歩く財布ではございませぬ | 世界の切れっ端

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〜ひっそりと生息中@TOKYO〜

貸す、貸さない、貸す、貸さない・・・

 

 

***

 

懐かしのアフリカ某国。

彼の地を飛び立ってからもう10年も経ってしまった。

 

「グローバル化」が叫ばれて久しい今日この頃。

 

子供の頃は「外国にお友達が欲しい〜〜〜(キラキラ)」なんて思っていたけど、今やSNSのお陰でスイスイ国境を越えて交友関係を広げることもできちゃう。

 

 

でもねぇ。。。

 

 

経済レベルが異なる国同士で清い友情を築くのは、なかなか難しいですNE !!!!!

 

なーんて、すっかり歪んだ心を持つ大人になったもんだと思う今日この頃。。

 

素直に「人助けでいい事したんだ」と思えず、モヤモヤしている自分がいやになっちゃうYO !!!!

 

***

 

親しい女性同士であれば、互いを「シスター」と呼び合うアフリカ某国。

 

私を「シスター・アミ=デデ」と呼ぶのは、紛れもない私の相方であるシスター。

生まれた曜日と、何人目に生まれた子供であるかで通名が決まるこの土地で、「あなたは土曜日生まれの長女だから」と言って私にアミ=デデと名付けてくれた。

 

シスターとは2年近く一緒に仕事をした、本当に頼りになる6つ上のお姉様。

 

ねえねえシスター。

なんで私が道を歩くたびに、みんな「HEY!オブロニ(=肌が白い人)!お金ちょうだい!!」って叫んでくるの?本人達は面白がって言ってるんだろうけど、本当にどいつもこいつも、毎日毎日、腹立つよ。

 

「あはは。でも、アミ=デデの肌が私達より白いのは事実でしょ。肌の白い人は先進国の出身だからお金があるって、そういう刷り込みなのよ。無視してりゃいいよ〜」

 

でもさあ!失礼だよ!!私は歩く財布じゃないんですけど!!!

 

なんて、私がイラっとする度にこんなやり取りをよくしてた。

 

 

時は経ち、2023年6月。

携帯のメッセージアプリに、ほぼ10年ぶりに連絡が入る。

 

「シスター・アミ=デデ!!」

 

わ〜シスターだ!元気!?

 

「元気よ!今はね。。

 

実は、2番目の子供を出産してから心臓の病気になって、生死を彷徨ったの。。」

 

そっか、、それは大変だったね。。今は元気そうで良かったよ!

 

「うん、今はなんとかね。

 

でも、、子供達がこれから学校に通い始めるから、出費が嵩んでね。。」

 

うんうん、それは大変だねぇ。。

 

 

「そうなの。

 

 

だから私に300ドル貸して!

 

 

 

(T-T)!!!!

 

 

アメリカ人のボスに前払いとかお願いしたら?とか、色々言ってみたけど、手術を受ける時にかなり支援して貰ったらしく、これ以上ボスにはお願いできないとのこと。

 

「しかも、彼女(ボス)はもうアメリカに帰っちゃったの・・・」

 

いやいや、シスター、私も今そっちにいない上に、第三国に住んでるから!

 

とは言っても通じず、「簡単にできるから!絶対返すから!!」と言って、某国の銀行送金アプリについて説明してきたり、なんだのかんだの。。

 

あのね、シスター。私は今、日本でもない別の国に住んでるの。送金アプリは登録する際に本人確認の電話が掛かってくるんだけど、ローミングしても上手く受け取れないの。だから送金アプリは使ってないの。簡単に送金できないの!

 

と説明しても通じず、「他にもこんなアプリが●X&%$@◆」と言って(以下略)。

 

 

だからー!銀行送金しかできないんだよー!でもあなた海外送金を受け取れる銀行口座持ってないんでしょー!だから諦め・・・「じゃあ私の旦那の友人の、Mr.ダニエルの口座に送って!彼はドル口座持ってて、普段から海外送金受け取ってるから!!」

 

 

(T-T)!!!!

 

いや、誰よ、Mr.ダニエルってさ。。

 

***

 

ほんでまー、毎日送ってくるんですよ、督促のメッセージを。

こっちも半日休み取らなきゃ銀行に行けないんなけど、そもそもそんな簡単に休み取れないのよ。

 

貸す、貸さない、貸す、貸さない・・・

 

 

たった300ドル。

でもお金の問題じゃないんだな。

300ドルくらい、借してくれる人いるでしょ。わざわざ遠くに住んでる外国人の私に頼まなくても。

金持ちの知り合いとか、マイクロファイナンスとか、銀行とか。。

 

シスターにとっても、私は所詮「オブロニ」だったんだ、と思うと・・・なんだぁか切なぁ〜い♪(by宇多田)

 

そう、これは金の問題じゃなくて、気持ちの問題。

 

でも、私に頼んでくるくらいだから、かなり切羽詰まってる状況なんだろう。このまま薬が買えないせいで、本当にやばくなったらどうしよう。

仕事中でも頭がぐるぐる。

空席のままの隣の席を見ると、心が痛んじゃう。

(空席の理由はこちら

 

貸したら後悔する。

でもきっと、貸さないともっと後悔しちゃう。

 

***

 

銀行窓口のお姉さんが、神妙な顔付きで私を見つめる。

 

「あの・・・、送金額は300ドルでいいの?本当にたったの300ドル??」

 

はい。。。だめ?

 

「いやあの、、結構手数料かかるから。しかも送金者負担なので。。うーん、例えば1000ドル送ったらもうちょっと安く・・・。」

 

うーーーん。。いやでも、今回は初めて送る相手だし(それどころか、Mr.ダニエルなんて全く素性も知らない人だし)、手数料がいくら掛かっても送金は300ドルぽっきりでいいです。はい。

 

「あ、そ、そう。。じゃあ、はい、300ドル。。」

 

 

 

手数料53ドル(7000円強)も取られました有難うございました

\\\\٩( ^q^)و ////

 

 

 

「シスター・アミ=デデ!!ありがとー!!GOD BLESS YOU!!

って、携帯の画面にテンション高めのメッセージが。

「シスターが喜ぶなら嬉しいよ♪」なんて素直に思えず、「God とか言われても、私クリスチャンじゃないし」と思ってしまう私は心が狭いんだろうか。

 

***

 

実は人にお金貸すの、ウズベクに来てからこれで2回目。

 

以前、うちのアパートの大家さんに「いい人だから雇ってあげて」って言われて、月に一度だけ来て貰ってたクリーナーのお姉さん。

普段からとてもいい人で、月に一度だけとは言っても、お互いにお菓子とか、クリスマスプレゼントとか交換し合ってた。

 

そのうち、大家さんのところをクビになってしまい、「またどこかで会おうね!」と言って最後に別れたのがいつだったか。

 

そんな2022年の冬のある日。

 

トーコさん、お願いお金貸して!私のお母さんの脚の状態が悪化して、手術が必要になったの〜。でもお金が無くて。。お母さんこのままだと歩けなくなっちゃう」

と泣き入りのメッセージが。なんと、お母さんの脚の状態を映した動画付き。

 

そそそ、そんな同情を誘われても・・・。

しかもわざわざ外国人の私に頼まなくても、他に誰かいるでしょうに。。

 

「お母さんの手術が終わって、世話が不要になったら、私は仕事に出掛けられるから!2023年の9月までに返すから!!」

 

だって。

ううううううううんんん。うちの飼い主(母)も脚が悪くて何度も手術したから、大変な気持ちはわかるなあ。

参考までに金額はいくら?

 

「800ドル」

 

ああ、はっぴゃ・・・って、高いな!!!

 

 

この時も、「GOD BLESS YOU」されたんだけど、「いやいや、私ムスリムじゃないし」と思ってしまったよ。

 

***

 

あれからちっとも学んでない私。

 

私と親しいとか、親しくないとか、そんなことはさほど重要じゃない。

私が先進国から来た人間だから、お金を借りに来たんだな。

 

だから、blessされているのは「歩く財布」と知り合いだっていう相手の方なんだ。

 

悲しいけど、これは事実。

友情はプライスレス、だなんて思いたいけど、実際はそうじゃない。

何を期待してたんだ、私は。

 

で、何がこんなにモヤモヤするかって、友情のために良いことしたんだって、気持ち良く貸してあげられないから。

嫌なら嫌で、「やっだよ〜ん」って言えれば良かったのに。

 

***

 

とは言え、相手によると、天の父にもアッラーにもblessされているらしい私。

 

同じような状況の友人に話したら、

「仏教で言うところのさ、来世に向けて徳を積んでるんだよ。もうそう思うしかないよ」って励まされた。

 

 

そんな時、ふと思い出した。

私の飼い主が、むかーーーし言ってたことを。

 

「あのな、あんたが産まれる時、うちの家はめちゃくちゃ貧乏でなぁ。。出産費用も出されへんかったんや。

 

だからな、まあちゃん(母の妹=私の叔母)に借りたんや。

 

30万円。

 

 

;`;:゙;`(;゚;ж;゚; )ブッ

 

 

負債から爆誕しました、トーコと申しますよろしくお願い致します。

 

 

「金は天下の回りもの」と言いますが、私は今、頑張って回してるってことで良いのでしょうか。

 

そして、私の「徳貯金」はいつプラスに転じるのでしょうか、阿弥陀如来様。