掛川層群 大日層から産出した『 Anisocorobula tosana 』 について | 関東化石採集の旅

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今日は予告どおり、以前『掛川周辺の化石 二枚貝編 その38』で掲載した『 トサツマベニガイ Anisocorobula tosana 』について、考察をしたいと思います。

この考察を行うにあたり、化石ブロガーのcymatoserasさんから 唐ノ浜層群 穴内層 産出の『トサツマベニガイ』標本を7個体も提供をしていただきました。
ここに篤く御礼を申し上げます。m(__)m

まずは、唐浜から産出した標本を見てください。


【唐ノ浜層群 穴内層 産出のトサツマベニガイ】

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形状にやや個体差はありますが、殼は概ね亜三角形状で小型です。殼質は厚く膨らみはやや強く、殻表にはやや不規則な深く細かい輪肋が認められます。また、後端隅に鋭い稜が走り末端は尖ります。現世種の『ツマベニガイ Anisocorobula  scaphoides』に類似していますが、殻高が高く、輪肋数も多いようです。


穴内層産出の全標本の詳細を示したいところですが、ブログの画像容量に限界があるため、3標本だけ詳細画像と詳細データーを記します。




【第1標本】

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殻長 : 16.90mm
殻高 : 11.72mm
半殻幅 : 5.04mm
輪肋数 : 20本



【第2標本】

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殻長 : 19.78mm
殻高 : 13.81mm
半殻幅 : 6.42mm
輪肋数 : 24本



【第3標本】

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殻長 : 14.30mm
殻高 : 10.84mm
半殻幅 : 4.31mm
輪肋数 : 14本


各標本共通項目

産地 : 高知県安芸郡安田町大字唐ノ浜
産出層 : 唐ノ浜層群 穴内層
岩質 : シルト層



続きましては、私が採集した『掛川層群 大日層 』から産出した 『 トサツマベニガイ Anisocorobula tosana 』と思われる3個体標本の個別画像と詳細データーです。



【トサツマベニガイ?が産出した露頭】

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共産する化石
『モミジツキヒ』『スズキサルボウ』『オオスダレガイ』『フスマガイ』『ヨコヤマツツガキ』『キヌガサガイ
『エンシュウタマキ』等です。

【第1標本】

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殻長 : 15.81mm
殻高 : 11.12mm
半殻幅 : 3.77mm
輪肋数 : 20本



【第2標本】

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殻長 : 15.84mm
殻高 : 11.47mm
半殻幅 : 4.39mm
輪肋数 : 16本



【第3標本】

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殻長 : 15.95mm
殻高 : 12.47mm
半殻幅 : 4.80mm
輪肋数 : 17本


各標本共通項目

産地 : 静岡県掛川市大字下垂木
産出層 : 掛川層群 大日層
岩質 : シルト層


【大日層と穴内層の標本を直接比較】

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上 : 大日層から産出した第2標本
下 : 穴内層から産出した第1標本



【考察結果】
全く特徴・形状が同一であり、大日層から産出した標本は、いずれの化石も『トサツマベニガイ Anisocorobula tosana』と断定して問題点は無いようです。

また、下垂木の露頭以外からは、現在のところ『トサツマベニガイ』は、採集されておりません。