パパスケの妊婦ママチュウ観察記

パパスケの妊婦ママチュウ観察記

2年間の不妊治療を経て妻が妊娠。
出産予定日2020年春。夫による記録です。

Amebaでブログを始めよう!

妻ママチュウ、いざ出産へ。

 

たまたまだけど直前に麻酔を追加していて、痛みは全くない。

 

逆にいきむタイミングもよく分からず、ママチュウはやや焦った。

 

だけど、大丈夫。

 

助産師さんも合図してくれるし、それに、ずっと呼吸法の練習をしてきたのだ。

 

時にはパパスケを巻き込み、毎晩毎晩。この時のために。

 

「そうそう、うまいうまい!」いつの間にか先生たちが増えていた。

 

途中で会陰切開もされたけど、気にせず無我夢中だった。

 

もう少しで、チビチュウに会える。

 

これまで爆裂お昼寝とお菓子ドカ食いで蓄えた力を、今こそ使い果たすのだ!

 

助産師さんの合図で最後のひと踏ん張りをする。

 

すると、ずるんという感覚があって……

 

 

 

一方その頃、自宅にて無駄にうろうろするパパスケ。

 

赤ちゃんも妻も頑張っているというのに、僕は何もできないのか……。

 

無駄に部屋の片付けとかをしてみるが、捗らない。

 

とにかく、今は願うしかない。

 

そして無事に産まれてきたら、人生を賭けて、大切にしていこう。

 

それが自分にできることに違いない。

 

 

 

と、スマホが鳴る。ママチュウからのビデオ通話だ!

 

出ると画面には、ぐったりとしたママチュウが分娩台にいた。

 

そして隣には世にも可愛いチビチュウの姿……が、ない。

 

!?

 

無事だけど、酸素濃度が安定しないためいったん新生児室だという。

 

それは、つまり……

 

「だから、産まれたんだよ」

 

ママチュウの顔は、疲れてたけど、充実感に満ちていた。

 

チビチュウが、誕生した。 

 

「ねえねえ、私いきむのうまいって褒められたんだよ」

 

得意げなママチュウに、放心状態だった僕も思わず笑ってしまった。

 

 

 

……さて、その翌日。

 

僕は成育医療センターへやって来た。

 

なんと、新生児入院手続きがてら、少しだけ赤ちゃんに会えるという。

 

無事元気になってすやすや眠るチビチュウは、可愛くて可愛くて。

 

でれでれと抱っこしていると、ママチュウが興味深いことを言った。

 

 「チビチュウに見つめられるとね、ああこの感覚、私知ってるって気がするんだ」

 

 

 

それは、おなかにいた時からずっと感じていた愛着だろうか。

 

あるいは血とか遺伝子とか、何かそういう運命みたいな仕組みか。

 

穏やかな笑顔でママチュウは、我が子のまなざしを受け止めている。

 

妊娠してからこれまで、ずっとその姿を追ってきた観察記。

 

今確かに、ママチュウは母親になったんだな、と僕は実感した。

 

 

 

「おなかすいた~。パパスケ、ちょっと売店でお菓子買ってきてくれない」

 

ママチュウが、ふいにいつものママチュウに戻った。

 

「仕方ない。今日は特別にドーナツだ」

 

「やったー。じゃあ5個くらい買ってきて」

 

「そんなに?」

 

あはは、と楽しげなママチュウ。困惑顔のパパスケ。

 

その間には、不思議そうにママパパを見つめるチビチュウ。

 

 

 

 

※これでこのブログは終わりです。

 

お付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました!

 

 

入院した翌朝7時、分娩誘発がスタート。

 

子宮口は5cm開いたため、ラミナリアやバルーンはなく、オキシトシンだけ。

 

10時、陣痛も5分間隔になり、ついに無痛分娩の麻酔を入れる。

 

「痛みなくなった!すごい!」

 

医療の神々に感謝するママチュウ。

 

謝謝。

 

 

 

午後、順調に進みそうなので、自宅待機する僕も一息つく。

 

ペペロンチーノをここぞとばかりにメガ盛りで食べようとするが、

 

ママチュウからLINEがきて、風向きは変わった。

 

「子宮口がこれ以上なかなか開かないんだって……」

 

僕は大盛に変更した。

 

 

 

子宮口は7cmまで開大したが、そこから変わらず。陣痛も微弱らしい。

 

15時、人口破膜で破水させ陣痛を促すが、やはり駄目。

 

17時、ついにママチュウ、水を禁じられる。

 

帝王切開になるかもしれない、といわれたのだ。

 

すでに3700gくらいかと推定されるビッグベビーだ。

 

チビチュウは大きくなりすぎて、ママの骨盤を通れずにいるようだ、という……。

 

 
 
ビデオ通話をすると、ママチュウはまたしくしく泣いていた。
 
「どうしよう。私が食べすぎたからだ。チビチュウごめん……」
 
あの日のプリンが、アイスが、ケーキが……止めずに甘やかしていた僕も悪い。
 
だけどチビチュウは、苦しいだろうに、ずっと心拍数は落ちていないという。
 
本当に強い子だ。
 
大きな頭で、今必死に骨盤を通ろうと頑張っているのだろうか。
 
「とにかくチビチュウが無事で産まれてほしい。もうお腹切ってもらいたい!」
 
ママチュウの泣き声に、止める言葉など僕は持たない。
 
誰にどう祈ればいいのか分からないけど、きっとママチュウの想いは届くはずだ。
 
そんな感じのちょっといいことを言ってやろうとしたその時、
 
突然、ママチュウが電話を切る。
 
え……?
 
 
 
どうして切られたのだろう。困惑しながら待ち続ける。
 
何かまずいことを言ってしまったか(どれだ)?
 
恋人時代でもこんなピュアに連絡を待ち焦がれたことがあっただろうか(否ない)。
 
やきもきし続けていると、ようやくLINEが返ってくる。
 
それは、思ってもみなかったメッセージだった。
 
「すごい!突然子宮口全開になったって!」
 
チビチュウが下に降りてくる感覚があり、診てもらったのだという。
 
これで、自然分娩に計画を戻し、いよいよいきむことに。
 
チビチュウ、頑張ってくれたのだ。
 

「次は私が頑張る番だ!」

 
スマホ越しに、ママチュウの荒い鼻息が吹いてきた気がした。
 
 
 

それはいつも何故か夜深くにやってくる。

 

深夜、10分ほどの間隔で陣痛がくるたび、ううと目覚める妻ママチュウ。

 

僕も徹夜の構えで、ひたすらに妻の腰をぐっぐっと押し続ける。

 

長い長い夜だ……。
 
 
 
深夜2時、陣痛が10分間隔を切る頃にはママチュウも相当弱っていた。
 
ついに成育医療センターに電話。
 
なんとか入院まで認めてもらいたい……。
 
だが何故かママチュウ、電話ではさもまだいけるかのような雰囲気を醸し出す。
 
助産師さん「では一時間くらい様子見て、また進んだら電話でも大丈夫ですか?」
 
ママチュウ「はーい。大丈夫です(お上品な声)」
 
いや、全然大丈夫じゃなさそうじゃないか(困惑)。
 
 
 
電話後もママチュウ、うんうんと痛みに耐えながら、
 
やがて寒気や下痢、おりものに鮮血まで出始める。
 
ひやひやの一時間経過。
 
それでもママチュウ、動かざること山の如し。
 
この謎の強さは一体……。
 
前世は忍?
 
隣でやきもきしながら、ついに朝日が昇った。
 
 
 
そして朝6時。
 
まだ陣痛間隔は不規則だけど、やっと再び電話。
 
陣痛タクシーで病院に向かうと、
 
子宮口は4cmくらい開いていたようで、このまま入院となった。
 
僕は立ち合い禁止のため追ん出されるが、さあいよいよ。
 
分娩の前後には、自宅にてテレビ電話などで参戦するつもりだ。
 
十月十日を共に駆け抜け、まさかこのフィナーレは想像していなかったけど、
 
願いは何ら変わることはない。