12月15日は、フランスの建築業者エッフェルの誕生日(1832年)。フランスのパリにある、あのエッフェル塔を作ったエッフェル社の社長である。塔の実際の設計は、彼の会社の社員だったステファン・ソーヴェストルとモーリス・ケクランの二人が担ったらしい。
1889年のパリ万国博覧会にあわせて建てられたエッフェル塔は、高さが312メートルあり(アンテナを入れるとさらに高い)、米ニューヨークのクライスラービルにぬかれるまで、約40年間にわたって世界でもっとも高い建造物だった。
短編小説の名手モーパッサンは、エッフェル塔内にあるレストランからのながめがお気に入りで、
「ここからなら、エッフェル塔が見えないから」
といったらしいが、自分はエッフェル塔の形が大好きである。
エッフェル塔の姿には、フランスらしい、ある強い美意識が感じられる。
ポイントは、単純にたてに棒状になっていず、塔の足元が四つに割れている点だろう。
エッフェル塔は4本に別れた脚で支えられていて、塔の真下は、だだっぴろい広場になっている。
だから、塔にのぼるためには、4本の脚の部分にあるいずれかのエレベーターに乗って、斜めにのぼっていくことになる。
自分も一度のぼったことがあるけれど、あの斜めにのぼるエレベーターの感じは、おかしみのようなものが混じった、なんともいえない不思議な気分だった。
もちろん、東京タワーのように、真下からまっすぐ上へのぼる恰好のほうが、構造上安定するし、技術的にもかんたんなのだろうけれど、それをあえて、技術により困難なものにし、それに挑んだところがにくい。
アーチを作っているあの4本の脚が、ちょうど短足な感じでユーモラスで、そこがまたよいのである。
万博に間に合わせるため、尋常でない急ピッチの工事日程を要求されたにもかかわらず、エッフェル塔はひとりの死者もださずに完成されたという。
パリの退役軍人の父親と、石炭関係の会社をもっていた母親のあいだに生まれたエッフェルは、エッフェル塔のほかにも、ポルトガルのドウロ川にかかるマリア・ピア橋や、ハンガリーのブダペストの駅舎など、美しく、モダンなデザインの建造物を残している。
ニューヨークに送られた自由の女神像の設計にもかかわったらしい。
エッフェルは1923年、パリの自宅で亡くなっている。
ベートーヴェンの交響曲第五番「運命」を聴きながら息を引きとったそうだ。
享年91歳。鉄の時代の到来を告げる、モダニズムの寵児、そんな印象がある。
(2012年12月15日)
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