千鳥 五十五 | ~ 嵐気に包まれて ~

~ 嵐気に包まれて ~

嵐さんのメンバーのお名前や雰囲気をお借りした読み物です。
腐的描写や暴力的シーンがあります。
気を付けてご訪問ください。
山、大宮、櫻葉、モデルズ、にのあい等、様々なCPのお話がありますので
お気に入りのCPでお楽しみください。

 

メンバーのお名前や雰囲気をお借りしたお話となっています。
BL的描写や暴力的シーンがあります。
苦手な方は入らないでください。

 

 

最初のお話はこちら

「千鳥 一」

 

 

前回のお話はこちら

「千鳥 五十四」

 

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ぶらぶらと通りを歩いていて、ふと反物屋の前で足を止める。

色とりどりの女物に混ざって、地味な色の男物の反物が並ぶ。

 

その中でひときわ目を引く一反。

青色よりも濃く、でもどこか透明感のある瑠璃色。

 

 

あの海の色だ。

 

 

魅入られたように目が離せない。

 

目の前にまざまざと蘇る光景。

 

遠ざかる浜と、海に飛び込んで後を追ってきた智。

 

最後に見た泣き顔も、すがりつくような眼差しも、俺の名を叫ぶ声も・・・。

 

 

 

 

「お気に召しましたか?」

 

じっと動かない翔に気付いて、店の主人が声をかけてきた。

 

「え? い、いや、別に・」

 

「見事な織物でございましょう?

   これほど鮮やかな青はなかなか出せませぬ。」

 

「確かに美しいな。」

 

智に似合いそうだ。

 

「いかがです?

   お顔に合わせて見られては?」

 

「いや、俺は・・」

 

自分にではないのだが。

 

「これほどの物はもう二度とお目にかかれぬやも・」

 

 

 

 

結局、店の主人の口上にのせられ、仕立てを依頼してしまった。

 

会えるあてなどないし、

今、どのくらいの背丈なのかも知らないのに。

 

 

少年の成長は早い。

案外、翔よりも背が高くなっているかもしれない。

 

 

 

 

 

物思いにふけりながら町を抜け、ふと気づくと磯の香り。

 

海か・・・。

 

もうすでに陽は西に傾いて、茜色に染まった波が寄せては返してゆく。

 

 

浜辺に佇み、波の音を聞きながら、

遥か遠い島へと思いを馳せる。

 

 

 

 

 

『必ず戻って来る。 約束だ。』

 

 

 

あれからもうすぐ二年。

 

なんとか島へ渡る手段を考えた。

 

しかし、小舟ならともかく

遠距離を航海するような大型の船を所有している者はそうはいない。

商人達の船は町から町へと運航するため、陸から遠く離れることはない。

何人かに掛け合ってみたが、みな一様に首を横に振るだけだった。

 

潤・・・。 あいつなら何か方法を知っていたはずだ。

あの時、詳しく聞いておけばよかった。

 

誰に相談することもできず、

翔の知識と人脈だけではどうすることもできなかった。

 

 

仁兵衛と繋ぎを取っていた二宮なら、

何らかの手段を知っているのかもしれない。

 

だが、自らを犠牲にしてまで自分を救い出してくれた二宮に、

そんな頼みはできなかった。

あまりにも勝手すぎる。

 

しかも流刑人だった者が復帰したばかりだ。

なにかと世間の目は厳しい。

 

一度島に渡るとなれば、すぐに引き返しても十日、

いや、風向きによってはそれ以上かかるだろう。

あまり目立つ行動もできなかった。

 

 

 

 

懐から一寸四方ほどの小さな巾着を取り出す。

 

袋の口を開け、中の物を手のひらに載せる。

使い込んで、あちこちに傷のある小さな釣り針。

 

その優美な曲線をそっと指でなぞる。

 

 

 

 

 

『しょお・・・』

 

波音に混じって、自分の名を呼ぶ甘い声が聞こえてくるようだ。

 

智だけの独特の抑揚。

 

 

 

今頃、どうしているだろうか。

 

もう俺の事など忘れて、

雅紀や俊介たちと楽しい日々を過ごしているのだろうか。

 

 

忘れて・・・。

 

 

ずきんと胸の奥が痛む。

 

 

 

いや・・、それでいい。

 

その方がいいんだ。

 

 

 

 

今にして思えば、軽率な事をした。

 

花など贈らなければよかった。

 

 

 

『島の男が女に求婚する時に贈るんだって』

 

あの言葉が思い浮かび、考えもせずに岬へと走っていた。

 

自分の中での覚悟を表したつもりだった。

もう生涯お前しか愛さないと。

 

だが・・・。

 

そのことで、お前に見えない枷をかけてしまったのではないか。

 

もう会えないなら、あんなことをするべきではなかった。

自分だけが胸に秘めておけばいいことだったのだ。

 

いたずらに期待をもたせて、お前の心を縛り付けて・・・。

 

いっそ忘れてくれた方がいい。

 

 

 

 

ほんと・・に・・? 

 

本当にそう思えるのか。

 

 

 

 

波打ち際に、千鳥が小さな足跡を残していく。

 

お前ならあの島まで飛んで行けるのだろうか。

 

 

 

ならば届けてほしい。 俺のこの想いを・・・。

 

 

もう二度と会えなくても

 

お前をずっと愛していると。

          

                                   ≪つづく≫

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

 

新しくいらしてくださってる方。 いらっしゃいませ~。 リフです。

も~ね、新月さん、大げさだから。 来てみてがっかりされてないといいのですが。

映画の紹介記事読んで「よさそう」って観に行ったら期待外れだった・・・、みたいになってません?

すごく心配。

画像もへたくそですからね。 こんなんで精いっぱいです。

 

それから、この部屋の管理人は筆がと~っても遅いので、亀更新です。

通常、土曜日と、火曜日か水曜日(飲み会の状況に左右される)の週2回の営業になります(笑)。

「まだかな~」っと覗きに来ていただいても空振っちゃいますので、お気を付けください。

コメント欄は時々開きます。 なぜならいただいたら返信したいので、余裕がないと開けられない。

このタイミングで話しかけたいな~と思われた時は、ちょっと前のコメント欄かメッセでお願いします。 

 

属性は、遊び人に片足突っ込んだ会社員です(笑)。 

なのでブログは基本的に夜しかいじらないので、アメンバーの申請やメッセ、コメントのお返事は

遅くなるかもしれませんがご了承ください。m(_ _ )m

昼休みとかにもちらっと見ることはあるんですが、なんせスマホで文章打つのが絶望的に遅いので、

「承認しました」って打つだけでお昼休み終わっちゃう。 ←大げさ。

 

こういう自己紹介的な記事が一つあるといいのかな~、なんて今回思いました。

え? いらない?(笑)