Q

今昔物語【僧正、其の助泥を召して、「然然の料に破子三十荷なむいるべきを、人々に云ひて催せ。」と宣ひければ、】

のべしの意味を自分は推量だとおもったのですが、解答は当然となっていました。べしの識別方法を教えてください。

 

A

この文に限って言えば、推量でなく当然と判断すべきです
それは疑問の余地がありません
全体は、僧正が人々に要請(命令)する文意です
要請(命令)の根拠が「然然の料に破子三十荷なむいるべき」という判断です
この要請(命令)は、人々に経済的な負担を要求するものです
その要請(命令)の根拠が推量(必要となるだろう)では、弱くて、人々を納得させる根拠にはなりません
要請(命令)の根拠となる判断は、当然(必要となるはずだ)でなくてはなりません
「べし」の意味の識別は、方法ではなく、文意文脈の判断です
文意を理解すれば良いだけのことです
別の言い方をすれば、「べし」の意味の識別は、助動詞の意味の識別というような文法理解を問うというよりは、むしろ文意文脈の理解力、古文の読解力を問う設問なのです
私は文全体を読んでいませんが、それでもあなたの文の引用が、範囲も十分でしかも正確ですから、以上のように判断できます

 

本文を読みましたが、人々に要請(命令)したのは経済的ではなく労働負担であったのですね
しかし、いずれにせよ負担を要求する点は同じですから、回答主旨に変更はありません
以下はご質問には直接関係ありません、私の気付きのメモです
この話は、助泥の言い訳が、狂言「柑子」「栗焼」の太郎冠者の言い訳によく似ています
狂言を考える上で参考になりました