ミニストップが“おいしい”7つの理由 / 島内晴美 | もはや健康ではない~ネガティブIBS日記~

もはや健康ではない~ネガティブIBS日記~

2015年2月、カプセル内視鏡の検査の結果IBSと診断。
ただ10kg近い体重減少、口内炎、痔ろう、倦怠感もあるため、クローン病の誤診の可能性高し。日々の生活と、炎症性腸疾患にまつわる話をつづります。

 

 

 

以前BOOK OFFで見かけた時に装丁の淡い色合いが奇麗だなーと思ったのですが、マイナーコンボニのミニストップの本読んでもな~とスルー。
(その時点ではミニストップは買収されて存在しないとすら思ってた)
その後やっぱり買っておけば良かったと後悔し、別の店で発見できたこともあって購入。
そして現在の読破に至ります。



まず私が抱くミニストップのイメージとしてはソフトクリーム。
これしかありません(笑)
株主優待で食べるソフトクリームが美味しいとみきまるさんと、www9945さんの著書「株主優待だけで優雅な生活」に書いてあったこともあり、そのイメージが強いんですよね。

 

 

 

 

というのも私が住む県にミニストップは1店も無し。
(以前はありましたが、訪れたことはありません)
それゆえ、店のイメージが想像できないのです。
強いて言えばパステルカラー感のあるファミマみたいな印象でしょうか。
なんというかふわっとしたコンビニのイメージなんですよね。



本書を読んだことで受けた印象では、ミニストップは日本式の風土のあるコンビニ。
東日本大震災1年後に刊行されただけあって、震災絡みのエピソードが多く、店としてのシステム的な強みよりも、いかに義理人情に篤いコンビニであるかが解説されていました。
素直に受け止めればそれも良さですけど、個人的にはどうしてもビジネスに徹しられない結果黄塵を拝しているように映りました。
もっともこれは災害時の対応で経営者側の負担を考えない被災者などの意見に否定的な見解を持っているかもしれません。



FC店経営者達のインタビューで見えてくるのは、経営者達がガチガチにルールで縛られた経営をしたいのではなく、自分達で店を作りあげたいという意識。

 

P105 ミニストップを選んだ理由は「業界トップではなかったこと」と、「イオングループのコンビニだったこと」、そして「イートインコーナーがあること」だった。
業界トップの“がむしゃらさ”は性に合わないが、バックにしっかした会社が付いていることはありがたい。そしてオリジナリティで勝負できるのがうれしいというところだろうか。

 

 


この気持ちはよく分かります。
そもそも経営者になりたい人はお金をもらえれば良いのではなく、自分の力を試して、面白いことをしてみたい人が多い。
それを考えた場合に、一番手企業は面白味に欠ける。
かといってバックが貧弱なチェーンだと資本力で勝負がついてしまう。
資本力で差がつかなくとも、似たり寄ったりの商品しか扱えないと経営の面白味がないということで、業界三番手四番手の企業で大手に挑める立ち位置かつ独自のシステムのある(コンボストア)ミニストップが選ばれるというわけですね。
日本らしいコンビニを謳っているあたりからも、手作り感のあるコンビニ志向のオーナーが経営していることが伺えます。



とりわけミニストップはおにぎり、スイーツ、コーヒーに力を入れているとのこと。
その場で作るが活きる商品群であり、パンに特化したデイリーヤマザキとも差別化しているのが面白いですね。
スイーツと言えばファミマですが、その場の手作りをしているのはミニストップだけなので、売りにするのも理解できます。



ただ、こうした考えを過剰評価しすぎているきらいも。
 

P155 コーヒーもスイーツもおにぎりも、どんどん他のチェーンに真似してほしい。コーヒー戦争が起きてほしいんです。最後はミニストップが勝ちますから(笑)

 

 

この考えは甘すぎると指摘せざるをえません。
後発企業は先発企業の商品を研究して参入してくるわけですから、自分達より不味い商品を引っ提げて乗りこんでくるはずがないんですよね。
まぁ食品というのは消費者の数だけ正解があると言っても差し支えないのですけど、大手は最大公約数的な美味しさを作りだすのが上手いわけです。
それを侮っていたがゆえに、業界の中でもセブンのコーヒーは美味しい、スイーツならファミマという状況を許してしまいました。

 

 

P159 イートインコーナーは武器になります。ようやくミニストップの財産が生かせる時代が来ました。


(生かせるの字が違う気がしますが、本文の通り引用してます)


残念ながら、ミニストップの時代はきませんでした。
現在ではセブンにもイートインを併設した店舗が作られ、ローソンも店内調理を実施しています。
ミニストップの強みであったはずの部分は概ね大手に浸食を許してしまったのです。
決して参入障壁が高かったわけではないのでしょう。
考えるに、この当時は大手三社に相手にされていなかっただけなのでしょうね。
出店限界を迎えたことで、さらなる利益率の向上に目を向けられた結果、あっさりミニストップの強みは奪われた。
そう考えるのが自然です。



本書を読んで、ミニストップってまだ上場してるのかな?と調べてみました。
こうした日本的な経営感覚に、イオングループの物流網を活かせば、ひょっとしたら成長を続けているかも?
それなら投資先として十分見当の余地はある。
が、結果はあまりにも無情な経営赤字。
本書で語られていた連続増配も2015年を最後に途絶え、税引き後利益では今や見る影もありません。
株価自体は上昇していますが、それはアベノミクスの恩恵ゆえ。
イオングループ物流網の強みはまるで活きていないようです。



最後に。

 

 

P167 一般消費者の目にも熾烈な争いをしているのが見て取れるコンビニ業界の中で、ソフトクリーム一本で勝負しているように見えるミニストップは大丈夫なのか。
大きなお世話の取材はほとんど社会科見学である。

 

 


このように著者もあとがきで書いているように、非常に緩い内容、文体の1冊です。
企業研究本としては分析が甘く、そのあたりはネットで批判的に評価されてるみたいです。
定価(1400円)を想定すると無理からぬことですね。
まぁミニストップの銘柄に注目するきっかけにはなりましたから、その点では役に立ったと言えるでしょう。

 

 

 

どくしゃになってね…