「やまの日祭りでぃ」の短編です。
昨年11月の「お誕生日祭りでぃ」で書いた短編の続編となります。
よろしければこちらからどうぞ ⇒ 「セイレーン①」
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「え~っ!? セイレーンと一緒に暮らしてるの?」
島へと向かう小舟でショウから話を聞いたマサキが素っ頓狂な声をあげました。
「あの怪物と?」
「怪物じゃないんだ。」
「そう・・なの?」
小さな頃からセイレーンは人を食い殺す恐ろしい怪物だと教えられてきましたから、
にわかには信じられません。
「サトシ、ただいま~。
お医者さんに来てもらったよ。
マサキ、こちらがサトシ。」
「え? この人が?
ショウちゃんたら、俺をからかって~。
セイレーンだなんて言うからどんな怪物かと思ったら、綺麗な人じゃない。」
「・・・。」
その言葉にサトシの表情がこわばります。
「はじめまして~。ショウちゃんの幼なじみでマサキって言います。」
手を差し出されても動きません。
「マサキ、違うんだ。 サトシはほんとにセイレーンなんだよ。」
「うそ~。 だって普通の人にしか見えないよ。」
「いいか。見てろよ。」
パシャッ!
ショウが桶に汲んだ水をサトシにかけると、
サトシの足がみるみるうちに青い尾へと変化しました。
「えっ? ええっ!?」
腰を抜かさんばかりに驚くマサキを見て、サトシの目に涙が浮かんできます。
やはり人にとっては自分は怪物なのかと悲しくなってしまったのです。
ところが、
「うわ~、綺麗なシッポだね。」
いつのまにか近づいていたマサキがサトシの尾を撫でています。
「あっ。」
「そこは触っちゃダメ。」
すぐにショウが遮りましたよ。
「え? なんで?」
「なんででも。」
おやおや、これはヤキモチでしょうか。
「変なショウちゃん。
でも具合悪いんでしょ? ちょっと診察させてね。」
「あの・・おいらのこと気持ち悪くないの?」
「気持ち悪くなんてないよ。」
と、ブンブンと首を振ります。
「さっきはごめんね。ちょっとびっくりしただけ。」
ニコッと笑うマサキにサトシの警戒心も解けていきます。
聴診器を出して胸の鼓動を聞いたりお腹や背中を触ったりしたマサキが
「これは・・・。」
首を傾げます。
「なんだ?」
なんか深刻な病なのでしょうか。
ショウの顔色が青ざめていきます。
「たぶんなんだけど・・・妊娠してるんじゃないかな。」
「は? 妊娠?」
ショウとサトシが顔を見合わせます。
「え~っと、サトシ。今更の確認だけど、サトシって男だよな?」
「ん~、おいら達って人間みたいに性別を意識したことないから。」
「へ? そうなのか?
じゃあ、子供も産めるってこと?」
「さあ・・どうかな。」
思いがけないことに戸惑っていた二人ですが、
「おめでとう!」
改めてマサキにそう言われ、嬉しさがこみ上げてきました。
「ありがとう。」
ショウがサトシを優しく抱き寄せます。
「栄養取って無理はしないようにね。
何か困ったことがあったらいつでも呼んで。」
マサキはそう言うと、何種類かの薬を置いて帰っていきました。
それから1ヶ月後。
「ん~ぅっ!」
プルン。
産まれてきたのは、シャボン玉のように虹色に輝く卵でした。
≪つづく≫
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実はこの医者役、最初はニノさんの天城先生っぽく書いてたんです。
だけどセリフが益々紙芝居っぽくなくなってしまうので、急遽相葉さんに変更。
軌道修正に時間がかかっちゃいました。
鮑でご心配いただいた皆様。大丈夫でした(笑)。
夜中にお腹痛くなったらどうしようかと思っていたのですが、全く問題なし。
翔さん、帰ってきてすぐにzeroに出演とは。 めちゃくちゃ忙しそうですね。
でもきっと楽しんでるよね(笑)。