楽天流  | もはや健康ではない~ネガティブIBS日記~

もはや健康ではない~ネガティブIBS日記~

2015年2月、カプセル内視鏡の検査の結果IBSと診断。
ただ10kg近い体重減少、口内炎、痔ろう、倦怠感もあるため、クローン病の誤診の可能性高し。日々の生活と、炎症性腸疾患にまつわる話をつづります。

 

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以前にも少し読んだのですが、その時は飽きてしまい挫折。
今回も途中で間が空いたものの、なんとか最後まで読み切りました。
投資先として楽天を考えていたというのが1回目と2回目の違いに繋がった気がしますね。



さて、本書は2014年に刊行された書籍で、楽天の勢いがあった時に描かれたものになります。
仮に私が読んだのがその当時であれば、素晴らしい考え方をする企業だと手放しに称賛していたでしょう。
しかし、現在は2018年。
楽天の国内EC事業は成長限界を迎えているとされ、楽天トラベルを国内流通量に含めたり、ポイントの販管費が大きくて純利益が削られたりと楽天を取り巻く環境は厳しいの一言。
携帯事業参入も無謀とされ、何か新しい発表がある度に逆に株価が下がり続けるという。
楽天にとっては冬の時代という他ありません。



その原因はどこにあるのかと言われたら、本書に描かれる行動指針そのものにある。
私にはそう思えてしまうのです。
例えば楽天市場。
この当時は現実の商店街のような雑多な作りが客を惹きつけているという自信満々に語られていますが、今となってはユーザビリティの悪いサイトでしかありません。
検索性は悪く、送料があったりなかったりで、物を探す時にイライラさせられる。
人と人との繋がり以前に、利用者を怒らせてしまう。
ポイント還元率が高いから利用するけど、使い勝手自体は決して良くない。
それが現在の楽天市場です。



あるいは、事業のスピード。
確かに楽天は新しい事業に飛び出していくのが早いです。
けれども、新規参入した後が続かない。
参入したは良いものの、市場トップシェアが取れないと改良が途絶え、ほとんど放置状態になってしまうサービスが多数あります。
もちろん駄目な事業は撤退するしかないのですが、参入後に改良を重ねることでシェアトップを目指そうという意欲を感じないのです。
それゆえ流行りの事業に参入して漁夫の利を狙うようなせこい企業という印象を抱かせます。



すなわち当時は強みであったはずのものが全て現在は弱みに変わってしまっているんですよね。
私は電子書籍にせよ、フリマアプリにせよ、家計簿サービスにせよ、一つ一つの事業を細かく見ていけば改良を重ねることで既存の他企業に勝てる部分は多いと踏んでいるのですが、そもそもの行動指針として現在の悪い部分が形作られているのならその望みは極めて薄いという他ありません。
強みと弱みの逆転。
それを踏まえた上で、楽天流を変えられるか。
これがここから先楽天が成長できるかの今後の課題でしょう。



ちなみに楽天の考え方が全て間違っているというわけではありません。
例えば、上述したスピードについては―
 

P147 僕は、すべての失敗を事前につぶしておいてから事を進めるより、とにかく素早く物事を進め、失敗したらそのつど修正していく方法のほうがいいと思ってる。

 

 

これはベンチャーらしい考え方であるし、これができるからこそベンチャーは強いわけです。
楽天の規模でそれをやれるというのは凄いこと。
でも、攻めの姿勢だけで守りが足りない。
楽天を分析するととにかく攻めようとするものの、守りがおざなりな結果、他企業にそこをつかれて徐々に弱体化している。
そのような評価になるんですよね。
三木谷氏の発想、行動力は良いと思うのですが、それを受けて始めた事業を軌道に乗せるような取り巻きがいないことが楽天の問題。
私はそう感じています。



しかしながら、日本企業で外国の成長企業のような考え方のできる三木谷氏は数少ない人材の一人。
是非とも守りを覚えて楽天の経営をもう一段高めてもらいたい。
今後の動向を見守ろうと思います。

 

 

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