1/16・いつの日かスーザン・ソンタグ | papirow(ぱぴろう)のブログ

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Something to remember today. 今日の日が流れて消え去ってしまう前に。

1月16日は、米国の作家、スーザン・ソンタグの誕生日。
自分は、なににせよ、長いタイトルにひかれる傾向があって、その昔、「二丁目の未亡人は、やせダンプといわれる凄い子連れママ」というテレビ番組(浅丘ルリ子さん主演)の予告を見たとき、
「ああ、なんと秀逸な番組名だろう」
と感心したものだった。
自分の大好きなレコードは「屈折した星屑の上昇と下降、そして火星から来たクモの群れ」という題名の、デヴィッド・ボウイの代表作だし、小説でも『失われた時を求めて』(プルースト)とか、『限りなく透明に近いブルー』(村上龍)とか、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(村上春樹)といった書名を見ると、つい、ふらふらとよろめいて買ってしまう。
だから、『源氏物語』よりも、『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』のほうが好きである。
スーザン・ソンタグの評論エッセイ『ラディカルな意志のスタイル』も大好きなタイトルのひとつで、とうぜん自分は、これまでに何度か読もうとしたことがある。でも、いつも、数ページ読んでは挫折する、ということを繰り返してきている。
自分にとってこの本は、登山家にとってのK2なのである。

スーザン・ソンタグは、1933年1月16日、米国ニューヨーク市生まれ。両親ともにユダヤ人。
彼女の父親は、毛皮の貿易商で、彼女が5歳のときに、中国で結核で没した。
未亡人となったスーザンの母親は、米国陸軍士官のネイサン・ソンタグと結婚した。ソンタグ士官は、連れ子であるスーザンを正式には養子にしなかったが、スーザンは義父の姓である「ソンタグ」の名を名乗るようになった。
17歳のとき、シカゴ大学で勉強していたスーザンは、同大学の社会学の講師と結婚。以後、8年間、結婚はつづいた。
30歳のとき、小説『保護者(The Benefactor)』で作家としてデビュー。
33歳のとき、評論エッセイ『反解釈』出版。
そして、『ラディカルな意志のスタイル(Styles of Radical Will)』がでたのは、36歳のときである。
ソンタグは、米国のリベラル派の知識人の代表として発言をつづけ、2004年、71歳のとき、骨髄性白血病により、ニューヨークで亡くなった。墓はフランス、パリのモンパルナスにある。

スーザン・ソンタグは晩年に自身をふり返って、生涯に9回恋をしたといったそうだ。
そのうち、5回の相手は女性で、4回は男性だったという。
15歳のとき、自身のレスビアンに目覚め、16歳のときに最初のレスビアン体験をしている。
その後、男性と結婚もしているし、また女性とも恋に落ちたりもした。
バイ・セクシュアルな人なのである。

ああ、バイ・セクシュアル。
妻子がありながら、男色の罪で投獄されたオスカー・ワイルド。
やはり妻子がありながら、ミック・ジャガーとベッドを共にし、バイ・セクシュアルだと公言したデヴィッド・ボウイ。
あるいは、織田信長や前田利家、宮本武蔵、代々の徳川将軍など、戦国時代、江戸時代の日本では、常識だったバイ・セクシュアル。
そしてスーザン・ソンタグ。
こうしてみてくると、やっぱりバイ・セクシュアルの人は、えらいのかな、と思う。
自分も若いころは外国へ行くと、けっこうその手の誘いを受けたものだが、なかなか踏み切れないものがあって、わが勇気のなさを痛感するばかりなのだけれど、観念的には、同性か異性の一方しか選ぶことのできないヘテロセクシュアルや、ホモセクシュアルの人よりも、やっぱりバイ・セクシュアルの人のほうが、間口が広いわけだし、心を全人類に対して開いているので、えらい、と思っている。
この辺の考え方は、性差別について意識の低い、一般の日本人には理解しづらいかもしれない。

また、ソンタグというと、ユダヤ人の血統について、考えさせられる。
エリカ・ジョングといい、グロリア・スタイネムといい、このソンタグといい、フェミニズム、ウーマンリヴの論客には、どうしてユダヤ人系の女性が多いのか。
これは、これから自分が考えてみたい課題のひとつである。
たしか、イスラエルの国籍をもつための条件のひとつに「ユダヤ人の母親から生まれたこと」という項目があって(父親がユダヤ人でも、母親がちがえば、ユダヤ人ではない)、これとなんらかの関係があるかもしれないと、いまふと思ったのだけれど。

いずれにせよ、現段階ではまだまだ、スーザ・ソンタグは、自分にとってのK2。
いつの日か、きっと登りたい、はるかな高峰である。
(2013年1月16日)


著書
『ポエジー劇場 ねむりの町』

『ポエジー劇場 大きな雨』

『コミュニティー 世界の共同生活体』


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