↓ Yahoo!ニュース(2014.12.31) より
広島市の都心、稲荷町にあり「広島のお稲荷(いなり)さん」として親しまれている
稲生(いなり)神社。
この神社のもう一つの顔は「ミステリー好きが訪れる神社」だ。
それは三次市に残る妖怪物語「稲生(いのう)物怪録」に登場する稲生武太夫
(1735~1803)を祭神に祭っていることから来る。
稲生物怪録は、武太夫が16歳のときの武勇伝だ。
30日もの間、毎晩妖怪に襲われても終始平然としていた武太夫。
その勇気に妖怪の頭は負けを認め、小槌(こづち)を武太夫に授けたという。
不思議な話だが、武太夫は実在の人物である。
稲生物怪録の原本は広島市に住む武太夫の子孫に伝えられ現存。
武太夫本人が三次藩廃藩の後、広島の地でも活躍したことで、同神社に祭神
として祭られることになった。
多くの漫画家や小説家がこの物語に引きつけられ、三次物怪録をモチーフにした
作品が多数生まれた。
神社の前には、作家の荒俣宏さんや京極夏彦さん、漫画家の水木しげるさんが
奉納した幟がはためいている。
昨今の妖怪ブームで、漫画などを見て神社に訪れる人も増えたが、大巳至通
(のりみち)宮司によると、「武太夫の妖怪退治は、泰然と構えるだけで、相手が
降参するのが特徴」。
武太夫が知られるにつれ、魔除(まよ)けや必勝祈願などの依頼が増加している
そうだ。
ところで、武太夫が授かった小槌は今も広島市の國前寺(東区山根町)にあり、
小槌は毎年1月7日の「稲生祭」で開帳される。
「小槌のことは50年は他言無用」と言われた武太夫は、広島の地でようやく小槌を
同寺院に納めることができたらしい。
同寺住職の疋田英親さんによると、こちらも最近は「来訪者の4割は、武太夫目的
です」。
妖怪ブームはまだまだ続きそうだ。
小槌が現存しているのがスゴイですね! (゚∀゚)
小槌を授けた妖怪の頭領は、山本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)という
魔王です。
本書では、実に独創的な怪異が起こります。
テキストでは底本である稲生武太夫(幼名=平太郎)・著 『三次実録物語』 と、
武太夫の同僚だった柏生甫(かしわ せいほ)が聞き書きした 『稲生物怪録』
(1783年)が有名です。
絵としては、筆者不明の 『稲生物怪録絵巻』 を始めとした多くの異本が有ります。
が、今回は、月之舎秋里(つきのや しゅうり)・編 『稲生武勇伝』(1886年)の他、
『稲生平太郎 妖怪退治』(1898年)、『怪談稲生武勇伝』(1889年)など明治期の
書籍に使い回された(?)挿絵を挙げておきます。
↓ 大名駕籠に乗っているのが山本五郎左衛門です
なお、三次市では、2006年に第11回世界妖怪会議が開催されています。
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