昨日ご紹介した鈴木大拙氏の著書は、おそらく非日本人向けにわかりやすい禅と日本文化の紹介の本として、最初英語で出版されて、
のちに他の人によって日本語訳されて日本で出版された。
結果、日本人が読んでも面白い本で、いろいろ個人的に
発見や学ぶ所があった。逆輸入バージョンだ。
今日の”甘えの構造”
一般向けの”日本人論”としてはもう古典的な本かもしれない。
最初、日本人読者を想定して書かれたと思われる。
しかし、わたしの経験では、日本をもっと知りたい、という
非日本人の方にもお役に立てるのではないかと。
(ここでは、私自身が”外国人”であるからして、なんとなく”外国人”
という表現を躊躇してしまう。)
以前、日本で、知人の紹介で知り合った、ロンドン出身のレベッカちゃん。
当時25歳。私の出身県の教育委員会が募集した英語のアシスタントティーチャーとして
来日、公立の小中学校で、地元日本人英語教師とペアになって子供達を
指導していた。地域で行われている日本語教室でも、熱心に学んでいた。
でも、ときどき進度が速くてついて行くのに大変なときがあり、
気楽に言語レッスンを交換で教え合える、ランゲージイクスチェンジの
パートナーを探していた。それで知人の知人のつてで、知り合ったのがこの
私。長身で抜けるような白い肌、ブロンドの、モデルみたいな美人の
彼女に会ったときは緊張してしまったけど、とっても気さくで、
チャーミングな人であるとわかり、意気投合。
子供はかわいくて大好き。学校の同僚の先生達もいい人たち。
ただ、ときどき、文化の違いのせいか、
”なんでそんな風なリアクションするのかしら、”
とか ”なんでそんな考え方するの?”
日常のちょっとしたシーンで、周りの日本人のメンタルな部分が
よくわからなくて、混乱する事が多々あった。
そこで、英訳された”甘えの構造”を貸してあげた。
自分の日頃の疑問が解けた、日本人の考え方、感じ方が
すごくよくわかった、と感謝された。
のちに、彼女は行きつけの美容室の美容師さん(日本人男性)に恋して
がぜん日本語学習に熱がはいった。なんと、彼女だけでなく、
彼女の知り合いの他の白人女性も彼を狙っている、と言った。
よっぽどイケメンで、英語も出来て、背も高い男性なのだろう、
(レベッカちゃんは175cmくらいはあったと思う。)
と思いきや、彼女曰く”私より背は低いわよ。それから、わたしの日本語の方が、
彼の英語より上手なくらいよ。特に、ハンサムという方でもないわ。”
”へー、彼の何処に惹かれたの?”
と聞くと、まず、ユーモアのセンスだと言う。
それから、彼女の事を、一人の人間として扱ってくれたのがとてもうれしかった、
とか。先ほど書いたように、彼女はすごい美人、そのうえ白人で長身。
多分周りの日本人紳士達は遠巻きに見るだけで、引いていたのであろう。
それを、彼女は”何かの理由で、わたしを怖がって、距離を置き、
一人間として扱ってくれない”と感じ、寂しさや一種の憤りを
感じていた。
その美容師さんはそこが大きく違ったのだとか。
彼の存在のせいで、契約を延長して、日本にもっといたい、
とまで言っていた。
あれから、私は渡米の準備やらでばたばたし、レベッカちゃんも学校のほうが
忙しくなってうまく二人して定期的に会う事が出来なくなり、
連絡が途切れてしまった。どうしているかしら。
フェイスブックで捜してみようかな。
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