ママたちへのメール(14) | とりあえず

夜になってから、今日も職場の同僚から専門家ママのメールが転送されてきました。些細なことなのですが、人の手を介したところがあたたかいのでしょうか、今の私はこのメールがよりどころになっています。そんな方がいらっしゃるかもとの勝手な思いもあり早速アップします。



みなさま

一時、放射性ヨウ素131の値が210ベクレル/Lと出た金町浄水場も、24日午前6時の検査で79ベクレル/Lとのこと。雨が原因の一時的なものだったのかなぁ~と、値が落ちたことにほっとしつつ、どのような経緯なのだろうと考えています。


さて、今回のラインナップは以下です。

---------------
1. 続・金町浄水場から放射性ヨウ素検出
 ① 市販の浄水器について
 ② 粉ミルク調乳に使用する水について(明治乳業より)
 ③ 少しでも減らすにはどうすればいい?
 ④ 今後は起きないの?
 ⑤ セシウムやプルトニウムが検出されることはないの?もし検出されたらその影響は?
 ⑥ 水道水のみましたか?
2. 単位のベクレルってなに?シーベルトの違いは?
3. 被曝と汚染の違いは?
4. 文京区被災者受け入れについて
---------------


1. 続・金町浄水場から放射性ヨウ素検出

① 市販の浄水器について
一緒に原子力倫理委員をなさっている方が、ネットの記事をみつけてくださいました!
以下、http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110324/dst11032400580006-n1.htm より


**********
Q.放射性物質は市販の浄水器でろ過できるのか?
A.ヨウ素は活性炭に付きやすい性質を持っているので活性炭を使ったフィルターなら市販の浄水器でもヨウ素を減らす一定の効果はある。しかし、セシウムには市販の浄水器ではろ過できない。ヨウ素、セシウムとも完全に除去するためには不純物をすべて取り除いて完全な純粋を作る浄水器を使う必要がある。
*********


また、メイスイの浄水器を使われている方が、カスタマーセンターからの回答を送ってくださいました。

*********
メイスイカスタマーセンター
日頃はメイスイ浄水器をご利用いただき、誠にありがとうございます。
また、この度はお問合せをいただきありがとうございます。

今回の原子力発電所の事故により、水道水中に放射性物質が混入したとの報道もあって、当社の浄水器で、それを除去できるかのお問い合せが、数多くいただいております。

現段階ではお答えできる範囲となりますが、ご了承ください。

浄水器の除去能力試験は、除去対象化学物質を一定量、試験水に混入した試料水を人工的につくり、それを連続通水した試験データにより能力を表示しています。
放射性物質は、一般的に取り扱える物質ではありませんので、試料水を実際の各々の浄水器に通水したデータがありません。過去のいくつかの知見によりますと、活性炭が放射性物質の除去効果を示しているものが、数多くあります。


以上の事柄をふまえ当社の見解と致しまして活性炭容量の多い浄水器で、ゆっくり通水して頂くと、水道水中に微量に含まれている放射性物質の減少には効果があると考えています。

またカートリッジについては、必ず能力限界内(1年以下)をご利用ください。

放射性物質を微量に含んでいる可能性のある水を採水して、その比較をするべく対応をすすめています。結果が判明すれば、またHP上で報告致します。

今後ともなにとぞよろしくお願い申しあげます。
**********


② 粉ミルク調乳に使用する水について(明治乳業より)
明治乳業(株)にお勤めの方がいらっしゃる友人が、明治乳業からの粉ミルク調乳に使用する水についての情報を提供くださいました!


**********
弊社粉ミルクの調乳に使用する水(お湯)について 2011年3月23日

明治乳業株式会社
栄養販売本部


拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素は、弊社製品に格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、弊社粉ミルクは、国内の水道水で溶いた時に母乳にできるだけ近くなるようにつくられており、それだけで赤ちゃんの成長に必要なミネラルは十分摂取できるように設計されております。
ミネラルウォーターでミルクを調乳した場合、ミネラルウォーターによっては無機塩類(ミネラル)が多量に含まれているためミネラルのバランスが崩れてしまい赤ちゃんに負担をかけてしまう場合があります。
水道水が問題なく使用できる場合は水道水をご使用ください。水道水が使用できない場合はカルシウム等の無機塩類(ミネラル)の少ない市販水をお選びください。
なお、お選びいただけるミネラルウォーターのミネラル含有量等につきまして、下記をご参考にしていただきたくお願い申し上げます。
敬具



○硬度  60以下
○pH   6~8
○無機塩類の目安量 Mg(マグネシウム) 30mg/L以下
     Na(ナトリウム) 42mg/L以下
     Ca(カルシウム) 285mg/L以下
     K(カリウム) 367mg/L以下
以上
**********


③ 少しでも減らすにはどうすればいい?
「210ベクレル/kgの水をペットボトルに1/3入れて、残りにミネラルウォーターを入れるのって、ミネラルウォーターの有効活用になりますか?」という質問をいただきました。
たしかに、薄めればベクレル/kgという数値は落ちます。
ただ、高血圧で塩分を控えないといけない方が、塩気の強いお味噌汁を出されて、「こんな塩気の強いもの飲めるか!」といって、お湯を注いで薄め、全部飲んだという笑い話がありますが、それと同様で、うすめていないものとうすめたものを同じ量(たとえば200cc)摂取したのであれば被曝量に差がありますが、うすめたからとそれをがばがば飲んでしまっては、被曝量に差がなくなります。あくまで放射性物質の総量に変化はないことはご注意ください。


また、前回、前前回のメールで半減期のことを書きましたが、ヨウ素131は半分になるのが8日間ですが、8日経ったときにがくんと半分に減るのではなく、徐々に減って、ちょうど8日目に半分になります。よって、置いておけば置くだけ、ヨウ素131は減ります。

尚、「水道水の保存」と検索を掛けたら、以下のようなQ&Aがありました。
**********
Q.水道水の保存期間はどれくらいですか
A.水道水は細菌などで汚染されないように消毒されているため、くみ置きして飲用する場合、時間とともに、水温が高いほど、また、光が当たるほど残留塩素(消毒の効果)が消失し、安全性が低下します。きれいに洗浄した密閉できる容器に入れ、日の当たらない場所(夏期で3日間 冬期で5日間が目安)や冷蔵庫(1週間が目安)に保存し、煮沸してからご使用ください。保存期間は保管場所、容器の材質、洗浄状態や浄水器の有無などによっても異なります。あくまでも目安ですので、なるべく早く飲用してください。
 また、旅行などで留守をされるときなど、各家庭の給水管に水が長時間滞留することになると、残留塩素が少なくなっている場合があります。長時間使用されていなかった最初の水は、念のためバケツ一杯分ぐらい、飲み水以外に使用されることをお勧めします。
http://www.city.matsubara.osaka.jp/6,687,14,101.html より
**********


④ 今後は起きないの?
雨が降ると値が高くなるのは、雨が降ることで空気中に拡散していたものが雨の粒に付着して地表に降りてくるからです。
よって、雨が降ると、放射性物質の拡散は防げますが、雨が降った地域では放射性物質が多く降り注ぐことになるのです。

今回と同じような事が今後起きないかどうかは、福島原子力発電所での放射性物質を気体の放出の回数と度合い、風向き等を含む天候条件によるので、なんとも言えませんが、あるものと心づもりしておくといいと思います。

とはいえ、健康に影響を与えるかといわれれば、与えるレベルになることはありません。


⑤ セシウムやプルトニウムが検出されることはないの?もし検出されたらその影響は?
いろいろな放射性物質があるのに、ヨウ素が中心に報道されていることに疑問がある方も多いかと思います。ふつう、原子力発電所っていえば、ウランとかプルトニウムですよね。

現在、ヨウ素とセシウムが注目されますが、その理由は、沸点(簡単に言うと液体から気体に変化する温度)にあります。ヨウ素は184℃、セシウムは678℃で気体になります。
それに対し、たとえばプルトニウムの沸点は3230℃です。


※運転中の原子炉内の温度は300~450℃(燃料は約1770℃)です。

よって、気体になっているヨウ素やセシウムは原発事故で放出されやすく、また気体であるが故に遠くに飛びやすいのです。そして、ヨウ素は甲状腺癌、セシウムは筋肉や血液に入ると周辺の骨髄や腸管などが障害を心配されます。ただ、汚染についてのニュースは、半減期(ヨウ素131に比べ、セシウム137は約30年)から考え、今後はヨウ素については収まり、セシウムについての報道になるでしょう。


セシウムは東京の水道局での報告はありませんが(たぶん)、すでに都内で観測されています。
半減期の長さが約30年と長いこともあり心配されますが、ただ半減期には物理学的半減期といったん生体内に取り込まれた物質が、排泄作用等により体内から失われ、半分に減るまでに要する時間を示す生物学的半減期とあり、通常使われる「半減期」が指すのは物理学的半減期です。でも、被曝について考える場合は生物学的半減期の考慮が必要ですよね。


セシウム137は比較的排出されやすいので生物学的半減期は70日程度となります。
また、過去に、私達は核実験の乱発やチェルノブイリ事故で現在の平常値よりはるかに高いセシウムの降下を受けていましたし、70年代には現在の平常値の20倍程度の降下量を数年に渡って受けていました(でも、そのようなことは気にせずに現在生きている)。
それらを考慮すれば、セシウムについても通常よりも高い数値がでたからといって、ただちに慌てることはないと考えます。


ところで、15日に高い環境放射能濃度が観測された福島市のその後の変化は濃度変化は、ヨウ素131の半減期8日よりも速いスピードで減衰となっています(http://www.pref.fukushima.jp/j/7houbu9.pdf )。
この「速い」の原因は雨によって福島の環境放射能濃度の高い理由である地表に降り注いだ放射性物質が、雨にながされたり、風で拡散したりしているためだと思いますが、少なくともこのヨウ素131よりも早い減衰ということから読みとれることは「放出された放射性物質の主役はヨウ素131である(ヨウ素131よりも半減期の長い物質、たとえばセシウム131が主役であったなら、濃度の減衰スピードはよりなだらかになる筈です)」。ということです。


また、プルトニウムですが、3号機がプルサーマル(軽水炉によるプルトニウム利用)をやっていることに注目なさる方がいらっしゃいますが、3号機の燃料集合体の548体のうち通称MOXと呼ばれる“軽水炉用プルトニウム-ウラン混合酸化物燃料”は32体と非常に少ないこと。


また、プルサーマルを実施していない発電所でもプルトニウムは存在し、ウラン同様に発電に利用されていること(このあたりの説明は割愛しますが、ご質問あるからはおっしゃってください!)から、今回の説明においては大差ないと考えます。

原子炉格納容器と圧力容器が健全性を保っている以上、プルトニウム飛散はあったとしてもごくごく限られている(発電所敷地内)と考えます。
東京でプルトニウムの害がでることはありません。


※プルトニウムはα線(=紙一枚で遮ることができる放射線)を出すので、吸い込んだり体内に取り込まない限りは問題ないのですが、体内に取り込んでしまった場合には、非常に強い被曝を受けます。


⑥ 水道水のみましたか?

昨夜の私ですが、実は我が家、今回の地震後に、非常用として買っていた5年保証の水の賞味期限をチェックしたところ、つい先日切れておりまして・・・でもまぁ捨てるのはもったいないから火を通して使おうと料理にその水を使っていた最中でしたので、その賞味期限切れのものを使ってご飯を炊いたりしました。
麦茶は前日の夜に作っていたので、別に今日の水道水がいやといかいうのではなく、ただ単にそれがあったので、そちらを飲みました。
でも、それ以外はまったくいつも通り。朝、コーヒー等も普通に水道水を使ってのみました(24日の値がどうなったかは、この時点では知りません)。もちろん、お風呂にも普通に入り、ごくごく普通の生活でした。


でも、たびたび書いていますが、科学的にどうかというのと個個人がそれをどう受け止め行動するか。いわゆる納得感はことなります。
11通目で、私は専門家が少しならだいじょうぶというのを聞きながらも妊娠中および授乳中はお酒をは呑まなかったと書きました。


でも、今回の金町浄水場から放射性ヨウ素検出に対しては、科学的な説明を信じています。
それはなぜなのかというのを私なりに検証してみました。

まず私ですが、原子力の人間ではありますが、実際に被曝線量を測ったり計算したりということの専門家ではありません。ですから、○○という数値は安全なのか危険なのかという話は、線量計を付けるような実験等をした経験もある程度は関係しているかもしれませんが、基本的には教わった知識を信じているという状況です。
では、なぜその知識を信じられるかですが、○mSVの被曝をするとどうなるかという実態を提供してくれた多くのヒロシマ、ナガサキをはじめとする多くの被爆者(核実験、職業被曝)のことを信じているのだと思います。
科学的に示される数値というのはいろいろありますが、放射線については、それがどのような影響を及ぼすかを本人が望む/望まないにかかわらず提供くださった多くの方がいらして、その方々を信じているっていう感覚です。放射線の人体への影響については、人種やさまざまな個体差の別なく多くの方が情報提供をくださって今があるのです。
まぁ、ICRPの勧告がものすごく安全に余裕を持たせた数値であるというのもあるかな(普通の人にとっては、こちらが安心につながるかもしれないですね)。
100でだいじょうぶなものを1を限度の基準にしているようなものって、他にあるのだろうか。。。
1945年の広島や長崎周辺で、今東京でのさまざまな数値どころじゃない放射性物質の体内取り込みを含めた被曝を、被爆者手帳配布の対象者以外の多くの方がしてきた筈です。でも、今の広島と長崎を私は知っています。結果として、私には210ベクレル/kgという数値がまったく気にならなかったのです。

ところでちょっと話がそれますが、4通目で私が普段持ち歩いているものについて書きましたが、我が家にある非常食についても書きたいと思います。
というのも、我が家は非常食らしい非常食はあまりないのですが、常に2Lの水のペットボトル6本入り2箱があるのです(これは非常用ではなく、普通のです)。それは、今回のようなヨウ素云々というより、単なる地震への備え(ライフラインが停まった時への対応)なのですが、私はいざというときも米と味噌と水があれば生きていけるなぁ~、それが尽きるまでにはなんらかの策が講じられて助けてもらえるだろうと思っています。
もちろん卓上ガスコンロとガスボンベもあります☆
御参考まで。


2. 単位のベクレルってなに?シーベルトの違いは?

5通目で単位について書きましたが、今回、農産物や水の放射性汚染物質がみつかったことでベクレルが注目を浴びている??ので、より丁寧に書きます。
 ベクレル(Bq):放射性物質が放射線を出す能力(放射能)の強さを表す単位
 シーベルト(Sv):放射線が人体に与える影響を示す放射線量を表す単位
です。
対象となる放射性物質がAと特定されていれば、Aがどのように人体に与える影響を示すかはわかっているので、その「実効線量係数」というのを用いることで、○ベクレル→△シーベルトですということができます。
ただ、この実効線量計数は、放射性物質によって値がことなります。そのため、物質Aと物質Bがあって、その放射線を出す能力が○ベクレルだったとします。でもAとBは物質が違うので、人体に与える影響が違います。
そのため、AはAの実行線量計数を用いて計算した結果、△シーベルトとなっても、BはBの実効線量計数を用いて計算した結果、同じ○ベクレルだったのに□シーベルトになってしまいます。
・・というのが同じ100円でも10円10枚と100玉1枚のように嵩が違うというたとえを使って説明したことでした。


3. 被曝と汚染の違いは?

被曝とは、放射線を受けることです。
それに対し、汚染とは、放射性物質が皮膚や衣服についている状態です。
そのため放射性物質が体に付着する等で汚染されている人は、その物質を取り除くまで被曝し続けてしまいます。


4. 文京区被災者受け入れについて

文京区被災者受け入れについて、白石区議が情報提供くださいました。

東北地方太平洋沖地震等による被災者・避難者に対し、区立住宅等を提供します。

【対象者】
  東北地方太平洋沖地震による居住継続困難の被災者
  国の避難指示等による福島原発周辺地域からの避難者

【提供住宅】6戸
  根津一丁目住宅(3人以上世帯)2戸
  向丘職員住宅(女性向け)1戸
  水道職員住宅(男性向け)2戸
  水道職員住宅(世帯向け)1戸

【入居条件】
  当面、6か月間。
  家賃・保証金免除(光熱水費は実費負担)

【申込手続等】
○申込期間=平成23年3月28日(月)?3月30日(水) 午前9時?午後5時
○申込方法=申込期間内に、所定の申込書により住宅課へ。郵送・FAX可。
○抽せん日=平成23年3月31日(木)
*根津一丁目住宅の入居者決定に当たっては、乳幼児、妊婦、障害者、65歳以上高齢者のいる世帯を優先。
○入居開始=平成23年4月1日(金)
○受付・問い合わせ=都市計画部住宅課

以上です。


このメール、本当は昨日の夕方に送れればと思って書き始めたのですが、本務があったりもありますが、なにより・・・思っている以上に時間が書かてしまいました。
伝わり易さを願っているのですが、なかなか。わからないこと、訊いてくださいね。