1/27・至上のモーツァルト | papirow(ぱぴろう)のブログ

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Something to remember today. 今日の日が流れて消え去ってしまう前に。

1月27日は、至上の音楽家、モーツァルトの誕生日。
「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク(小夜曲)」「フィガロの結婚」「魔笛」の作曲家、モーツァルトである。
モーツァルトに関しては、自分はあまり多くを発言したくない。世の多くの人たちのほうが、自分よりよっぽどモーツァルトが好きで、モーツァルトについてよく知っていて、モーツァルトの音楽について言いたいことをたくさんもっていると思うからだ。

評論家の小林秀雄に『モオツァルト』という文章があって、そのなかに、若いころの思い出が書かれている。
たぶん、東京で同棲していた女から逃げ出して関西へいき、すさんだ気持ちで放浪していたときのことだろうが、大阪の道頓堀をさまよっていた若き小林秀雄の頭のなかに、モーツァルトの交響曲第40番の第4楽章のテーマがとつぜん流れだした、というくだりがある。
このテーマは、聴く者を追い立てるような感じのするメロディーで、当時の小林秀雄の切羽詰まった気持ちがよくわかるなぁ、と自分などは思う。おそらく、小林はこのくだりを半分自虐的なギャグのつもりで書いたのだろう、と自分は思うのだが、それはともかく、この文章はとても有名で、この文章によって、モーツァルトの交響曲第40番もまた日本人のあいだでよく聴かれるようになった。
それから何十年かたった後のこと。
日本の某という若い女性ヴァイオリニスト(だったと思う)が、ヨーロッパの何かのコンクールでモーツァルトを弾いて賞をもらったとかで、そのときの新聞のインタビュー記事を読んだことがある。
新聞記者が、そのなかでこう尋ねていた。
「小林秀雄の『モオツァルト』はお読みになりましたか」
すると、その若い女性音楽家はこうコメントしていた。
「えらい人が何か言ってると思った」
読んでいて、自分は思わず大声で笑い出してしまった。実際にモーツァルトを弾いている音楽家の前では、高名な評論家も形無しで、このように、自分は調子はずれな世迷い言をいって笑われる愚を、なるたけおかしたくないのである。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、1756年1月27日、神聖ローマ帝国(現在のオーストリア)のザルツブルグで生まれた。
父親は宮廷音楽家で、ヴォルフガングは7人きょうだいの末っ子だった。
音楽家の父親によって、その才能を見いだされたモーツァルトは、幼いころから音楽の英才教育を受け、父親といっしょにヨーロッパ各地を演奏旅行してまわった。
6歳のときには、宮殿で帝国の女王、マリア・テレジアの前で演奏した。演奏後、宮殿内でころんだ彼のところへ、やさしく手を差し伸べてくれた7歳の皇女マリー・アントワネットに、感激したモーツァルトは結婚を申し込んだという。
モーツァルトは、王族や貴族、聖職者からの作曲の依頼や、演奏会、音楽の家庭教師、オペラの作曲、楽譜の出版などで生計を立てて生きた。
本人も天分に恵まれていることを認める、自他ともに許す音楽の天才だった。
彼はいちど聴いた曲を完全に覚えていて、後で楽譜に書きだせた。また、目隠ししてもピアノが演奏できた。
本人は作曲に関しては長い時間の研究と思考を捧げたともいっているが、一方で、作曲する際には、最初から全曲の全パートの譜面が頭のなかに浮かび、あとはそれを紙の上に書き写すだけでよかったともいわれる。
数々の室内楽曲、3大交響曲といわれる交響曲第39番、第40番、第41番のほか、オペラでは「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」、そして未完成の「レクイエム」などを書いた。
1791年12月、ウィーンで没。共同墓地に埋葬された。35歳だった。

若すぎる死については、ライバルの音楽家による毒殺説もあり、それを映画化したのが、ミロス・フォアマン監督の映画「アマデウス」である。この映画でモーツァルト役を演じた俳優トム・ハルスは、軽薄で快活、冗談好き、猥談好きなモーツァルトを再現しようとして、米国のテニス・プレイヤー、ジョン・マッケンローの試合中の落ち着きのない行動を、テレビ録画で繰り返し見てまねたという。

フランスの文豪バルザックは、モーツァルトを、
「至上の音楽家」
と呼んだ。

指揮者のフルト・ヴェングラーは、
「モーツァルトは水平に広がってゆく」
といった。
自分は、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」がとても好きだけれど、この曲の冒頭の部分を聴くと、フルトヴェングラーのいったことがよくわかる気がする。

日本人は、モーツァルトが大好きである。
それは、その音楽の完璧な感じもさることながら、誰もが認める「天才」ということで、安心して聴ける「安全商品」だからかもしれない。
とくに最近は、モーツァルトを聴くと頭がよくなるとか、頭のいい子に育つとかいう評判もあって、モーツァルトのCDを買いあさって、片っ端から子どもに聴かせている親というのも、すくなからずいるようだ。
自分も、小さいころ、モーツァルトを聴いていたら、もうすこし頭がよくなったかしら?
いや、いまからでも遅くない、かもしれない。今日は、たくさんもっているモーツァルトのCDを、片っ端から聴いてみよう。
(2013年1月27日)


著書
『ポエジー劇場 ねむりの町』

『ポエジー劇場 天使』

『ポエジー劇場 子犬のころ』

『ポエジー劇場 大きな雨』


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