こちらでは、日本と違い、学校の進学とかが絡む場合、別れが夏にやってくる事が多い。
(こっちはほとんどの学校は8月の終わりから9月始めに始まります。)
今年もその一つがやってこようとしている。長年の良き友達で、もとルームメイトであったピーターとの別れ。
七月初めのエントリーにあった映画、"Beasts of the southern wild"を教えてくれて一緒に観に行ったのもピーターだし、
昔ルームメイトだった頃は二人とも映像美術が好きなんで、よくお互いの部屋で映画やオペラのDVDの鑑賞をしたもんだ。
でも、良きお友達ですよ。恋人とかじゃありまっせん。
クロサワやオズ(安次郎のほうです。魔法使いじゃないっすよ。)のこともよく評価していた。フェデリコ・フェリーニを教えてくれたのも彼だ。
ピーターは英語のネイティブで、フィルムとかのライティングをやっていた事もあり大学院の時のエッセイをよく手直しをしてもらった。
大学で映画製作を専攻して以来、細々と動画のシネマトグラファー(日本語で言う、映画の”撮影”係でしょうか。)
や劇場でのアルバイトをしながら映画作家を目指して来たけれど、昨年末頃、そのバイ
ト先で怪我をし、腰を痛めて、それが直接のきっかけで、
とうとう長年の夢をあきらめ、故郷の州のロースクールに入り、弁護士としての新たなキャリアを目指す事になった。
真面目で知的な彼だから、よい弁護士になれるだろう。
今月いっぱいでニューヨークを去る。
何度もあきらめかけながら、結局映画を捨てる事が出来なかったピーターも
とうとう決心したのだ。いろいろと考えて、最善の結果と思って出した決断だろうから何も言うまい。
今でも映画は好きだけど、夢を追いかけながら、時にはあまり敬意を払われないようなアルバイト的な仕事をして、生活を支えて行くのがつらかったようでもある。
将来家庭を持ったりする事を考えても、今キャリアチェンジする事が必要と思ったのだろう。
数年後にはニューヨークに戻って弁護士として働くつもりだ。
生まれたのはよその州でも、心のなかでは彼はもうニューヨーカーだから。この土地が本拠地。
流動性の高いこの国では、彼のようにある程度の年に達してからキャリアチェンジをする事も珍しくない。(30~40くらいとか、時にはもっと上でも)
でも寂しくなるな。幸多かれと願おう。
It is never too late to be what you might have been.
皮肉に響くかもしれないこの言葉。
-George Eliot
(1819-1880 イギリスの作家)