ゼロは両手を広げ


 「何をしていたかと言うと、軽い世間話をしていたんだよ」


ながらも直ぐに抜刀できる体制をしていた


「世間話ね…………それにしても」


緋色は私を布団の上から赤子をあやすみたいに撫ぜながら


「凄く怯えているようだけど………どうしてだろうね」


しかし何故かその手は少し震えていた


多分怖いのだ


もしゼロが本気で襲ってきたら勝ち目なんて無いとわかっているが私の前では強気でいようとしているんだ


「怯えている?可笑しいな別に変な事なんてしていないはずなんだけど………それより緋色、私にそんなの向けていいと思っているのかな」


「……………………」


なんとかしないと、私しかできない事を考えないと緋色が危ない








(どうする、どうする)


緋色は内心焦っていた


(私では多分秒殺の筈、どうしたらこの場を乗り越えられるか)


「なにか言ったらどうだ緋色」


謝るしかないのかと布団の中を見ると、夜空は詠唱をしてい…………


「ちょっと待て!この子何をしているの?こんな場所で使ったら、勿論ゼロも無傷ではすまないけど、違う!私も危ない!それじゃなくて城が無くなってしまう!止めなくては!」


「何を騒いでいる………まさか………詠唱をしているのか………緋色!早く止めさせなさいそれともこの場で殺ったほうが早いか」


ゼロはいきなり消えると反対側に現れて


「恨むなら緋色を恨みな」


「攻撃したら駄目!」


その直後ゼロの刀は弾き返され天井に刺さった


「緋色!何が起こったんだ!」


「結界に守られているから物理的な攻撃は通らないのよ、魔法もなかなか通らないと思うわ」


「性格と言いほんとに面倒臭い、なんか手はないのか」


「一つだけあるわよ、昔それで詠唱を止めたことがあるの、しかし今やっても」


「緋色……速くそれを試せ!それとも今すぐに殺されたいのか」


やるしかない


やらなければ私達が危ない


布団を剥ぎ取ると、詠唱をしている夜空を抱きしめた








布団に隠れた夜空を見て


「噂通りの………面倒臭い性格ね」


ゼロは溜息をつきながら脇に座った


自分でもそう思っている、治したいとも、しかしゼロに言われる事では無い筈、それより私の事をからかいに来たのかしら


辛うじて聴こえる声で


……………なにしに…………………


話してみるが


「もっと大きな声が出ないの!」


怒られてしまったが


「まあ仕方ないか…その性格だし…しかしもう少し大きな声出す努力をして欲しいな」


…………どりょく……………す…………


「そうして欲しい、さて私もいろいろ話すのも苦手だから単刀直入に聞くな、お前魔女王の姿を見たのか?」


やはりその事か……さてなんと答える?


見たと言うと多分


「どんな姿だった?」

「どんな顔をしていた」

「何を話した」


私の頭では対応しきれない質問が矢の如く来るような気がしたから


………ない……………


と答えるのがベストだと確信した


「見て……ないの…………ほんと……かしら」


疑っているが見ていない


「それを私の目を見ながら言えたら信じてあげる」


えっ?……人見知りにそれを頼むかな…………それは無理……ゼロの目が何処にあるのかわからないし


「ごちゃごちゃ言ってないで出てこい!」


いきなり布団を剥がされそうになったから思わず布団を掴んで抵抗したが


「諦めろ!私の方が力はある」


ゼロは更に力を入れてきた


「嫌だ!嫌だ!嫌だ!絶対に無理!」


「大きな声が出るではないか」


ゼロがいきなり力を抜いた


………………あきらめ…………


「諦めてない、どうしよう?どうしたら出てくるかな………そうか………なる程な…………手が邪魔をしているのか………夜空、今から両手を切り落します、後で緋色にくっつけて貰え」


ちょっと待て


両手を切り落しますって言わなかったか


いくらなんでもそれはしないだろうと


布団を少し開けた先にゼロが抜刀して、今にも斬りかかろうとしていた


…………待って………待って!」


「もう遅い!出て来なかったことは痛みをもって反省しろ!」


逃げられないし詠唱している時間もない


「助けて!助けて緋色!」


いきなり誰かが目の前に割り込んで来た


「ゼロ!一体何をしているの!」


布団を少し開けると緋色が刀を構えてゼロと対峙していた









頬に強烈な痛みが全身を貫いたから、目を開けると緋色が心配そうな目をして覗き込んでいた

「………緋色」

その直後いきなり抱き締めながら

「良かった………夜空………もう………二度と……目を覚まさないと………」

涙を流していた

「緋色………私は何故……ここにいるの」

「覚えてないの、夜空はいきなり部屋を出ていったのよ、魔女王様の前からよ」

「えっ?部屋を出ていった?私が?」

何か違う気がするが、思い出そうとすると頭に霧がかかったみたいになりはっきりとは思い出せない

「それで魔女王様に許可を貰い後を追うと廊下に倒れていたの、それで近づいたら息をしていないの、ほんとにびっくりしたよ慌て病室に運んでなんとか一命はとりとめとけど意識が戻らないの」

自分の事では無いみたいに聞こえる

「ほんとに良かった………説教は後でしますから今は体力の回復に努めなさい、私は魔女王様に報告してきます」

そう言うと緋色は退室した

緋色は何を言っているかわからない

とりあえず初めから思い出してみる






気がつくとベットにいて脇に緋色がいて

「やっと目を覚ましたの夜空」

「私何故………ここにいるの」

「忘れたのかしら、仕方ないから教えてあげる、魔法を使って気を失ったの」

そう言われてみれば………そんな気がする

「夜空………少し痩せようよ、重かったよ」

気を失った私を城まで運んでくれたんだ

「………………はい………努力します」

と言う事しかできない

「それより魔女王様からの呼び出しがあるわよ、案件はわかっているね」

なんとなくわかる

「魔女王様にたっぷりと説教されるといいわ」

緋色は強引に布団を剥がすと

「もう起きれるわね、さあ早くしなさい」

既にドアの側まで行っている緋色を見て

「待って緋色」

飛び起きると横に並んで

「夜空、くれぐれも失礼のないように」

退室した





ここまでは思い出せるが、部屋に入ってからの記憶がはっきりしない

唯一、入る瞬間今までに嗅いだことがない匂いが一瞬した気がする

「おい大丈夫か夜空」

誰かが入ってきた気配に見た瞬間、白い仮面が視界に入ってきたから思わず布団に潜り込んだ

(何で?何で?何で?ここに来る?………………ゼロ!何しに来たの?)