ぱぴさんの本棚 パセリとともに -3ページ目

新聞配達少年

むかしむかし、わたしが小学6年生になりたてのころ友達が新聞配達をやっておりました。
あの頃は小学生でも働いていた時代です。夕方、暇なわたしは彼についてまわっておりました。
結構面白いのです。
そこで何も考えないわたしは「配達やりたいです」と販売店に就活しました。
「親御さん承諾してる?」
「はい!」
 もちろんウソです。あの頃はそんなもんだったのでしょう。
そうして私はY新聞の配達をはじめたのです。
夕刊120部くらいでした。一日50円位だったと思います。
Y新聞のマークの入った襷を斜め掛けにして新聞を持ちます。
ビリヤード屋では、お姉さんからお菓子をもらったり大人の世界にちょっぴり入った気分です。
そして、とうとうその日がやってきたのです。
母親とバッタリ出会ったのです。
はげしく追求されたのは言うまでもありません。
「何を買うつもりだったの!!」
わたしはとっさに買いたい物リストに全く入っていなかった物を口にしました。
「ケンビキョウ・・」
母はあっさり許してくれました。

しかし夏休みの誘惑には勝てずに短い新聞配達少年の生活は終わりました。
そして思わず口にしてしまった「顕微鏡」が手元に残ったのです。

これはザンゲするほどの事ではありません。