歩行者用の信号機で、音が出るものがありますよね。
以前は、「通りゃんせ」などのメロディもありましたが、
最近は、「ピヨ、ピヨ」や「カッコー」などの鳥の声が
主流です。「ピヨ、ピヨ」が多いような気がします。
これから長々とお話しする「状況説明」については、
結論とは、本当は関係ないのですが、
一応、説明しますと、、、
以前、サラリーマン時代に、郊外の工場に勤務していた
ことがありました。
ちなみに、製造部門のコスト管理、「原価計算」、
新製品開発や設備投資の採算性の検討などが仕事。
工場から歩いて行ける場所に、最寄りの駅はあったの
ですが、自宅からの通勤経路の都合で、別の路線の
駅から、路線バスを使って、通勤していました。
ですが、帰りの最終バスの時間が、9時半ぐらいで、
ときどきですが、最終バスに乗れないことがありました。
そんなときは、タクシーを呼んだりしていたのですが、
その日は、バスの経路を歩いて帰ることにしました。
時間は夜の10時ぐらいです。
実は、歩いても、25分ぐらいで着く距離なので、
その気になれば歩けます。
(むしろ今なら、この程度の距離なら、100%歩きます)
その経路は、駅まで、1本の道を、本当にまっすぐ歩いて
行くのですが、途中に、1ヶ所、大きな国道を横断する
交差点がありました。
その交差点で、国道は、本線は高架になっているのです
が、交差する道との接続のために、下にも道がある、
という構造になっています。
また、その交差点の周辺は、住宅地と住宅地の間で、
畑や空き地が広がっているだけで、普段、自転車は
通りますが、人が、徒歩で来るようなところではない、
という場所です。
その交差点の歩行者用の信号機が、音の出るもので、
「ピヨ、ピヨ」と鳴るものでした。
私は、信号が青に変わったので、歩き出しました。
「ピヨ、ピヨ」と鳴っていました。
まわりには誰もいないので、私は、なんとなく、その音に
合わせて、「ピヨ、ピヨ」、「ピヨ、ピヨ」、と口ずさみながら、
歩いていました。
すると、正面の、国道の高架の柱の陰から、
こちらに向かって歩いてくる若い女性が現れたのです。
夜中の10時過ぎに、「ピヨピヨ」と言いながら歩いている
おじさんが、こちらに向かって歩いてくる。
その女性の記憶の中では、ひょっとしたら今でも、
恐ろしい出来事として残っているかもしれません。
いずれにしても、その女性の記憶の中で、私は、永遠に、
「ピヨピヨ」言っている相当おかしな人であり続けるのです。
おしまい。