昨日の火曜日、以前ご紹介したスイスのF氏と再会した。
前回スイスに持ち帰った博物館の時計の修理が完了し、今度はその時計を納品するために来日したのだ。
ひとつの時計の修理のために担当の技術者が付いてくるとは誠に贅沢な話しだが、、、並外れて高価なものであるだけでなく極めて複雑かつ繊細な機構を搭載している時計ゆえ、他に方法がないという。
F氏にその特殊な時計の修理中の画像を見せてもらった私には、それが充分に理解出来た。
これでは、万一こちらに来てから多少の微調整等が必要になっても、「誰か代わりに」 という訳にはいかない。
この辺は、「平均的な家一軒より高価な時計」 を販売する高級メーカーならではの対応、ということだろう。
さて博物館への納品も無事終了し、一日時間が取れたというF氏に 「どこか行きたい所や見たいものはないか」 と聞いてみると、、、、 「もう一度パスタイムで時計や工房を見ておきたい」 と言う。
やっぱり彼は根っからの時計好きのようだ。
ということで昼前に彼を拾い、定休日のパスタイムにやってきた。
新しく導入した機械や道具をひとしきり見た後、彼の個人的な研究材料である 「Jules Jurgensenの時計」 をいくつか見せると、、、途端に目が輝き出す。
もっともそれらは前回奥さんと一緒に来た際にも見たものである。
しかし、たまたま先週新たに入手したものがもう1点あったから、そっちも引っ張り出して見せると、、、おそらく彼は10分くらいは固まったまま機械を覗き込んでいただろうか。
それは前回彼に進呈したムーブメントより僅かに後年の同じサイズのものだが、、、確かに内外装とも 「新品」 と言っても良いほど極めて保存状態の良好なものだ。
時計から目を上げた彼は溜息をつきながら一言 「こんな状態のものは、スイスでもめったに目にすることがない。」
何とも驚いたような、しかしちょっと切ないような微妙な表情を見せたのだ。
さてさて、夕方までたっぷり5時間ほど時計の話しをした後は、、、行きつけの居酒屋で一杯やることに。
前回奥さんも一緒に 「魚吟」 に行った時はまだまだ遠慮がちな感じもあったが、、、今回は大分リラックスして、いい調子でビールから冷酒に突入。
食の方も、「焼き鳥」「刺身」「てんぷら」「もつの煮込み」 から 「イカの塩辛」 まで、、、まさに何でもござれとよく食べる。
その上終始笑顔の絶えない明るい男で、、、私はすっかり彼が気に入ってしまった。
夕方から飲み始めたが、、、10時は回っていたろうか。
再会を約束し、ガッチリ握手を交わしてF氏と別れた。
そして今、、、私は少々二日酔い気味の頭で、「近い将来日本に住んでみたい」 という彼の手助けの方法を真剣に考えているのだ。