ママたちへのメール(10) | とりあえず

職場の同僚のママ友に原子力の専門家がいらっしゃり、先日来の彼女からのメールの続きを送ってくれました。


今回もまたより直近の疑問についてその時点のベストソリューションとして書いてくださっていますので、2つ連続してアップします。


特に専門知識のないママが感覚的に持っている疑問や不安について、同じ視点に立ちつつ有識者として責任あるアドバイスをしてくれています。ぜひ読んでみてください。



●第10通目● 3月22日6時7分送信


みなさま


さてさて今回のラインナップです。
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1. 食品等への放射性物質による汚染について
2. ほんとうにこどもも大丈夫なの?
3. 被災された方々に対し、いまできることって?
4. 具体的な節電の方法
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1. 食品等への放射性物質による汚染について

福島第一原子力発電所の事故にともない、何度か放射性物質が環境に放出されました。その際に飛び散った放射性物質は風に流され、各地で観測されていたわけですが、このたびホウレンソウやかき菜、原乳、水等々で食品衛生法上のや暫定規制値を超える放射性物質が検出され出荷停止や飲料禁止となりました。ただ、そうした報道の中で同時に「食べたからといって、健康に影響がでるわけではない」とも言われていたり・・・正直、よくわかりませんよね。そこで、私なりにこの問題を調べてみることにしました。


まず、みなさんに押さえて頂きたいのは、私たちは、普段からカリウム(カリウムは、人体に欠かせないミネラル源です!)など、放射性物質を伴う食品を食べているということです。つまり、今回の福島の事故があったから、食べ物に放射性物質がついているのではなく、そもそもで私達はそうしたものを食べている。今回問題になっているホウレンソウや牛乳はもちろん、米であれ魚であれ・・・食品を測れば放射線物質が検出されます。


そのうえで、食品衛生法の暫定規制値ですが、食品安全委員会のQ&Aには「国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告した放射線防護の基準をもとに、原子力安全委員会が食品の採取量等を考慮して定めたものであり、これを上回る食品を食べた場合であっても直ちに健康に悪影響が生じるものではないとされている。」とありました。さらに、原子力発電環境整備機構・フェローの河田東海夫さんによると、規制値は、この食品を一年間毎日食べてもそれによる被曝が1ミリシーベルトを超えないように決めた値だそうです。


そして、この1ミリシ―ベルトという被曝の害を煙草の害と比べると一月あたり2本半の喫煙を1年続けた場合、すなわち1年に30本分の煙草を吸った発癌リスクに相当するのだそうです。

これはまったく心配する必要のないレベルであり、むしろそこまで些細なことを心配すること自体が身体によくないといえると書かれていらっしゃいました。


また、京都大学原子炉実験所原子力基礎工学研究部門教授の宇根崎先生が私が情報発信していることを御存知で、本件について、「表面についたものは洗えば落ちる」という定量的なデータをみつけ、お知らせくださいました!


■原子力環境整備促進・資金管理センターのライブラリ、
http://www.rwmc.or.jp/library/other/kankyo/
にある「環境パラメーターシリーズ4 「食品の調理・加工による放射性核種の除去率」」(PDFファイル3つに分割されています)によると、ホウレンソウの表面が汚染されている場合、ヨウ素131、セシウム137は水洗いでおよそ90%が除去されるようです。また、牛乳中のヨウ素やセシウムは、バターに加工することにより96%から99%は取り除くことができるそうです。つまり、汚染されている野菜だったとしても、洗っていればまったく問題ない状態になるのです。


今後、食品衛生法の暫定規制値に基づく出荷停止はもちろん、「消費者に安心を与える」という視点から、生産者あるいは自治体による出荷自粛の動きもあるでしょう。でも、今回検出された放射性物質は主にヨウ素131とセシウム137ですが、ヨウ素は8日で半分、1ヶ月で1/16と減り、3ヶ月もすると、ほぼゼロになるという性質を持っています。そのため現在出荷停止となった地域のものでも、福島第一原子力発電所での放射性物質の放出が連続的ではない以上、数日後、数週間後には暫定値以下となると考えられます。また同じ産地でも、葉物で表面積が大きいホウレンソウやかき菜放射性物質を吸収しやすかったわけですが、そうではないものもありますし、同じホウレンソウでも、露地栽培ではないものはまた値がちがってきます。あっ、なぜ牛乳かっていうのは、水に溶けやすいヨウ素が雨に溶けて地中にしむ→牧草地の草が吸い取→牛がそれを食べた結果で、そうした食物連鎖の中で放射性ヨウ素が濃縮されていったためです(牛は一日に青草を50?60 kg。干した草で約15kgも食べるそうです!)


すでにたいへんなご苦労およびご心労を受けている生産者、流通関係者のためにも、市場に出回っているものは安心して購入いただけるとうれしいです。


2. ほんとうにこどもも大丈夫なの?


だいじょうぶです。

20日に送信した8番目のメールに書いた通り、「想定しうる一番悪いケース」でも東京に人体に影響を及ぼすような被害は考えられません。この「人体」は、健康な成人基準ではなく、ちいさな子を含めてであることも理解ください。原爆やチェルノブイリなどによる被曝は丁寧に分析されており、乳幼児の年齢についてもしかりです。3月19日の7通目の繰り返しになりますが、日本産科婦人科学会による「福島原発事故による放射線被曝について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内(特に母乳とヨウ化カリウムについて)」を御参考ください。
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110316.pdf


子にとっては、何より親が冷静でいることが大切と思います。私は、それに少しでも助けになればと思い、情報発信しています。


3. 被災された方々に対し、いまできることって?


本項は、原子力や放射線の話からは外れますが、保育園の耐震補強工事の際、お知り合いになった区議の方等からも紹介いただいたので、お知らせしたいと思います。まず前提ですが、停電の協力を求められていますが、この停電は、あくまで東京電力の発電所が地震により発電できなくなってしまっていることにより、東京電力管内の発電できる量よりも消費される(と思われる)量が越えてしまっていることによるものなので、直接被災地うんぬんというのではなく、みなさん自身の生活のために言われていることです。よって、節電はぜひぜひお願いしたい状況ですが、被災地の方へというのではないこと、ご理解ください。


そのうえで、ではなにができるか!ですが、すでになさられた方も少なくないかと思いますが、いろいろな募金活動が行われています。募金の方法は、日本赤十字社をはじめとする振り込みやクレジットカードを使用するものもあれば、コンビニやスーパー、デパートなどの店頭、あと自治体!

文京区でもシビック&9つの地域活動センターにて募金活動がなされています。私がいうのもなんですが、是非よろしくおねがいします。ただし・・・・義援金詐欺にはご注意ください。


また、救援物資ですが、仕分けなどの作業の問題などがありましたが、文京区では明日(3月22日)から、救援物資の受け付けを行います!受付品目(いずれも新品の未使用に限る)は

1.赤ちゃん用品:解熱ジェルシート、紙おむつ(新生児S、M、L、ビッグサイズ)、おしり拭き、ベビーローション、ベビーオイル
2.高齢者用品:大人用紙おむつ、介護用ウェットシート、介護食用とろみ剤
3.生活用品:コンタクトケア用品(洗浄液、コンタクトケース)、使い捨てカイロ、生理用品、紙コップ、ラップ
4.飲料水
※収納用の袋、箱などで包装した形での提供をお願いいたします。
※食料品、衣料品など受付品目以外のものについては、現段階では受付を行っておりませんので、ご了承ください。

とのこと。

平日の午前9時から午後4時の間、文京シビックセンター1階アンテナスポット「東北地方太平洋沖地震救援物資」で受付けています。こちらも是非お願いします。


あっ、それから。1.で書いた通り、市場に出ているものは安心してだいじょうぶです。被災地への応援のためにも、ぜひぜひ東北、北関東産のものを選びませんか?それも一つの応援方法だと思います。


4. 具体的な節電の方法

いちおう・・・といいますかETTという『フォーラム・エネルギーを考える』のメンバーなので、こちらも専門家として節電についての知識を~。
といいながら、我が家も特にフィルターの掃除とか頭がいたいのですが、以下、すでにいろいろなさっていただいている方も多いかと思いますが、
参考ください。
基本はこまめにスイッチオン・オフ!使っていない電気は切る!です。


その1.待機電力をなくす。
現在、家庭の消費電力の10%は待機電力といわれています。テレビもリモコンではなく主電源を切る。つかっていないもののコンセントは抜く!ぜひおねがいします。


その2.設定を低くする
・冷蔵庫の温度設定を「強」にしているものを「中」にするなどしてください。冷蔵庫については扉を開ける回数や時間を減らすことも有効です。開ける前に一呼吸置いて何をとるのか考えてささっとやりましょう!
・「省エネモード」がある製品は、ぜひ「省エネモード」を使ってください。
・エアコンの設定温度を変える。暖房は2度温度設定を下げると約10%の節電になるそうです。
・テレビの照度などもいつもより落としてご利用ください。音量も下げるのが節電になるんですよ☆


その3.電力をつかわないものを利用する
エアコンの設定温度を低くした中、あたたかく過ごすためには、まずは1枚着る、靴下を履く等々、衣類で調節ください。また、カーテンやブラインドを効果的に。カーテンは、脇および高さをきちんとカバーしている大きさのものが有効です。
カーテンレールが2列有る場合、室内側にかけるカーテンの端も窓側のカーテンレールの端にかけるようにすると、脇からのすきま風がなくなり、省エネになりますよ~(この文章で伝わるかな?)。


その4.掃除をする
掃除機は電気を使うものですが、より電化製品の効率をあげるために以下のようなもののこまめな掃除は有効です。
・エアコンのフィルターを掃除する
・エアコンの室外機は風通しのよい状態にする(障害物を置かない)。
・テレビ画面の掃除をする(明るさの設定に影響するため)
・冷蔵庫内に余計なものをいれない。すぐに出し入れできるよに整理する(庫内の冷気の流れもよくなります!)
・掃除機のフィルターを掃除する(吸引力アップで省エネ♪)。


その5.その他
・暖房機能のある便座の蓋は使用していない時にしめる。
・お風呂はできるだけ間隔をあけずに入る。
・掃除は、まず家を整理し、移動すべきものは移動してから行う。
・炊飯器でのご飯の保温めやすは4時間。それを越える場合は、電子レンジであたためましょう。実験の結果では電子レンジでの温め直しの方がおいいしいそうです(炊飯器によると思いますが)。
・できるだけ乾燥機(衣類・食器)に頼らない


ぜひ、できるところから協力をお願いします。


以上です。