(真っ直ぐに来るなんて単調な攻撃)

刀を振り下ろす直前、殺鬼姫の

「姿が消えた?どこに行った?」

あたりを見渡すが見えない

「本気になったあたしの姿は見えないでしょう」

声は聞こえるが気配は感じない

(仕方ないか)

無音はゆっくりと目を閉じた

「諦めたのかしら?じゃいくね」

無音はあたりの微かな気配を感じていたが

「やはり気配を感じない」

目を開けようとしたその時だった

背中に強烈な痛みを感じてその場に蹲ってしまった

(背後にいたか)

ゆっくりと振り返ると

「この勝負あたしの勝ちね」

殺鬼姫の言う通りだ

もう動く事ができない

「じゃさようなら……あたしが憧れていた……………無音……………様」

その直後全てが暗転した



「見るなミルフィーユ」

慌て目を隠した

殺鬼姫は無音の首を切り落したのだ

返り血を浴び赤く染まりながら恍惚の表情を浮かべ殺鬼姫は

「………これが無音……………様の………血…………温かい………(ひ……ひひ……いひ……いひいひいひいひ)………なんて幸せな気分………これで一つになれたね………無音……………様」

狂っている………完全に………ヤバいくらいに

「さあ………ゴミ掃除をしないと」

殺鬼姫はゆっくりとこちらに向かってくる

俺達を殺るきだ

「ミルフィーユ……走れるか……逃げるぞ」

しかし動く気配がない

「………無理よ……見たでしょう……森の中から出てきたときの速さを………必ず追いつかれて殺されるわよ」

じゃどうしろと

戦うか?

勝てる気がしない

しかし………もうあの手しかない

俺が刀を構えると

「まあ……人間の分際で四天王とやり合う気かしら?」

風が脇を通り過ぎた直後俺の両手は無くなっていた

あまりの痛さにその場に蹲ってしまった

「はいこれでもう刀は持てませんよ、苦しまない様にやってあげるつもりだったけど気が変わったわ」

「それはありがとう」

「なんのありがとうかしら、次は何処を切ってほしいかしら」

「……………ひと思いにやってくれ、痛いのは大嫌いだ、しかしその前に言いたい事がある」

「………念仏かしら?それとも遺書かしら、それともその子だけは見逃してほしいとかそれは無理ね、その子も殺るから、さあ早く言いなさい」

「次に合ったときには絶対に勝つ、無音も死なせない」

「不思議事を言うのね、あなたはここで死ぬんだから、次はない」


殺鬼姫からみたらそうなるが、俺から見たら違う事になる

いわば戦略的撤退と言うやつだ

「殺鬼姫、あんたは俺が殺る」

「力の違いがわからないの?あなたなんかに負ける気がしないの」

「………………………………」

「もう無いわね、じゃあの世で無音にあってきな」

その直後全てが暗転した




派手な着物を纏い、肩に掛からない髪は赤く染まっている

目は鋭く口は引き締まっていて気の強そうな気がする

それにしてもあの森から一瞬で間を詰めたのか

かなりの距離はあるが

ミルフィーユを見ると子犬のように小さくなり震えていた

「あたしの太刀をうけるとは………やはり元四天王無音……様」

「そろそろ名乗ったらどうだ」

「そうね……あたしは四天王の殺鬼姫…………以後よろしく………ってもう殺るんだっけ、なら別に覚えなくていいや」

「殺鬼姫…………そうだな、覚えなくていいや、私に瞬殺されるんだからな」

その直後二人の姿は消え

「こいつら………人間のレベルを超えているどうすればこんなに早く動けるんだ」

目で追えなくなった

俺やミルフィーユはただ闇を見つめるしか出来なかった

「ミルフィーユ………あそこに」

少し離れた場所に一段低い所があり

「隠れて様子を見ないか」

頷くミルフィーユを連れその場所を目指し

辿り着くと

「あの答えはまだ聞いていないわよ」

あれか、ここは何処であなたは誰?だったけ

「わかった」

二人の気配に注意しながら話し始めた





少しでも気を抜くと殺られるという緊張感の中

「ねぇ無音…………様、少し休まない」

願ってもない申し出であった

「………………いいだろう」

二人は離れるとお互いに刃先を向けたまま

「私は無音………様にあこがれていたの」

殺鬼姫の意外な事を言い出した

「…………………………」

なんて答えたら正解なんだと考えていたら

「私が村を捨ててまで魔王様に支えようと思ったのは、無音様がいたから」

もう誰も殺鬼姫の思いは止められない

「村人を残虐していく姿と言ったら………」

「………………………………」

「神々しくもあり最高の景色だった、私も早くああなりたいと思った」

「………………………………」

「無音様は私にとっての神様よ」

「………………………………」

「ところが無音様がいきなり四天王を辞めてしまった…………なんの予告もなく、なんか裏切られた気分がしてすごく恨んだ」

こいつは何を言いたいんだ

「………でも………でも……何か考えがあっての事だと…………思うことにした……そうでしょう………無音様」

「殺鬼姫………魔王の事はどのくらい知っている」

「直接姿を見たことは無いわ」

「そうだ、私も見た事はない、いつもカーテン越しに影だけしか見ていない、他の四天王も見ていないはずだ……いや一人だけ見ているかも知れない」

「……………誰?」

「……………闇姫」

「……………誰?闇姫?知らない」

「四天王の一人だが100年くらい人前には出てきていないはず、知らなくて当たり前か、私もあった事はない、話が逸れてしまった、本当に魔王はいるのか?もしかしたら騙されているのではないのかと思ったら馬鹿馬鹿しくなってきて四天王を辞めた」

「…………私も時々そう考える………そうか……そうなんだ…………」

殺鬼姫は何かを決意したらしく

「…………私も四天王を辞める………無音様……二人で世界を征服しましょう」

「……………断る!」

「何故?何故駄目なの?」

「世界征服………くだらない………もう殺戮するのは辞めたよ……殺鬼姫もまともな道を歩くといい」

「………………つまらない…………くだらない……つまらない………もう私の憧れた無音様いないのね……じゃこのまま私の手で…………………そして私が世界征服してやる」

「それは残念だ、殺鬼姫は私が止める」

「じゃ再開しますか」

そう言うと殺鬼姫は真っ直ぐに突っ込んできた



「霧雨……………無音………」

思わずそう言うと

「私の事を知っているのか?君たちとはあったことないが」

不思議そうな顔を向けてきた

一度会っていると言っても無音は知らないと言うだろう

なんて言ったらいいんだ

「えっと……その………そう、有名人だから知ってるんだ」

「わたし………そんなに有名か」

どうする、とりあえず無音に気づかれない様にウインクしてサインを送る

「ミルフィーユも知ってるだろ」

頼む気づいてくれ、合わせてくれ

祈る気持ちでミルフィーユの次の言葉を待った

ミルフィーユはこちらと無音を交互に見て

「…………知っている………」

よし、気付いてくれたみたいだ

サテラならこうはいかなかっただろうな

多分

こんなクソババアなんて知らないとか言うんだろうな

無音は考える様にこちらを見ながら

「まあそういう事にしておくか、で何でこんなところにいるんだ」

「あの街を目指していて……」

「で怪物に遭遇したか」

「その通りです、助けて頂きありがとうございます」

「礼はいらない、襲われている者がいたら助けるのは当たり前だ」

なんてカッコいいんだ

ほれてしまいそー

「この先も怪物が出るかもしれない、仕方ないか、街まで連れて行ってやる」

それは有り難い

この先ミルフィーユを連れて歩くのは不安でしかないし守れる自信がない


「日が沈む前に着いておきたい、暗くなるとヤバいのが出てくるからな」

「さあミルフィーユ俺達もいくか」

しかしミルフィーユは動く気配がない

無音は立ち止まりこちらの様子を見ている

「ミルフィーユどうした?」

「あそこに…………誰かいる………………怖くて動けない」

指差している方向は鬱蒼とした森

「俺には見えないが……無音……」

振り返ると無音は抜刀して警戒している

「確かに………誰かいる」

見えないのは………俺だけ

軈て森の方向から

パチ、パチ、パチ、パチ

乾いた拍手が聞こえて


「無音が人間を助けるなんて……ありえないんですけど」

声も聞こえてき

無音はゆっくりと構えながら

「私名前を何故知っている!」

「有名人……だろ、そいつらがさっき言っていただろう」

「無駄話はもういい!姿を見せろ」

「もう少し話しましょう、あたしが出たらあなたは死しかないんだから、それにしてもびっくりした、強い方の怪物を連れて来たのに………一撃ですか……………流石は元四天王の無音さん」

「……!何故………知っている!」

元………四天王?………無音が?

「何故かというと………あたしは……今の四天王だからよ」

今の四天王!ヤバいかもしれない

「…………出てこい!返り討ちにしてやる」

「しかたないな〜〜〜〜」

その直後俺は無音に

「瑛太!離れてミルフィーユを守っておけそこまで手が回せない」

蹴り飛ばされて、文句を言おうと無音を見たら、知らない女性と刀を合わして対峙していた