ジェニーが、手錠のまま
ピアノに背を向け 音を奏でた時
誰にも奪えない自由と
希望に溢れた力強さが感じられて 嬉しかったんだ。
それでも、手錠は 彼女を縛ったままだった。
2007年のドイツ映画
「4分間のピアニスト」
獄中の若き天才ピアニストと 彼女の才能を見いだす老ピアニスト
二人の女性を描いた物語。
主演は、1200人の中から選ばれた新星 ハンナー・ヘルツシュプルング
見るものすべてを刺すような 鋭い目が印象的。
予告編のラストは
こんな言葉で締めくくられています
『弾く時だけわかる 何のために生まれてきたか。』
刑務所にやってきたピアノ
初の“教室”に 現れた“生徒”ジェニーは
些細なことから看守を殴り倒してしまう。
そんな荒っぽい彼女に 老教師トラウデは才能を見てとり
コンクールに出場させることで 再生の道を開こうとする
トラウデも かつて才能を認められたピアニストだった
ジェニーも そうだ
互いに反目し ぶつかり合いながら
少しずつ お互いが“ここ”に居る訳を知っていく。
殴り倒した後、騒ぎを聞きつけた看守達に取り押さえられるまでの間に
響き渡った音色は どうも結びつかない。
観てるこっちには 疑問符ばかりが並ぶ。
そこまで弾けるのに、なぜ?
大人しく言うこと聞いてたら、(刑務所からも)出られるかもしれないのに・・・
敵ばかり作って、どうするんだろう というくらいの荒々しさ
トラウデとは正反対。
だけど、不思議と ピアノに向かう二人は
同じようにも見える。
一方は 何かをぶつけるように
もう一方は 鍵盤で心静めようと 焦るかのように。
ひとり礼拝堂のオルガンを弾くジェニー。
「低俗な音楽はやめなさい」
・・・クラシック以外認めないトラウデに向かって ジェニーは
「これは私のもの(私の音楽)」
ときっぱり言い切る。
同じように、雑誌記者から
「殺人犯といるのはどんな気分?」と問われ
「音楽しか興味がないの」
と言い切るトラウデ。
この二人
お互いを理解しようとか
歩み寄ろうとか
そういうのが全くない。呆れるほどにない。
ジェニーが、愛情とピアノと
自由を与えられていたら・・・
それでもこんな風に弾いたのだろうか。
トラウデにも、愛する自由があったなら・・・
・・・殴り倒された看守は
ジェニーを恨み、彼女を雑居房に入れ
ピアノすら取り上げる。
心良く思わない女囚達から陰湿ないじめを受ける彼女にも、見て見ぬふり。
度重なる騒ぎに、刑務所長は
ジェニーのコンクール本選出場を取りやめる。
また、手錠だ。
トラウデは教師を辞め、ピアノを運び出す ジェニーと共に。
二人にあるのは ピアノ(音楽)に対する本気。だけか。
刑務所の外でやっと向かい合った二人
互いの傷を知っても、何かできるわけでもなく、そんな時間もない。
ただ、トラウデは ジェニーをオペラハウスまで連れていく
取り囲む警察に「あと数分だけ待って」と懇願する
「何分だ」と問いただされ答える
「4分」の一言が 震えているようにも聞こえた。
舞台袖から客席へまわり見届けた トラウデの目に光ったのは
嬉しさだったのか、悲しさか・・・
あの瞬間、あの時だけ 二人が同じ場所に立てた
それぞれの過去の語りが
正直解りづらいところもあるけど “4分”は出色です。
このためだけにすべてはある。
ジェニーの無軌道ぶりは
“いい子”な大人には、相当わからない
ビジネスやろうなんて人は “いい子”な大人じゃ、ないよね。
そんなあなたに観て欲しい
彼女の叫びと生命力 エネルギーの爆発ぶりを
観て欲しい映画です。
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・・・道徳の時間が得意なあなたは、観ないでね。
ホントに、イライラするから。
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やっぱり、初めて聴くジェニーのピアノ
「Handkanten Act」が好き。
そして手錠を外すことを許されず後ろ手にピアノに向かった
「Handschellenrock」
ピアノすら取り上げられ礼拝堂のオルガンを鳴らした
「Das Ist Meins」
彼女は、最後まであの何もかも刺すような眼差しのままで
「Jennys Abschlusskonzent」
へ向かう。

「4分間のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック
ヤン・ティルマン・シャーデ アネッテ・フォックス
2007-10-31
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