書籍紹介 禅と日本文化:日本を知るために | ぞうの みみこのブログ

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禅と日本文化 (岩波新書)/鈴木 大拙
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Zen and Japanese Culture (Mythos: the Princeton.../Daisetz Teitaro Suzuki
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ニューヨークの大学院で、英語を母国語としない人たちに
英語を教えるための勉強をしていたリンジーちゃん、
フルタイムの仕事が決まって、
四月から、なんと東京へ行く事になった。
東京のある中堅私大で、英語講師として
一年間の契約で勤務する事になったという。
おめでたい、おめでたい。

”アメリカ人は英語しか出来ない、ていう
ステレオタイプでみられるのがいや” で、その仕事が決定して以来
独学で日本語を学習している、真面目な人である。
多分、文化的なことにも関心があるだろうと思い、
参考図書の情報をメールした。
哲学や、シリアスな文学が好きなようなので、
気にいりそうだと思ったのだ。

著者の鈴木大拙氏は日本生まれの仏教学者。
禅についての著作を英語で執筆、出版し
1950年代には地元、コロンビア大で客員教授を務めている。
ジョン ケージに禅を教えたと聞く。

この国でヒッピー文化が華やかなりしころ、
禅も芸術家達の間でトレンドになった事があったらしい、彼も一役買ったのだろうか。
という訳で、1959年初版出版で、いささか
古いのだが、中世から近世までの禅の日本文化への影響を、多くの事例を
上げながらわかりやすく説明していて、(有名なところでは、
良寛さんとか、芭蕉とか。)その方面の入門書としては
最適だと思う。

有名な芭蕉の ”古池や、蛙飛び込む水の音”
の氏の解説では、これはよく言われる所の静寂を
強調した俳句にあらず、古池に象徴される
永遠、無限的なるものと自我とのダイナミックな邂逅であり、
きわめて動的で力強いイメージが浮かび上がってくる。
目から鱗だった。

実は以前、大学院で武満徹氏に関する短いペーパーを
書かねばならず、作風によく”禅の影響がみられる”などと
評される彼の文化的バックグラウンドを知るために
購入して読んだのがきっかけだったのだが、
結構おもしろかった。