土曜日の夕方、ブッククラブに行ってきました。
場所は前回と同じ、コロンビア大学のご近所にあるHUNGARIAN PASTRY CAFEです。
私と、ホストのカサウン、二人の前回からの殿方、新しいメンバーの男性一人と女性一人。
今回の課題図書はチヌア・アチェベ氏の崩れゆく絆(Things falls apart)
19世紀半ばぐらいのナイジェリアが舞台となっていて、笛が上手で口が達者、
でもぐーたらなお父さんには何一つ財産を残してもらえず、
そのようなお父さんを心から軽蔑して自分の人一倍のがんばりで一代で財産や名誉を築き上げたオコンクオが主人公。
でも平和な部族の村に英国からの宣教師が入って来て人々の心をつかむようになって生活も変わって行きます。
今回はこの小説の前半を語り合いました。主人公のおとうさんとの葛藤とか、彼の性格についておもにディスカッション。
部族の決まり事で、どんな事があってもけんかや暴力はしない、となっている一週間に、オコンクオはふとした妻の不注意に目くじら建てて彼女に暴力を振るった。
そのような行為は豊作や大地の恵みをもたらす神々への不敬の最たるものとして司祭に叱責されるオコンクオ。
人から弱いと思われる事を人一倍恐れるオコンクオは、
優しさやくいあらためた気持ちを表に出す事が出来ず、人々はそんな彼の事を、成功して思い上がっているとか、神への敬意が無いとか言う。
はたして彼はその通りなのか。
わたしは ”改悛の情をみせることで弱いと人に思われることを恐れているだけで、心の中では悔い改めていると思う。”と発言。
今日参加した初対面の女性、アレクシスからは ”悔いているかもしれないけど、人生の中で同じような失敗を繰り返していて、心からと言う訳ではない。”という発言が。
読みが深いなーと思いました。
このことに関連してカサウンからは、この本の中で、当時、妻を殴ったりする事はこのコミュニティーの中で認められていたと思うか、という質問が出ました。
ある男性メンバーは、”個人的には彼のやったことは行き過ぎと思うけど、
当時このコミュニティーでは現在の僕たちの常識的な考えでなく、もっとスピリテュアルな考えにもとづいて善悪を判断していて、
我々と違う感覚を持っている。”という意見も。
価値観が違うと倫理にたいする感覚も違ってくるのでしょう。
他にもあまりに対照的なお父さんの、彼の人格形成への影響など。いろいろと興味深い意見が出ました。
おとうさんが偉大であれ、グータラであれ、子供への(特に男の子への)影響は大きいのだな、と思いました。普遍的なテーマですね。