すれ違いの家族? | ぞうの みみこのブログ

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実は私にはルームメイトが4人いる。

今、アパートに住んでるのは私と、昔クラスメイトとして出会ったアメリカ人サンドラ、メッセンジャーでスパニッシュ系のアメリカ人ラウル、南米の国、グアテマラ出身で、バイオリニストのセルヒオ、フィリピン出身で現在英語学校にかよってるシェリーちゃん。

セルヒオは母国でクラッシック音楽を勉強し、以前こちらの音大のひとつ、マンハッタン音楽院(Manhattan school of music)でも研鑽をつみ、現在はタンゴのバイオリニスト。音楽全般、ピアソラのこととかも詳しい。そのうちインタビューする予定。

それぞれ個室はあるけど、キッチンとバスルーム(トイレとシャワーが一体になっている)は共同。この世帯数だとバスルームが二部屋でも珍しくないけど、一つだけ。その分家賃は安くて、それがこのアパートのメリットの一つかな。

5人所帯なのに、それぞれの生活時間帯が違う為か、それぞれがいい大人だからか、バスルームに行列ができる事もなく、キッチンが混雑する事も無く、平和にやっている。

本物の家族では無いけど、一種の拡大家族なんだろうか。とくにサンドラとはもともと大学のクラスメイトで、いろいろあって彼女が地元、西海岸に帰ってしまって、さらにロサンゼルスにひっこして音楽活動をしていても、なんだかんだ連絡し合っていた。

去年の秋に一大決心をしてふたたびニューヨークにもどってきて、アパートと職探しをしていたのだけど、すごいタイミングの良さで私んちのアパートに空きが出て、彼女がこのアパートに住む事になった。

その当初は、それまで遠距離友情(?)でメールや電話で近況報告する間柄から、ルームメイトになったわけで、これからは、家族のように、しょっちゅう一緒にハングアウト(遊んだり)できるかな、と期待していたのだけど、現実にはそうはいかないもんだ。

先週、部屋で作業してると、とんとんとドアをノックする音が聞こえ、開けるとサンドラが立っていた。

”わたしら、ここんとこずっと一緒にハングアウトしてないよね。”

”そうよね。ふたりとも仕事のスケジュールがちがうしね。”

”来週、火曜日の夜とかどう? 映画とか、カフェでお茶するのも良いし。”

ということで、今週の火曜日は仕事帰りにウェストサイドのファッションモール、センチュリー21で待ち合わせてその近辺にある映画館にでも行こうかと言う事に。

センチュリー21で落ち合って、近くの映画館で何やってるかチェックしたけど、サンドラが見たいような映画はやってなかった。コメディー系で、明るく楽しいのが見たいと言ってたけど。料金にも不満気味。ロサンゼルスでは映画はだいたい9~10ドルくらい。だけどこっちでは16~18ドルくらい。

彼女とは今のアパートで大手のケーブル回線のインターネットをシェアしてるのだけど、インターネット料金も西側の方がずっと安いし、速いと言っていた。

”それじゃ、こっちは西とくらべて何でも高いの?”

と聞くと、意外にもファッション系はニューヨークでは安い店がたくさんあると言っていた。
結局、カフェラロでお茶する事に。

その道中、二人で歩いている時、ある男性とすれ違った。

その直後、サンドラが、
”あ、あの人、バリシニコフよ”

”え?誰? なんて言ったの?”

”バリシニコフ”

”え?バラキレフ?”
(君、何いってんのよ。バラキレフは”ロシア5人組”の作曲家で故人でしょ。)

”バリシニコフよ。すごく有名なダンサーで、俳優として、セックス&シティにも出てた。知らない? 一時期、キャリーの彼で、癖のあるアーティストの役の。”

”あー覚えてる。全然わかんなかった。”

こちらが私らがすれ違った、バリシニコフ様。

結局、カフェラロによっていろいろ話した。他のルームメイトに関しては、わたしと同じ事をサンドラも言っていた。あの人数で台所やシャワーでもめたりしないこととか。

<カフェラロ>

サンドラの部屋は広いので、暗くなりがち。もう一つランプを買うつもりだけど、どこがいいか、とか、家族の事とか、とりとめも無い話。

そういう話をするために予定をわざわざあけて外で会うなんて、と第三者は思うかもしれないけど、サンドラはこういうとりとめも無い話を意外と楽しんでいるようだった。口には出さないけど、ストレスが貯まっていたのかもしれない。

明るい、軽快な映画がみたい、という気持ちにもそれが出ていたのかも。

よく世間ですれ違い家族とか、すれ違いでカップルが別れるとか、聞いた事があるけど、こういう大都会で忙しくしてたらそれも起こりえるかも、と思った。こんな風に一緒にくらしてても、下手すると数ヶ月もまともに話したり、いっしょに遊んだりする事も無く日々がどんどん立って行く。

同じ家族だったり、ルームメイトだったりじゃ無く,単なる職場の同僚の方がずっと長時間身近ですごし、コミュニケーションももっと密にとったりしているかも。

なまじっか一緒に住んでると、いつでも会えるし、いつでも話せるし、と思ってしまうけど。実際には”おはよ”くらいしか言ってなかったりする。

こうやってお膳立てしてちょっとしたお出かけすることも”すれ違い”をさけるには大切な事かな、と思った。