後でも、遅くはないのだ。
「よし。 行くぞ !!」
興奮した私は鼻息も荒く車に乗り込み、、、シカゴを後にして、早々に南に向かったのだった。
(続く)