ママたちへのメール(5) | とりあえず

職場の同僚のママ友に原子力の専門家がいらっしゃり、先日来の彼女からのメールを送ってくださいました。


数日分の疑問がその時々のベストソリューションとして書かれていますので、数回に分けてアップします。ご本人の承諾を得ているとのことなので、メールの文章を以下にそのまま掲載させていただきます。


●第5通目● 317日午前557分送信


みなさま(送信:317日午前557分)


またまたお邪魔しております。



今回は

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1. マスクしなくてだいじょうぶ?

2. 外で遊んでいい?

3. 単位について

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です。




1. マスクしなくてだいじょうぶ?


「発電所そばで○ミリシーベルト。これは××の△倍です」「□□で、通常の◇倍の値が検出されました」などにより、心配になられている方もおおいと思います。ただすでに述べた通り、放射線による健康被害については十分な知見があり、現在の東京でまったく心配する必要はありません。たとえば・・・たばこ等、煙を吸いこんじゃうことってありますよね?でも、ちょっと歩いているときに人のたばこの煙を吸いこんじゃったからって、即、癌になるわけではないわけです。今の東京の状況は、たとえ△倍であっても、健康被害に至らない放射線量なんです。


※でも、心配ならマスクしてください!するなといっているわけでは全くありません。



2. 外で遊んでいい?


1.に通じるところがありますが、現在の東京はまったく問題ないです。国や東京電力が情報操作をしているのではないか?など、思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は、限られた時間と能力、人員の中で、何にどう対応するかも検討する中、どういう情報を出すかはとても難しい作業と判断が要求されるものと思います(正直、そのままデータを出しても、それを理解できる人は記者会見の現場にはいないと思います。情報を出すには情報を出すだけの用意も必要で・・・)。とはいえ、今回の情報提供のあり方の適切性については後に議論されるべきことと思います。ですから、「もっとこのときにこうした情報を出すべきだった」との議論は、後に必ずなされるものでしょう。なされなければなりません。


ただ!どれくらい放射線量があるのか。というのは、計測器があればどこでもだれでも測れるもので、東京をはじめとする場所場所での値に改竄等はあり得ません(改竄したところですぐにバレます)。発表される値というより、それに伴って話される「対応が必要かどうか」に準じて行動ください。


自身としては、親があまりに神経質になって子が外で遊べないという方が不幸に思いますし、実際、今から閉じこもってしまっては、健康な人も健康を害してしまう恐れがあると思います。



3. 単位について


Sv(シーベルト)という単位はよく効きますが大気中の粒子数?を示す数字で「cpm」また、「ベクレル」という単位はどういう判断をすれば理解できるものですか?また、1Sv=○○cpm など変換することは出来ますか?」という質問をいただきました。


ちなみにcpmとは、カウント・パー・ミニッツ。すなわち、1分間に検出器が数えた放射線の数です。ベクレル(Bq)は、放射性物質が放射線を出す能力(放射能)の強さを表す単位。シーベルトは、放射線が人体に与える影響を示す放射線量を表す単位です。・・って、なんとなくcpmは理解いただける気がするのですが、ベクレルやシーベルトって難しいですよね。


放射線よりも身近と思われる明るさを表す単位のワットやルクス、カンデラ、ケルビン・・・といったものにあてはめてみようかと思ったのですが、私の能力では無理でした。



話戻。

一言で言えば、それぞれの単位で意味しているもの、示そうとしているものが違うので、換算はできません。理由は、放射線を出す物質(放射性物質といいます)はいろいろあり、それぞれで放出される放射線の種類(情報その2で述べたようにα波、β波・・・といったもの)やエネルギーの大きさが異なるからです。


たとえると・・・、同じ金属でも、アルミニウムと鉄は違いますよね。

放射性物質も、ウランとプロトニウム等、物質が違えば、放射線の種類を含めた性質が異なるんです。



cpmは一放射線検出器を使って、そこにはどれくらいの放射線があるかを測った際に使われる値です。でも、放射線がたくさんあったとしても、それが人体にどれくらい及ぼすかは、その放射性物質がなにかもよるので「○cpmありました→△Sv」ですね。とはいえません。


すっごく変なたとえかもしれませんが、「フルーツが1kgあります!」といわれても、それが何個なのかとかそれでどれくらいお腹がいっぱいになるのかは、フルーツがみかんなのかりんごなのかバナナなのか・・・・、あるいはいろいろなものが混ざっているのかわからなければ、なんとも言えないですよね。そんな感じです。



また、ベクレルとシーベルトですが、こちらも放射性物質によって放射線が人体に与える影響が異なるので、放射性物質の放射能量を示すベクレルの大小と放射線が人体に与える影響を示す放射線量を示すシーベルトは換算できません。つまり、「○Svだからといって△Bqとはいえないんですよね。」なんというか・・・10円玉が10枚でも100円玉が1枚でも、私達にとっては同じ100円なのでビッグタイプのチロルチョコが5個買えちゃうんですが(消費税は無視してます)、財布に入っている時のかさばり度はちがいますよね。

うぅ~ん、、、こちらもたとえがいいかわからないんですが、そんな感じです。


というわけで、いろいろ考えた割にはあまりいい説明ができていないように思うのですが、とにもかくにも放射性物質にはいろいろな種類があるため、各単位は換算はできないってことでご理解ください。




今回は以上です。