妻ママチュウが揺れている。
心ではなく文字通り身体が、ふりふりふりと。
ソファで、バランスボールで、歩いていても、ゆらゆらゆら。
「こうやってチビチュウを下に降ろしてるのよ~」
アロハ~とか言いかねない揺れっぷりだ。
なかなか陣痛がこない。
おしるしと思われた血も止まってしまったらしい。
「ほんとに産まれるのかなあ……」
ママチュウがしょんぼりとおなかを見る。
「まあまあ、そう焦らずに……ん!?」
はっと、僕は気づいた。
その半でべそ(仮)が、本人と同じようにうつむいている。
もとい、へそがなんだか下向きになっているのだ。
かつてママチュウ博士が提唱した説、
「へその位置で胎児の場所が分かる」という伏線がここで回収される。
チビチュウは、降りてきている!
「そういえば胎動の種類もなんか変わった気がする」
前までの活発さはなく、下の方でうにょうにょしている、という。
こうなれば僕も信じるしかない。
共に揺れるのみだ。
アロハ・オエ。