なぜだかニューヨークのセントラルパークにある、
”不思議の国のアリス”の像
今はお外にハリケーンが来ていて外出できません。先週のことを書いておこうと思います。
先週27日、10月の最終土曜日はブッククラブの日でした。
課題図書は”不思議の国のアリス。”
先週ロサンジェルスからニューヨークに移住して来たサンドラも一緒に参加。わたしら女二人に、ホストのカサウンとミドルエイジのアメリカ人紳士、ロブが参加。
サンドラが言うには作者のルイス・キャロル(1832-1898)と同じく英国の作家ディケンズ(Charles Dickens1812-1870)もイギリスのいわゆるビクトリアン時代に同時代に活動していたとかで,
彼女の目から見ると、産業革命のさなかにあって、工場などで労働させられたChild labourのような問題とかをするどく書いているディケンズとくらべると、
不思議の国のアリスではまったくちがう階級の少女が描かれていて、(アッパークラスですな)すごく対照的に思ったそうな。
カサウンいわく、ルイスキャロル自身が数学者でオックスフォードで学んだようなバックグラウンドの持ち主だから、自然とアッパークラスの人々と接することが多かったらでは、という意見。
奇妙きてれつにみえる不思議の国のキャラクターはときにアリスによって批判的な目で見られたり、そうかと思うとそれらの奇妙きてれつなキャラクターたちが
アリスの言動の矛盾をつくような事を言って来たりして、その応酬が面白いと、わたしは発言。
ロブとカサウンが言うには、ルイスキャロルはアカデミックな当時の教育システムに批判的だったらしく、随所にそういう指摘が見られるとか。
なにか気に食わない事があるとすぐ”首を切れ”とかいって人を処刑することを命令するキャラクターのクイーン。でも言ってるだけ。本当に処刑される事は無い。
カサウンによるとこれは当時の女王ビクトリアの時代から、正確には彼女を継いだエドワード7世の時代からイギリスでは”国王は君臨しても統治せず”の立憲君主制にかわっていったので、それを示唆しているのではないか,というコメント。
そういう風刺や批判が随所に見られるにしても,直接に語っている訳でない。メインテーマでもない。
つぎつぎと切り替わるシーンの変化にみられるような躍動感あふれる描写や、エキセントリックなキャラクター達のナンセンスな問答や筋の展開には、当時子供の本といえば、道徳的でお説教臭いのが主流だった時代に置いて、
とても革命的で魅力のある本であったに違いない。現代でもそうだろう。
だからわたしも子供の頃読んで惹かれたのだ。
大筋はこうだけど、今回のブッククラブはわたしとサンドラにとっては冴えないものになってしまった。
ロブに関してはたいがいいつでもそうなのだが、自分の意見を展開しだしたら長々と続く。
人が意見を言いたそうにしても見えてない。たとえばサンドラなどが意見を終了する前に、自分の意見を言い始める。
最後には話題は不思議の国のアリスからすっかり脱線して現在の政治の事にまで展開して、サンドラが意見をすると、それに食らいつくように容赦なくアグレッシブなトーンで質問したり自分の意見をぶつけてくる。
この日はモデレータであるべきカサウンまでヒートアップしたのか同じような調子になってしまった。あたらしいメンバーである美しい女性の存在で冷静なモデレーターが出来なくなったのか。
横にいるわたしには彼女の少しいらだった表情や、なんども腕時計をみるしぐさで、かならずしもそういう攻撃的ディベートを楽しんでいないのがよくわかるのだが、二人のボーイたちはまったくわかって無いようだった。
男ふたりですっかり盛り上がっている。
行く所があるので先に帰る、というと、カサウンは無邪気な輝くような笑顔で
”君のダイナミックな意見をきくのはとても楽しかったよ,また是非来て。”
なんてとんちんかんな事をいっている。
結局先に私とサンドラがブッククラブを後にしたのだが,帰路でこういった。
”ごめんなさいね、いつもはあんなじゃないんだけど。不愉快に思ったでしょう.”
”そーね、みんな自分の意見をいうことも必要だけど、人の意見もきかなくちゃね。
でも、どう思った? 二人の男性があんな感じだったから、わたしもすこし攻撃的にいろんなことをストレートに言ったけど、やはり女性としてもっと控えめにふるまうべきだったかしら。”
”うーんーーー状況にもよるわよねー。今日のあの二人の相手をするには攻撃的なくらいでよかったかもしれない。。。”
彼女に申し訳なくて仕方なかった。
”また来たいと思う?”というとサンドラは、
”読書は好きだし、あなたとハングアウトするためになら来たいけど”
やさしい女性だからストレートに言わないけど、二人の紳士の態度にはすこしがっかりしたようだ。
それともこういう印象は性差から来るのだろうか。
YOUチューブでフルサイズのディズニーの”不思議の国のアリス”を見つけました。
気を取り直して楽しもう。