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浅田瑠璃佳@物書きブログ✡✡言の葉の楽園✡✡

物書きです‍☺️
web小説と、普段の生活からの解説文を不定期アップしております✏️
アニメ呪術廻戦・推しの子・鬼滅の刃好き 東方Project・辛いもの・ポケモンのヌオー好きです



翌朝。


主人たちの朝食前。

使用人たちが広間前の廊下に整列している。

その中には、かすかに目を赤く腫らした菜月(なつき)の姿があった。


しばらくすると、屋敷の主人である元治(もとはる)と若旦那夫妻の姿が見えた。

元治が一同に挨拶すると、続けて花梨那(かりな)が口を開いた。


「おはようございます、皆様」


若旦那の妻である花梨那は、いつになく明るい表情で使用人たちに挨拶した。

そしてそのまま、嬉しそうに言葉を続けた。


「実は皆様に、とてもおめでたいお話がございますの。 このお屋敷の使用人である入野菜月さんが、この度私の実家の使用人である上條昂希(かみじょうこうき)と結婚されました。 入籍後の報告で急になってしまったことを、深くお詫び申し上げますわ。」


すると使用人一同の列の一番端にいた昂希が、一歩前に出て頭を下げた。

それを見た使用人一同は、一瞬互いに顔を見合わせたが、すぐに皆一斉に拍手をした。


大勢の拍手の音の中で、菜月はただ一人顔面蒼白で、今にも倒れそうになっていた。


まるで地獄に突き落とされたような、そんな感覚を味わっていた。


「(………すさまじい、仕打ちですね、花梨那さま……。)」


そう思いながら俯く菜月を、花梨那は満足気な笑顔で見ていた。

一方元治は、動揺しながら花梨那を見やり、次に菜月を見て口を開いた。


「……いやあ、ずいぶんと急だね、驚いたよ。 私に一言ぐらい言っておいてくれても、良かったんじゃないか?」


穏やかな口調で元治が花梨那に言葉をかけると、彼女は少し残念そうな顔をして義父を見た。


「申し訳ございません、お父様。 実は菜月さんには前々から結婚の話を持ちかけていたんですよ。 うちの上條とは年も近いからどうかなって。 そしてついに、両人から承諾を頂けたんですの。 善は急げと言うじゃありませんか? ちょっと驚かせたかったんです。 」


流暢に話す花梨那に、元治はまだ戸惑いを覚えていたが、菜月に対する祝福の気持ちを述べた。


「……そうか、それはめでたいお話だ。 おめでとう、菜月さん。 どうか幸せになってほしい。」


元治の言葉に、菜月は唐突に現実に引き戻された。

自分の恩人でもある優しき主人の祝辞を、無下にすることは出来なかった。



「……あ、有り難き幸せにございます。」


なんとか主人に言葉を返した菜月は、いまだに自分が意識を保てていることに驚いていた。


一方、花梨那と元治の影に隠れたように佇む和雄(かずお)は、何も言わずにただ眉一つ動かさず、真っ直ぐに菜月を見つめていた。

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その日の夜、業務を終えた菜月は放心状態で自室に戻った。



To be continued




~追伸~

TATSUさん、メッセージありがとうございますちゅー花束

確かに最近ブログの更新早いかもですルンルン

本当は定期的にあげたいんですけど、なかなか上がらない時もあれば、たくさん上がる時もあります(笑)

小説、楽しんでくだされば幸いでございますお願い

偶然にも来週息抜きできるので、楽しみにしてますよグラサンキラキラ



皆様、ここまで読んでくださりありがとうございますキラキラピンクハート

主人公・入野菜月さんの夫である上條昂希さんの登場で、これからどのように、物語が進んでいくのか指差し

どうぞ、次回もお楽しみに愛



カメ浅田 瑠璃佳カメ



「………なんの騒ぎだ………?」


落ち着いたその声に、菜月(なつき)ははっと息を飲む。


久しぶりに聴いた、声。


菜月の口から、その声の主の名がこぼれる。


「………和雄、さん………。」


開け放たれたドアの先には、まぎれもなくこの屋敷の御曹司・和雄(かずお)が立っていた。


その姿を見た菜月は、安堵の涙を流した。


「(愛する、貴方様……。)」


一方、昂希(こうき)は片眉を上げ、身を起こして菜月から離れ和雄を見やった。
そして静かにベッドから降りて和雄へ近づき、うやうやしく頭を下げた。


「これは若旦那さま、夜分にお騒がせして大変申し訳ございません。  少々夫婦の営みが盛り上がり過ぎたようです。」


そう淡々と話す昂希を、菜月は強く睨みつける。
そんな彼女の様子を見た和雄は、静かに昂希に言葉を返した。


「泣き叫ぶ相手に襲いかかることが、夫婦の営みなのか……?」


その言葉に、昂希は苛立ちを覚え和雄に強い眼差しを向けた。
一方の菜月は、目の前の和雄にただただ心を奪われていた。


「(助けに、きてくれたんですね……。)」


菜月の目はもはや、和雄しかとらえていなかった。

そんな菜月の様子を一瞥した昂希は、静かな口調で和雄に言葉を述べた。


「分かりました、今夜は花嫁にこれ以上触れないように致します。 それで勘弁してもらえませんか?」


「……そうか。 そうするがいい。」


静かに返された和雄の言葉に、昂希は反応を示さずそのまま部屋を出て行った。

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自室に残された菜月は、涙で滲んだ視界の中で和雄と見つめ合った。


そして禁断の一言を言ってしまう。


「……愛しています。」


「……。」


「愛しています、和雄さん、あなたのことをずっと………。」


菜月の言葉に、和雄は表情一つ変えずに踵を返した。

向けられた背中に、菜月は思わず叫んだ。


「待って!! 行かないで!!」


しかしその叫びもむなしく、和雄が足を止めることはなかった。

和雄の姿が見えなくなった菜月は、愛しさと悲しみが入り交じり、永遠の奈落の底に突き落とされたかのような絶望を味わった。


引き止めることなんか、許されないのに。


なんて、諦めの悪い私。


「……許して、ください。」


いまだに、和雄さんを愛していることを、
どうか、どうか、許してください。


「……神様……。」


菜月はただむなしく天井を見つめながら、涙を流し許しを乞うのであった。



To be continued


~追伸~

TATSUさん、メッセージありがとうございますニコニコ!!

そしてお誕生日おめでとうございます誕生日ケーキ

名だたるアーティストさんたちのライブ、楽しんでくださいねルンルン

またお気軽にブログにお立ち寄りくださいふんわり風船星



ついに40話、皆様ありがとうございます泣き笑いハート

これからもどうぞお楽しみにキラキラ



カメ浅田瑠璃佳カメ



「夫………?」


菜月(なつき)は目を見開き、男の言葉を繰り返した。


「何を、言ってるんですか……?」


彼女の自室のベッドに腰掛けた男・昂希(こうき)は、自分を見つめる菜月の様子に、面倒そうに肩をすくめてから口を開いた。



「いや、だからそのままだよ。 俺はお前の旦那。 俺たち結婚するんだよ。」


しばし固まっていた菜月は、ふいに花梨那(かりな)の言葉を思い出した。


「……まさか………!」


真実を知った菜月は思わず口をおさえ、狼狽した。

他になすすべがなかった。


そんな菜月を見かねた昂希は、菜月のベッドから立ち上がり彼女に近づいた。


「まあとりあえず、シャワーでも浴びてきたら? この後寝るんだろ?」


自分に近づく昂希に、菜月はより警戒を強めた。


「近づかないで。」


その言葉に、昂希は目を丸くした。


「おいおい、出会って早々、俺は嫁に嫌われるわけ?」


一瞬落ち込んだ様子を見せた昂希は、鋭く菜月を見た。
目の奥に悲しみを秘めた、冷たい瞳。

昂希の眼光に、菜月は怯えた。



「……それか、もう手っ取り早く済ませちゃうか。」


そう言って昂希は菜月の腕を引く。


油断していた菜月は、たやすく昂希の力に流され、ベッドに押し倒されてしまった。


呆然と天井を見つめる菜月は、今、自分の身に起こっていることを現実だとは思えなかった。
いや、思いたくなかった。

今、自分の上にいるこの男は、出会ったばかりで何者かも分からない。



だけど。

ただ一つ言える。



自分に触れるのは、愛する和雄のみ。

そうでなくては。


他の誰かなど、許されるはずもない。


「……どいて……。」


腹の底から絞り出すように低く、菜月は言葉を吐いた。

そして天井より自分の近くにいる昂希に視線をうつし、彼を睨みつけた。


その様子に、昂希は一瞬目を見張った。


「なんで? 俺は、お前の夫なのに。」


「違う。」


「違わないって。」


「違う!!」


「……あーもう……、だるいって、そういうの。」


反抗する菜月の様子にため息をついた昂希は、すかさず菜月の首元に口づけた。

その感触のおぞましさに、菜月は身震いした。


「やめて!! 触らないで!!」


その言葉にも昂希は耳を傾けず、菜月の胸元をはだけさせ、肩に直接口づけた。


目に涙をにじませ、菜月は叫んだ。



「私は、あなたのものなんかじゃない!! これ以上、私に触ったら死んでやるわ!! ただじゃおかないわよ!!」


「……おいおい、落ち着けよな。まったく……。」


昂希は菜月を見下ろし、呆れている。


その時、菜月の自室のドアが勢いよく開いた。



To be continued



~追伸~

TATSUさん、メッセージありがとうございます爆笑

Ameba本部さんですか、頼めるかなあ爆笑?

誕生日に大好きなアーティストさんのライブは最高ですねカラオケ

いつもメッセージ大変励みになっております目がハートキラキラ



皆様、39話、読んでくださりありがとうございますキラキラ鉛筆ラブラブ

次回もお楽しみに!!


カメ浅田瑠璃佳カメ