夢枕がいる大陸から遙か北に、一年中雪が振り地表が氷に覆われた大陸がある

[雪と氷の大陸]

多くの人はそう言う

北大陸と南大陸の二つの大陸で構成されていてその間には細い橋らしき物で繋いでいる

南大陸は一年の半分以上雪が降っているが地表は氷には覆われていない

人はほとんどがこちらに住んでいて、港町もあり雨の大陸との航路もあるがその他の大陸とは航路が無い

大陸の北側には高い山があり、それがあるから、北大陸を直接見る事はできない

まあ余程の物好きじゃ無い限り山を登り北大陸を見ようとも思わないだろう

何故なら北大陸には…………あれがあるからだ

北大陸は一年中雪が振り南大陸とは違い起伏がなく地表は氷が覆われていた

周りは断崖絶壁であり海からの侵入は不可能である

そして真っ平らな大陸の中央にそれはあった

魔女王の城

人々はそう呼び、近寄ろうとしない

何故こんな場所に作ったのか

それは守りやすいからである

前記で言った通り海から侵入は不可能だし南大陸からだと山を超える必要がある

更に城の周りに隠れる場所が無いから近付く事ができない

北大陸総てが魔女王の城の領地になっている

まさに天然の要塞と言う感じだ






そんな城のある一室に夜空と緋色はいた

左側に大きな窓があり、陽射しが差し込んできている

反対には歴代の魔女王の肖像画が飾られていて

正面は黒いカーテンがありその背後を見る事ができない

そして天井にはかなり高そうなシャンデリアか何機もあり辺りを明るく照らしていた

(何回来ても………慣れないや)

相変わらず圧倒される部屋であると緋色は思った

ふと夜空を見るとぼーとしているから

「夜空!もうすぐ魔女王様が来られるからもう少ししっかりしなさい」

と怒ってみたが

「ふぁ〜〜〜い」

かなり気の抜けた返事が返っきたから思わず

「夜空!何故この場所に呼ばれたかわかっていますか?」

部屋中に響く大声を出してしまった

「 え〜〜と…………わからないや」

と即答されたので再び

「わからないやですって!」

と大声を出してしまった

下手したら城じゅうに響いているかも知れないがどうでもいい

夜空は泣きそう声で

「緋色………怖い……あまり怒らないで」

言ってきた

それを見て

(私も少し冷静にならないと)

大きく深呼吸をすると少し落ち着いた

「夜空が魔法を使って倒れたから、私がいなかったらヤバかったんだよ、わかってる夜空!」

「でもまさかあれを食らって生きてるなんて奇跡に近いよ、あの子達凄いよね、そう思わない緋色」

反省していない

魔女王様にキツく言われるといい

それにしても夜空の態度を見ていたらすこし腹がたってきた

「夜空、私の前ではスラスラと喋れるのに他の人の前でそれが出来ないの」

「だって…………緋色は慣ていら…………………他の人は……………知らないから………怖い………」

要するに人見知りという事か

それも病時にだ

なんとかしないと、夜空の将来が心配だ

「夜空はその性格を治そうとしないの」

あくまで優しく話しかける

「 そうね……無理だから諦めているの」 

「諦めているだと!治そおとする努力もしないの!夜空!私がいないとどうするの!城の端っこで静かにしているでしょう!そして誰にも気付かれずに死ぬの………それは駄目!駄目!駄目なんだから」

「……………………………………」

「年下の子にこんな事言われて……………悔しくないの夜空!」

今まで溜まっていた不満が一気に爆発した
緋色は肩で息をしていた


「悔しいよ……凄く悔し………でも緋色……こんな私を心配してくれて…………ありがとう……私……努力……する………とりあえず何をすれば………い……い……の」

わかってくれた

「そうね……夜空、他の七人組とは話した事ある」

「…………無い」

「そうでしょうね、見たことないもの」

先ずは身内から慣れることから始める事にするか

「ゼロは………怖そうだし、私も無理…………夜空………無理でしょうね、じゃ真理は話しやすそうだし……どう?」

「………無理………絶対に無理」

「どうして?」

「目が怖いから」

そうかな、私は大丈夫だけど、夜空から見たら怖いんだろうな

「そうなると四位と、五位は多分無理そうだし、残るは………ムラサキは?」

「……………頑張る」

「決まりね、とりあえずムラサキに何か話しかけなさい」

「…………わかった……頑張る」

なんとかなりそうな気がしてきた

とここで辺りの雰囲気が変わったことに気がついた

恐ろしくて、不安で、冷たくて、…………体を蝕まれてゆくかのような感覚が襲ってくる

普通の者なら数秒で失神するだろう

圧倒的な絶望感、のぞみの欠片もない、見当たらない…………こんはヤバい気配は前のカーテンの後から感じられる

この気配は………まさか………

「いつまで続くんだ?その姉妹喧嘩は」

やはり魔女王様は既にカーテンの後ろにいた




魔法少女キラリン………第三章ここに開幕



























「ねぇムラサキ、聞いた話では何でも人間界ではお正月に特別な物を貰うらしいの、欲しいな、欲しいな、欲しいなムラサキ」

「ゼロお姉さん、もっと詳しく話しなさいそれではわからない」

「だ、か、ら、わからないかな、お、と、し、だ、ま、お年玉が欲しい、欲しい、欲しい」

「ゼロお姉さん………そんなつまらない物が欲しいの」

「 欲しいの、欲しいの、欲しいの」

「 わかったわ、ゼロお姉さんとりあえず目を閉じなさい」

はーいと返事をして目を閉じるとムラサキは何か用意しているみたいだ

「ムラサキ………何をしているのかな」

「 え〜〜と、少し準備がいるの」

準備がいるのか

「ゼロお姉さん、お待たせ、手を前に出して………少し痛いかもしれないけど」

えっ?お年玉って痛いのか

少し不安になってきたゼロは薄っすらと目を開けると、ムラサキは鉄の玉を今にも落としそうになっていた

「ムラサキ!ムラサキ!ムラサキ!それ何かしら」

「 ゼロお姉さんが欲しがっていた落とし玉だよ、じゃいくね」

その一言でゼロは手を引っ込めて後退りをしながら

「ムラサキ………それは違う……私が欲しいのはお年玉、それは落とし玉、そんなの貰っても手が潰れるだけだから」

「(チィ)」

今舌打ちをしなかったか

もしかしたら狙っていた

「ムラサキ………お金のほうが欲しいな」

「ゼロお姉さん………お金なんて使ったことないでしょう」

確かに使った事はない

総てムラサキが管理している

「それよりゼロお姉さん、大掃除をしましょう、お年玉は元旦にあげます、だから早く大掃除して正月を迎えるわよ、さあ早くしなさい」

急かせるようにムラサキはゼロを立たせると大掃除を始めた






玄関を出ると夢枕を爽やかな風と朝の優しい光が出迎えてくれた

今日もいい天気だとわかる

なるべく誰にも見つかりたくない

「とりあえず山を下りて、雨の大陸に向かう船を探さないと」

山道は危ないから硝子を装着して歩き出した夢枕を

「ちょっと夢枕、待ちなさい」

呼び止める声がしたから立ち止まり振り返ると

「血祭…………もう大丈夫……」

頭の先から足まで包帯で覆われていた

「………じゃないみたいね」

「夢枕………見えないのになぜわかる」

「………実は……」 

目に装着してある硝子の事を話す

「 そうなんだ、じゃ私を見るのは初めてだな、どうだ?」

「何が?」

「見た感想だよ、可愛いとかかっこいいとかないのか」

「 そうね…………私の方が可愛いかな」

「!!!!夢枕!殺すぞ」

口は悪いが顔は笑っている

「血祭……抜け出してきていいのか」

「………ここだけの話、次みつかったら、ベットに縛られる事になっているんだ」

もう何回かは抜け出してきているな

「早く戻らないとやばいのでは」

「 手短に済ます、この傷が完治したら後を追い掛けてやる!だから死ぬなよ」

「………ありがとう血祭」

「なんのありがとうなんだ」

「え〜〜と、いろいろと」

「いろいろね、まあいいか、どこを目指す気だ」

「雪と氷の大陸」

「…………そこにいるんだな魔女王が」

「 ゾーサラスの話なら」

「そこに向かう船は確か無い筈だが、どうする気だ」

「 とりあえず雨の大陸を目指そうかと」

とその時血祭の肩を

「血祭……何をしているのかな」

アギレラが捕まえていた

「しまった!見つかってしまった」

アギレラは私を見て

「今回だけは大目に見てあげるから早く戻りなさい」

「じゃ血祭、アギレラ行って来ます」

目指すは雨の大陸………そして雪と氷の大陸

そう言うと私は回れ右をして歩き出した背中に

「絶対に追いつくから死ぬなよ夢枕」

血祭の声を受け振り返らずに

「待ってるから」

夢枕は歩き出した











その数時間後、茜は応接室のドアの前にいた

決心はついた

ゆっくりと開けた中には

「おはよう茜」

既にナナツとアデルが座っていて、中に入るように手招きをしている

中に入ると見えない所にゾーサラスとアギレラがいた

「これで揃ったな」

茜はある人物が気になり

「そうですね、ところで夢枕は」

「もう出発したよ」

「そうですか、じゃ私達もそろそろ」

「そうするか」

ゾーサラスは立ち上がり、棚から診察道具を肩にかけて

「目的地はダビデ砂丘の闇の刑務所、さあ行くぞ」

急かされてナナツとアデル、その後に私、最後にアギレラが退室した

ゾーサラスは玄関につくと

「アギレラ、留守は頼んだぞ」

「任しておいてください、だから絶対に死なないでください」

「大丈夫だ、アデルにナナツと茜がいる」

「そうですね……まあ安心かな」

「そういう事、じゃ行って来ますアギレラ」

「行ってらっしゃいゾーサラス様」

歩き出したゾーサラスとナナツとアデルに私はもう振り返る事なく歩き出した