「そんな事があったのか」

「ミルフィーユ……それは言ったらいけないやつだから」

昨日は二人で入った居酒屋は朝はただの飯屋になって店内は賑わっていた

「別にいいじゃないかエイタ」

無音はあれからミルフィーユの事を詳しく聞いてこない

清々しい朝日が店内まで差し込んできている

目の前には昨日同様無音

横にはミルフィーユ

この時が永遠に続けばいいと思うがそうはいかないのが世の常である

それはいきなりやってきた

荒々しく店内に男が入ってきて

「た、た、大変だ!」

その声に奥にいた店長が慌てて出てくると

「落ち着け、とりあえず水を飲め」

男は一気に飲み干して

「大変だ!山賊が、山賊が………」

その先は聞かなくてもわかる

「エイタ、準備はできているか」

「ああ出来ている」

「じゃ行くぞ、でその子はどうする、何処かに隠れてもらうか」

懐に交代の石があることを確認して

「いや……………連れてゆく。俺が守る」

俺が守るは建前で本音は守られる方だ

ミルフィーユ(サテラ)がいなくては勝てない

「わかった、で作戦は」

「多分最初は手下が二人出てくる(多分そうだと思う)その二人は俺がやるから、後からくるやつは任せた」

「…………わかった」

そう言うと無音は先に出ていった

「ミルフィーユ……行くぞ、未来を変えに」

「エイタ………絶対に守ってね」

暖簾を潜り道に出るとあの二人組が来ていた

「兄貴………誰もいません」

「籠もったか!仕方ないな、あぶり出してやるか」

今知った、あの二人は兄弟だったのか

「待て!俺たちが相手になる」

無音は隠れているらしく気配も感じない

「お前らが?馬鹿にしているのか!如何にも力が無さそうな男とか弱そうな女、俺達に勝てる気か」

「エイタ………逃げよ、絶対に勝てないよ、無音に頼も、そうしよう」

そんなミルフィーユの腕を掴みながら

「…………ミルフィーユ……許せ」

そのまま二人組目掛けて投げた

「エイタ!馬鹿!馬鹿!何をする!」

その直後、懐から交代の石を取り出し投げながら

「帰ってこい!サテラ!」

ミルフィーユが二人組の前につくのと同時に交代の石が砕け散った

「……………………………」

ミルフィーユはその場に倒れると

「兄貴………あの男……頭がおかしいんですかね、いきなり女の子を投げて」

「まあ色々あるわな、それよりこの女を人質にするか」

警戒なしにミルフィーユに近づくが

(戻ってきてくれサテラ)

軈てミルフィーユはゆっくりと立ち上がると目の前にいる二人組を斬り殺していた

「おはーエイタ、因みにこれ敵?でいいんだよね」

前にもあったこんなやり取り

しかし斬る前に聞け

この反応………間違いない………サテラだ

「ああ間違いなく………敵だよ」

「そうだよね、こんな馬鹿みたいな顔した味方なんていないよね」

頼むからサテラ……顔で判断するな

「私の可愛い兄弟を……よくも……よくも……殺ってくれたな」

とそこに本命が現れた






体が揺さぶられる感覚の直後

「おはようエイタ」

心地良い声に目を開けるとミルフィーユが覗き込んでいた

「あ………おはようミルフィーユ」

「早く起きて朝食を食べに行こ」

「わかった、着替えるから」

「じゃ下で待ってるね」

ミルフィーユは手を振りながら出てゆくのを見て、俺は着替え始めた

山賊はいつ襲ってくるのか

今日か?明日か?まあいつでもいいように用意だけはしてなくては

下に降りるとミルフィーユと無音が待っていた

「おはよう無音」

「おはようエイタ、気分はどうだ」

「まあまあかな」

「それは良かった、大変だったんだぞ、エイタを宿屋に連れて行くんが」

実を言うとあのあとの事ははっきりとは覚えていない

要するに気が付いたら宿屋のベットにいた

よくある話………の筈

無音は俺の顔を見ながら

「まさかと思うが覚えてないのか」

かろうじて聞こえる声で

「…………………はい

返事した


無音は溜息をつきながら

「仕方ないな、朝食を食べながら話してやるよ、そうそうエイタのおごりでな」

なんか凄いことをしたらしいから反対はできないみたいだ

「それよりこの子、雰囲気が変わってないか」

まあミルフィーユだしそうなるわな

「昨日までは歩く凶器みたいな感じだったが、今日は歩く天使みたいな」 

サテラが聞いたら暴れるだろうな

誰が歩く凶器だって!って言うんだろうけど今目の前にいるのはミルフィーユの方

どう説明したらいいのか

まさか入れ替わっているとは絶対に言えないし信じてもらえない

そんな俺を見て無音は

「まあいいか、言いたくない事もあるんだろ、それより早く行かないか」

無音の歩き出した後を俺達はついていった








ここは魔王城


薄暗い部屋のベットに殺鬼姫はいた

ベットは大量のぬいぐるみに囲まれていてその他の場所にも沢山いた

女の子の部屋って感じがする場所に

「おっはーさっちゃん、げぇんきぃ〜〜〜〜〜〜?」

誰が入ってきた

確認しなくても声でわかる

このなんとも言えない甘い話し方は

殺鬼姫は布団を頭から被ったまま

「何しに来た!幻惑姫!」

「そんなのわかってるでしょう、この前むっちゃんにボコられたんでしょう、いわいるお見舞いって感じのやつ、迷惑だった?そんなわけ無いよねぇ〜〜〜、私達仲間なんだから〜〜〜〜これくらい当たり前でしょう」

「無音は…………いい………それより」

エイタの方が許せないと言いかけてとまる

そんな事、幻惑姫に言っても仕方がないことだ

「わかった、確か人間のエイタの事が気になるんでしょう、わかぁる、わかぁるわその気持ち、殺したい程好きなんだぁ、なんて〜〜〜すてぇき〜〜その気持ち大事にしなぁ〜〜〜〜さっちゃん」

「えっ?……………」

なんで知っている?気になる?確かに気になるが………こいつには話していないし、なんか勘違いしているような

「別に好きではない!エイタは私の頭にあるあれを触ったんだぞ、幻惑姫だって知ってるだろ、これに触れるのは………」

「婚約者か旦那だったかな〜〜〜〜、じゃいっそのことエイタと結婚しなよ、私貧乏だけどう祝い金ぐらい出すよう〜〜〜〜、魔王様なら多分沢山出してくれそうだし、やみりんも出してくれるよ、ごうちゃんはわからないいや、きまりねぇ、式はいつがいいかなぁ?明日かなぁ?明後日かなぁ?早いほうがいいねぇ」

早口言葉みたいに早い

たまに聞き逃す事がある

それより話がどんどん勝手な方向に向かっている

話題を変えなければ………

「幻惑姫……誰から聞いた」

まあ一人しかいないが

「えっとねぇ………やみりんから聞いたよ、さっちゃんが人間のエイタを気になるらしいぃ〜〜とぉ〜〜〜」

闇姫………お前も勘違いしているのか

ここはちゃんとしないと後で厄介なことになりそうだ

「その闇姫は何処にいる」

「えっとねぇ………朝からどっかに出ていったよぅ〜〜〜〜〜あっそうだぁ〜〜〜やみりんから伝言預かってるだっけぇ〜〜〜〜忘れぇるところだったぁ〜〜〜わたしのぉ〜〜〜ばぁかぁ〜〜〜じゃ読むねぇ〜〜」

幻惑姫は懐から紙を取り出すと

「わたしぃ〜〜バカだからぁ〜〜〜書かないとぉ〜〜〜覚えられないのぉ〜〜〜」

そんな事より早く読め

[殺鬼姫、怪我は大丈夫か?私は用事があるから外に出る、そうだ殺鬼姫が気にしている人間を連れてこられたら連れてくるから待っていろ]

はぁ?人間を連れてくるから?何を言っている闇姫

「良かったねさっちゃん、やみりんは優しいいからぁ〜〜〜じゃぁ〜〜〜またくるねぇさっちゃん」

そのまま幻惑姫は部屋を出ていった

やばい……闇姫なら………なんとかしたいがまだ体が自由に動かせない

後は無音様になんとかしてもらわないと

ただ祈るしかできない殺鬼姫だった








元四天王………知っている……知っているがここは

「えっ?元四天王?ほんと?だから強いんだ」

驚いてみせた

「そんなに強くないよ、私より強い四天王はいるから」

多分闇姫………の事だと思う

「そう言えば殺鬼姫が四天王だと言っていた」

「そんな事を言っていたか、私がまだいた頃はひよっこだったのに………私が抜けた後に四天王になったんだろうな、あの子は頑張り屋さんだからな、成長したんだな、なんか嬉しいよ」

少し笑みを浮かべる無音

「なあ無音、四天王って誰がいるんだ」

「私が抜けたあと変わってなかったら……殺鬼姫は知っているな、先ずは剛力姫」

なんか強そうな名前が出てきた

「剛力姫はとにかく剣や刀や魔法が嫌いで己の拳一つで戦う、力が強くて伝説では山を砕いたとか……」

それがホントならかなりやばい……

「次が幻惑姫」

また凄い名前が出てきた

「幻惑姫も剣や刀が嫌いで、相手を幻術を使って惑わす、力はエイタとあまり変わらないと思う」

それなら幻術に注意していれば

「最後が闇姫」

殺鬼姫を連れ去った黒い女性だな

「闇姫な………実は詳しくは知らないんだ、なかなか人前に姿を現さないからな、わかる事は四天王、最強にして最悪」

闇姫………会いたくないが、魔王を倒すなら会わないといけない

「何か弱点はないのか」

「……………無い………闇姫は完璧……私ですら勝てない、多分、魔王でも……」

どんだけ強いんだ

「なあ魔王ってどんな奴だ」

「魔王な………実は私や剛力姫や幻惑姫、多分殺鬼姫は魔王を直に見たことは無いはず会うのは何時もカーテン越しだからな、ただ闇姫はあっているかも知れない」

詳しくは知らないのか

「次はエイタの番ね」

俺は今までの事を話した、勿論何回か死んでいる事は伏せているが

「それは大変だな、魔王を倒すのか?無理だろ、先ずは魔王城を探さないと」

えっ?あそこから見えていた城は?

「あれは幻だよ、多分本物は別の場所にある、見つけても中に入るには4枚の石版を合わして入り口にある窪みに合わさないと入り口は開かない、その前に城に張られた結界をなんとかしないと城に近づけない」

多分4つの塔の事だろう

「どうやって結界を破るんだ」

「城を囲うような配してある4つの塔の中にある装置を破壊する、しかしそれを守る怪物もいる」

イービルの事だろう

「2つをクリアしても中には四天王がいる、全てを倒さないと魔王に近づけない」

「………………最低でも8人と戦わないといけないのか…………」

なんか無理ゲーぽいな

しかしやらないと元の世界に帰れない

やはり無音を仲間にしないと………しかし今はまだ…………とりあえず女神の指示に従うしかない

と近くからある話が聞こえてきました


「聞いたか?近く山賊が街を襲うらしい」
「それはないだろ」
「なぜそう思う」
「知らないのか、山賊とこの街はある協定を結んでいるらしい」
「協定?聞いたことない」
「この街を守る代わりに食料や雑貨品を渡しているらしい」
「それほんとか」
「まあ噂だがな、信じるか信じないかはお前次第だよ」




「なあ無音……これホントかな」

「私はこの街の住民ではないからわからないが……まあいいんじゃないかな、街を守る山賊…………金品は貰ってないようだが」

この話はここで終わった

しかし山賊は確実にこの街を襲う

なんとかしないと………

こうして一日は終わった