雲がマンハッタンとブルックリンの空の上を低く漂っています。今にも落ちてきそうな雲達。はたして雲の位置と季節は関係があるのでしょうか?
今日は自分の中で、季節の移り変わりを感じました。どこか優しげな空の色、
何もかもが少しずつ違う。少し乾燥した空気。
午後9時には、どっぷり夜更けがやって来た。夕方でもなく、昼の名残デモ無い、まさしく夜。街路樹の影にあのなつかしい、甘い闇を一瞬見た時、確信しました。
わたしにとっての普通の季節が静かに、ゆっくりと訪れようとしている事に喜びを感じます。
夏は私に取って異形の季節。すべてが過酷で、むき出しで、残酷で、そんな季節には生物としてただ生きて行く事だけが精一杯。
ただただ生きて行く事、体を機能させて行く事に集中しないと、すこしでも油断しようものならまた熱中症で倒れるかもしれない、
と大げさな表現ですが、自分の中に爆弾を抱えたような気持ちで
食生活にも細心の注意を払って、外では日の光に焼かれつつ、夜は熟睡できず、
なにくそ負けるものかと緊張して数カ月生きて行くうちに、それがストレスとなり、夏の終わりには身も心も、夏バテでぼろぼろ。
カミュの書いた偉大な小説、”異邦人”の中で、どうして殺人を犯したかと聞かれた主人公が答えるに ”すべては夏の太陽のせい”
激しく同意する私でございます。まさか私が殺生をすることは、いちおうナンチャってブッディストなんであり得ませんが、
夏は、特に夏の太陽は(あたしのような)人間を狂気に駆り立てる要素がある。
本当に秋が訪れる頃にはいつもそれらの緊張の糸がプツリと切れたかのように、一瞬軽い放心状態になったりします。
生かされている事に恍惚感を感じたりして。
もう少しの辛抱で、普通の季節がやってくる、と言い聞かせて、今日も家路を急ぎました。なんとしても生き延びなければ。
木陰に広がる、あの夜の闇が何と懐かしく、香しかった事か。
秋はもうすぐ。
というわけで、夏には楽しい思い出はちっともございません。
常夏の島、なんて言葉も、私には”獄門島”でしかないのです。
ニューヨークは暑すぎる。日本もそうだけど。しかも年々夏が長く、ひどくなって来ている。
夏のそんなにひどくない所に移住しようかしら、なんて半分以上本気で考えたりしています。
移住ならヨーロッパですね、イギリスが良いです。きまりですな。
あ、突然ですが、日本の選手団の皆様、お疲れさまでした。本当によく戦われました。
言葉にするのも僭越なのですが、
I am proud of you.